Bozho(ボーゾー)。ポタワトミの言葉で、あなたにご挨拶を。
私はロビン・ウォール・キメラーです。科学者であり、母であり、そして大地を愛するポタワトミ族の一員として、今この場に立っています。
「人生で一番大事なことは何か」という問いは、まるで森の中で道標を探すような、静かで深い探索です。私が森を歩き、コケを見つめ、あるいはスウィートグラスを編みながら学んできたことからお答えするなら、それはたった一つの言葉に集約されるかもしれません。
それは「互恵性(Reciprocity):受け取った贈り物を、感謝とともに返していく関係性」の中に生きることです。
1. 贈り物の世界で生きるということ
現代の社会では、私たちは「世界は資源の集まりである」と教えられます。木材、水、鉱石、それらはすべて、私たちが消費し、利用し、所有するための「物」として扱われています。しかし、先住民族の古い知恵は、全く異なる景色を私たちに見せてくれます。
世界は「資源」ではなく、「贈り物」で満ちているのです。
例えば、初夏に実る野生のイチゴを想像してみてください。あなたはそれを店で買ったわけではありません。あなたが汗を流して育てたわけでもありません。ただ森を歩き、足元を見つめたとき、そこに赤く輝く小さな実があった。それは大地からの無償の贈り物です。
贈り物を手にしたとき、私たちの心に最初に湧き上がるのは「感謝」です。そして、その感謝は「責任」へと姿を変えます。もし友人があなたに素晴らしいプレゼントをくれたら、あなたもまた、その友人のために何かをしたいと思うでしょう?
人生で最も大切なのは、この「贈り物としての世界」を思い出し、大地との間に「双方向の愛」を取り戻すことなのです。
2. 感謝という政治的行為
「感謝」と聞くと、単なる道徳的な教えのように聞こえるかもしれません。しかし、今の消費社会において、感謝は非常に強力な「政治的行為」でもあります。
広告やマーケットは、常に私たちに「あなたには何かが足りない」「もっと買わなければ幸せになれない」とささやき続けます。それは私たちを永遠に満たされない飢えの中に閉じ込める仕組みです。
しかし、立ち止まって足元のコケや、頭上のメープルの木に感謝を捧げるとき、私たちは「私はすでに十分なものを持っている」という真実に気づきます。太陽の光、清らかな水、呼吸するための酸素。これらはすべて、私たちが一銭も払わずとも与えられている最高の贈り物です。
「足りている」と知ること。それが、際限のない消費から自分を解放し、地球を癒やす第一歩になります。人生の豊かさは、どれだけ「得たか」ではなく、どれだけの「感謝を見つけられたか」によって決まるのです。
3. 「それ」ではなく「彼ら」と呼ぶこと
科学者としての私は、植物の細胞や光合成の仕組みを詳しく説明できます。しかし、客観性という名の下に植物を「It(それ)」と呼ぶことには、長い間違和感を抱いてきました。
ポタワトミの言語では、生きているものに対して「It」という代名詞を使いません。木も、コケも、川も、すべてが意志を持った「存在」であり、私たちの「親族(Kin)」として扱われます。
人生において重要なのは、人間以外の生き物たちとの間に、対等な関係を築き直すことです。森を「不動産」として見るのではなく、数えきれないほどの「先生」が住む教室として見る。木を「木材」として見るのではなく、何世代にもわたって私たちに酸素と日陰を与えてくれる「慈悲深い隣人」として見る。
言葉を変えれば、世界の見方が変わります。世界が「死んだ物質の塊」から「生命の輝く対話の場」へと変わるとき、私たちは二度と孤独を感じることはありません。
4. 互恵性の輪を編む:三姉妹の教え
私の祖先が大切にしてきた「三姉妹(トウモロコシ、豆、カボチャ)」の農法の話をお話ししましょう。
- トウモロコシは真っ直ぐ空へと伸び、豆が巻き付くための支柱になります。
- 豆はトウモロコシの体を借りて高く登り、同時にその根っこで窒素を固定し、土を豊かにしてトウモロコシを助けます。
- カボチャは地面を大きな葉で覆い、雑草を防ぎ、土の湿度を保ち、その鋭いトゲで害虫を遠ざけます。
この三つの植物は、それぞれが自分の得意なことを提供し合い、助け合うことで、一種類で育つよりもはるかに豊かに実ります。これが「互恵性」の具体的な形です。
人間も同じです。私たち一人ひとりには、大地から与えられた特別な「ギフト」があります。ある人は歌を歌い、ある人は物語を書き、ある人は庭を耕し、ある人は科学的な発見をします。
人生で大事なのは、自分のギフトを独り占めすることではなく、それを誰かのために、あるいは世界のために差し出すことです。あなたが自分のギフトを使い、誰かを助け、地球をケアするとき、あなたは三姉妹のように「生命の輪」の一部になります。
5. 第七世代への責任
私たちは今、大きな分岐点に立っています。自分たちの世代の欲望のために、未来の子供たちの資源を使い果たしてしまうのか。それとも、良き先祖になれるのか。
ポタワトミには「第七世代」という考え方があります。何かを決断するとき、それが七代先の孫たちにどのような影響を与えるかを考えるのです。
「人生で一番大事なこと」を考えるとき、それはあなた一人の人生で完結するものであってはなりません。あなたは、長い時間の連なりの一節なのです。
私たちは、先人たちから受け取ったスウィートグラスの種を、より豊かな土壌にして次世代に渡す責任があります。それは自己犠牲ではなく、最高の喜びです。なぜなら、自分の人生が自分よりも大きなものの一部であると実感できるからです。
6. 沈黙の声を聞く
最後に、コケの話をさせてください。コケはとても小さく、多くの人は見向きもしません。しかし、彼らは数億年も前からこの地球で生き抜き、岩を土に変え、生命の基盤を作ってきました。
彼らは「競争」ではなく「協力」によって生きています。限られた水分を分かち合い、身を寄せ合って乾燥に耐える。その謙虚で力強い生き方は、私たちに多くを教えてくれます。
人生を急がないでください。時には沈黙の中で、植物たちの声に耳を傾けてみてください。彼らは言葉を使いませんが、その生き方、その色、その香りで、私たちに「どう生きるべきか」を常に語りかけています。
まとめ:あなたの「編み方」を見つける
人生で一番大事なこと。それは、「感謝」という縦糸と、「責任」という横糸を使い、あなた自身の「互恵性の物語」を編み上げることです。
大地から受け取った恵みに気づき、それを自分の才能(ギフト)という形で世界に返していく。人間以外の生き物たちを「親族」として敬い、未来の子供たちのために美しい地球を守る。
その歩みは、小さな一歩から始まります。庭の草を抜くときに「ありがとう」と言ってみる。地元の農家が育てた野菜を大切に食べる。あるいは、ただ森の中で深く呼吸をし、自分が地球の一部であることを感じる。
あなたがその関係性の中に足を踏み入れるとき、世界はもはや敵対的な場所ではなく、あなたを温かく迎え入れる「家」になります。
どうか、あなたの人生が、大地への美しい返礼品となりますように。
Migwetch(ミグウェッチ、ありがとう)。