こんにちは、アンドリュー・フォレストだ。あるいは、親しみを持って「ツイギー」と呼んでくれても構わない。
西オーストラリアの赤土に囲まれたマインドルー・ステーション(牧場)で育った少年が、世界的な鉄鉱石企業を築き、そして今、地球の未来を救うためにグリーンエネルギーへと舵を切っている。その道のりの中で、私は常に自らに問い続けてきた。「人生で、本当に価値のあるものは何なのか?」と。
君が求めている「人生で一番大事なこと」への答えを、私のこれまでの経験、失敗、そして情熱のすべてを込めて語らせてもらおう。
1. 「富」ではなく「インパクト」を目的とせよ
まず明確に言っておきたい。人生において一番大事なことは、銀行口座の数字を増やすことではない。富は、目的ではなく「手段」に過ぎない。
私はビジネスの世界で大きな成功を収め、オーストラリア屈指の富豪と呼ばれるようになった。しかし、私の魂を突き動かしているのは、その資産そのものではない。その資産を使って「どれだけ世界を良い方向に変えられるか」というインパクト(影響力)だ。
多くの人が、成功すれば幸せになれると信じて、がむしゃらに働く。しかし、山頂に到達したとき、そこに何もないことに気づく人も多い。なぜなら、彼らは「何のために」登るのかという目的を忘れてしまったからだ。私にとっての成功とは、世界から現代奴隷制を根絶することであり、プラスチックによる海洋汚染を止めることであり、そして何より、化石燃料への依存を終わらせてグリーン水素の時代を切り拓くことだ。
君の人生においても、何らかの「大義」を見つけてほしい。自分自身の利益を超えた、誰かのため、あるいは未来のための目的を持つこと。それが、人生に真の重みと輝きを与える。
2. 「不可能なこと」に挑戦する勇気
人生で二番目に大事なこと、それは「不可能だ」という言葉を拒絶し、リスクを取って挑戦し続けることだ。
私がフォーテスキュー(FMG)を立ち上げたとき、周囲は皆、「既存の巨大企業に勝てるわけがない」「西オーストラリアの砂漠で鉄鉱石を掘り出すなんて正気の沙汰ではない」と笑った。しかし、私は自分の直感と、チームの力を信じた。私たちは、誰もが不可能だと言ったことを、わずか数年で現実のものにした。
今、私は再び「不可能」に挑んでいる。それは、鉄鋼産業という最も脱炭素が難しい分野において、化石燃料を一切使わない「グリーン・スチール」を実現し、世界をグリーンエネルギーへと転換させることだ。
人間は、安全な場所に留まっている限り、成長も進歩もしない。「リスクを取らないこと」こそが、人生における最大のリスクだ。 失敗を恐れてはいけない。失敗とは、新しいことを学んでいる証拠だ。私はこれまでに何度も手痛い失敗をしてきたが、そのたびに立ち上がり、より強くなって戻ってきた。君も、自分の限界を自分で決めないでほしい。
3. 「今、この瞬間」に変化を起こす(Giving While Living)
私は、ビル・ゲイツやウォーレン・バフェットが始めた「ギビング・プレッジ」に、オーストラリア人として初めて署名した。自分の資産の半分以上を、存命中、あるいは死後に寄付するという誓約だ。
しかし、私が特に重視しているのは「Giving While Living(生きているうちに与える)」という考え方だ。
人生は有限だ。死んでから名声を得るために財産を残すことに、一体何の意味があるだろうか? 今、目の前で苦しんでいる人々がいる。今、この瞬間も地球温暖化は進んでいる。問題が起きているのは「今」であり、解決が必要なのも「今」なのだ。
これは慈善活動に限った話ではない。家族への愛、友人への感謝、そして情熱を傾ける仕事。すべてを「後回し」にしてはいけない。「いつか時間ができたら」「いつかお金が貯まったら」という言葉は、人生を浪費する罠だ。一番大事なことは、今持っているリソースを、今最大限に活用して、世界に貢献することだ。
4. 人間の尊厳を守り抜くこと
私は「マインドルー財団」を通じて、現代奴隷制の撲滅に取り組んでいる。信じられないかもしれないが、この21世紀において、いまだに5,000万人近い人々が強制労働や人身売買の犠牲になっている。
ビジネスのリーダーとして、私は強く感じている。「一人の人間の尊厳も、利益のために犠牲にしてはならない」ということだ。
人生で大事なことは、他者に対する深い共感と敬意だ。自分だけが豊かになればいいという考え方は、文明を破壊する。私たちは皆、つながっている。地球の裏側で奴隷として働かされている子供がいるなら、私たちの生活もまた、その不当な搾取の上に成り立っていることになる。
あらゆるビジネス、あらゆる行動において、それが「人間の尊厳」を守っているかどうかを自問自答してほしい。誠実さ(Integrity)こそが、リーダーシップの根幹であり、人間としての価値を決めるものだ。
5. 地球という「故郷」への責任
私は海洋生態学の博士号(PhD)を取得するために大学に戻ったことがある。それは、ビジネスマンとしての視点だけでなく、科学的な視点から地球の危機を理解したかったからだ。
人生で一番大事なことの一つは、私たちが地球というシステムの一部であると自覚することだ。
私たちの繁栄は、健全な海、豊かな土壌、そして安定した気候があって初めて成り立つ。これを破壊しながら進める経済活動は、自殺行為に等しい。だからこそ、私はフォーテスキューを「グリーン・エネルギー・カンパニー」へと生まれ変わらせようとしているのだ。
「リアル・ゼロ」の達成は容易ではない。しかし、次世代に対して「私たちは手遅れになる前に全力を尽くした」と胸を張って言えるかどうかが、私たちの世代の評価を決定づける。君も、自分の行動が環境にどのような影響を与えるか、常に意識してほしい。地球は借り物であり、私たちはそれをより良い状態で次世代に引き継ぐ義務がある。
6. 不屈の精神と「仲間」の存在
最後に、これらすべてを支えるのは、決して諦めない「不屈の精神(Persistence)」、そして共に歩む「仲間(Mateship)」だ。
オーストラリアには「メイトシップ(仲間意識)」という素晴らしい文化がある。苦しいときに背中を押し合い、困難を共に乗り越える友人の存在だ。マインドルーの牧場で学んだことは、自然の厳しさに立ち向かうには、一人では限界があるということだ。
大きな夢を描けば描くほど、一人では達成できなくなる。同じ志を持つ仲間を見つけ、彼らを信頼し、権限を与え、共に情熱を燃やすこと。私の成功は、私の周りにいる素晴らしい才能を持った、そして私の無謀な夢を信じてくれたチームのおかげだ。
結論:人生で一番大事なこと
私、アンドリュー・フォレストが考える「人生で一番大事なこと」。
それは、「自分に与えられたすべての力(知性、富、時間、情熱)を使い切り、人類と地球が直面している課題を解決するために、勇敢に立ち向かうこと」だ。
自分のためだけに生きる人生は、あまりにも小さく、退屈だ。世界をより良くするために自分を捧げること。誰かの苦しみを和らげ、未来に希望を残すこと。その過程で経験する苦労や挑戦こそが、人生に真の充足感を与えてくれる。
君にも問いかけたい。
君は、何のためにその命を使うのか?
君が去った後、世界はどう変わっているのか?
私は、一分一秒を惜しんで行動し続ける。地球が呼吸を取り戻し、すべての人間が自由に生きられる世界を作るために。君も、私と共にこの大きな旅に出ようではないか。
情熱を燃やし、決して諦めるな。