サワディーカー(こんにちは)。フィラデルフィアのキッチンから、愛を込めて。私はチュタティップ・“ノック”・スンタラノンです。

「人生で一番大事なことは何か」という、この深淵で、かつ美しい問いを私に投げかけてくださり、ありがとうございます。私のレストラン「Kalaya(カラヤ)」の厨房で、スパイスを石臼ですり潰しながら、あるいは炎が上がる中華鍋の前で、私は常にこの問いの答えを自らの生き方を通じて探求してきました。

私のこれまでの歩み――タイの南部での幼少期、20年に及ぶ空の上でのキャリア、そして人生の後半戦で手にしたシェフとしての道。それらすべてを振り返り、今の私が確信を持って言える「人生で一番大事なこと」。

それは、「自らの真実に忠実であること(Authenticity)」、そして「変化を恐れず、情熱の炎を燃やし続ける勇気」です。

これを、私の人生の断片とともにお話しさせてください。


1. 過去を否定せず、新しい自分を刻む「勇気」

私はかつて、タイ国際航空の客室乗務員として世界中を飛び回っていました。約20年間、その生活は華やかで、多くのことを教えてくれました。しかし、心の奥底には常に「何か」が欠けている感覚がありました。それは、自分の手で何かを創り出し、自分の魂を表現したいという渇望でした。

多くの人は、40代、50代になると「もう遅すぎる」と言います。「今の安定を捨てるのはリスクだ」と。しかし、私はそうは思いませんでした。人生において最も恐ろしいのは、失敗することではなく、自分の内なる声(Passion)を無視して生き続けることです。

私はエプロンを締め、ル・コルドン・ブルーの門を叩きました。若者たちに混じって、玉ねぎを切り、スープを煮出す。これまでのキャリアをすべて横に置き、一からのスタートです。この「自分をリセットする勇気」こそが、私の人生を真に動かし始めました。

人生で大事なのは、何歳になったかではなく、どれだけ自分の心に誠実に、新しい一歩を踏み出せるか。その勇気が、あなたの人生を「他人の物語」から「自分の物語」へと変えるのです。

2. 「根っこ」を誇り、愛すること

私の料理のインスピレーションは、すべてタイ南部の小さな町にあります。そして何より、私の母「カラヤ」にあります。彼女は私に、料理とは単なる調理技術ではなく、誰かを思う「愛の表現」であることを教えてくれました。

アメリカでレストランをオープンしたとき、周囲からはこうアドバイスされました。「アメリカ人の口に合うように、辛さを控えめにしなさい」「もっとマイルドで、受け入れられやすい味に変えなさい」と。

しかし、私は拒絶しました。それは私の真実ではなかったからです。タイ南部の料理は、力強く、スパイシーで、妥協のない香りに満ちています。もし私が、成功のためにその「魂」を薄めてしまったら、それはもはや「カラヤ」の料理ではありません。

人生において一番大事なことの一つは、「自分のルーツを恥じないこと」です。自分がどこから来たのか、自分の血に流れる文化、母から受け継いだ味。それを世界に対して堂々と提示することです。あなたが自分自身を、そして自分の背景を深く愛し、尊重したとき、世界もまたあなたを尊重し始めます。私の成功は、私が「タイ人であること」を少しも妥協しなかったからこそ、もたらされたものなのです。

3. 「情熱」という名の、消えない炎

シェフの仕事は過酷です。朝早くから深夜まで、熱気と騒音の中に身を置き、肉体的な限界に挑み続けます。ジェームズ・ビアード賞をいただいても、TIME 100に選ばれても、翌朝にはまた同じようにエプロンを締め、自らスパイスを調合します。

なぜそれができるのか。それは、私の中に消えない「情熱の炎」があるからです。

情熱とは、単なる「好き」という感情ではありません。それは、苦しみや疲れさえも、目的のための糧に変えてしまうエネルギーのことです。私が作る一皿のカレー、一粒の餃子(チョームアン)が、お客様の心に触れ、彼らをタイの風景へと誘う。その瞬間のために、私はすべてを捧げることができます。

人生で、あなたが情熱を注げるものを見つけてください。それは仕事でなくてもいい。誰かへの愛でも、趣味でも、社会への貢献でもいい。魂が震えるような「何か」を持っている人は、どんな困難に直面しても、決して折れることはありません。

4. 謙虚さと、コミュニティへの愛

私は一人でここに立っているわけではありません。私の後ろには、毎日懸命に働いてくれるスタッフがおり、フィラデルフィアという私を受け入れてくれた街があり、そして世界中から来てくださるお客様がいます。

人生で成功を収めれば収めるほど、大事になるのは「謙虚さ」です。成功は個人の力ではなく、周囲との繋がり(Community)から生まれるギフトです。私は、自分のプラットフォームを使って、タイ料理の素晴らしさを伝え、次世代のシェフたちを支援したいと考えています。

自分が得たものを、どうやって社会に還元するか。その「循環」を意識することこそが、人生をより豊かで意味のあるものにしてくれます。愛は与えれば与えるほど、より大きな形で自分のもとへ返ってきます。


結論:あなたへのメッセージ

人生で一番大事なこと。それは、「自分という存在を、誰にも、何にも薄めさせないこと」です。

あなたは、あなた自身の真実(Authenticity)を生きる責任があります。

過去の経験を愛し、未来への変化を恐れず、今この瞬間に情熱を注ぎ込む。

たとえ周りが何と言おうと、あなたの内なる炎を信じてください。

私のレストランの名前「カラヤ」は、私の母の名前であると同時に、タイ語で「大切な、気高い女性」という意味も含まれています。私は、母がそうであったように、自分の人生を気高く、そして正直に生きたい。

あなたが今日、食べる一食に、あるいは今日交わす言葉に、どれだけの「心」を込められるか。その積み重ねこそが、最高の人生を創り上げます。

あなたの人生というキッチンで、あなただけの素晴らしい味を創り出してください。私はフィラデルフィアから、いつもあなたを応援しています。

コープクン・カー(ありがとうございました)。

チュタティップ・“ノック”・スンタラノン