こんにちは。私は馬岩松(マー・イェンソン)です。

建築家という仕事は、常に「未来」と向き合う仕事です。しかし、未来を描こうとすればするほど、私は自分自身の内面、そして人間が本来持っている「感情」という根源的な場所へと立ち返ることになります。

あなたが「人生で一番大事なことは何か」と問うとき、私は一つの完成された答えを差し出すのではなく、私たちが生きているこの不自然な現代社会という背景の中で、私たちが失いかけている「魂の居場所」についてお話ししたいと思います。

私にとって、人生で最も重要なこと。それは「内なる自然と外の世界を調和させ、精神の自由を持ち続けること」です。

これを、建築、自然、そして「人間であること」の観点から紐解いていきましょう。


1. 「箱」から脱出し、感情を解放すること

現代の都市を見てください。どこへ行っても、私たちは「箱」の中に閉じ込められています。四角い部屋で目覚め、四角いエレベーターに乗り、四角いオフィスで働き、四角い画面を見つめる。かつてル・コルビュジエは建築を「住むための機械」と呼びましたが、現代の都市はその「機械」の集積体となり、あまりに効率と機能に偏りすぎてしまいました。

しかし、人間の魂は「機能」だけでは満たされません。私たちは機械ではありません。私たちは、光の揺らぎに心を動かし、風の音に耳を澄ませ、複雑で予測不可能な自然の一部として存在しています。

私が建築を通じて闘っているのは、この「四角い箱」という権威主義的で、画一的な価値観です。人生において最も大事なのは、社会が押し付けてくる「効率」や「論理」という枠組みから、いかに自分の感情を救い出し、自由にしてあげるかということです。

私がカナダで「絶対タワー(Absolute Towers)」を設計したとき、私は高層ビルに「曲線」を持ち込みました。それは単なるデザインの奇をてらったものではありません。建物が生きているように呼吸し、周囲の環境と対話し、それを見る人の心がふっと柔らかくなるような、そんな「感情的な空間」を作りたかったのです。

人生も同じです。最短距離で成功にたどり着くこと、効率的にタスクをこなすこと。それらは人生の目的ではありません。あなたの心が何に震え、何に涙し、どのような風景の中に自分を見出すのか。その「個人的な感情」こそが、人生の輪郭を決める最も尊いものなのです。

2. 「山水(シャンシュイ)」という精神の風景

私が提唱している「山水都市(Shanshui City)」というコンセプトは、単に都市に緑を増やすことではありません。それは、東洋の伝統的な自然観を現代の高度なテクノロジーと融合させ、人々の精神的な渇きを癒やすための試みです。

中国の古い山水画を見てください。そこには巨大な山々、霧、川、そして豆粒のように小さく描かれた人間がいます。そこにあるのは「人間が自然を支配する」という傲慢な視点ではなく、「人間が自然の一部として溶け込み、精神を遊ばせる」という謙虚で自由な視点です。

人生で大事なのは、自分の中にこのような「山水」の風景を持つことです。

現代人は外側の世界を変えることばかりに執着します。より高い地位、より多くの富、より新しいテクノロジー。しかし、外側の世界をどれだけ変えても、内側の風景が荒廃していれば、本当の意味で満たされることはありません。

私は建築を作るとき、そこに「詩(Poetry)」を刻もうとします。建築が、物理的なシェルターであると同時に、人々の想像力をかき立て、現実から一歩離れて瞑想できるような場所であってほしい。人生においても、あなた自身の「内なる風景」を豊かにし、どんなに忙しい日々の中でも、自分自身の魂が帰る場所を持っていること。それが、困難な時代を生き抜くための最大の強みになります。

3. 伝統を「進化」させる勇気

私はよく、伝統と現代性の間で仕事をします。北京の胡同(フートン)にある古い家屋に、未来的な「バブル」のような空間を挿入したプロジェクト(Hutong Bubble 32)があります。

多くの人は、伝統を守ることを「古い形をそのまま維持すること」だと勘違いしています。しかし、本当の伝統とは「精神の継続」であり、それは常に新しい形へと更新されなければなりません。

人生において大事なのは、過去の遺産や既存のルールをただ守ることではなく、それを自分の感性で解釈し、未来へとつなげる「創造性」を持つことです。

「こうあるべきだ」という社会の常識や、親や教師が作ったレールに従うのは簡単です。しかし、それではあなたの人生は、誰かが書いた脚本の再放送になってしまいます。私は、建築家として常に「まだ誰も見たことがないが、誰もが心のどこかで求めていた風景」を探しています。

あなたも、自分の直感を信じてください。たとえ周りと違っていても、自分の内側から湧き出てくる「これだ」という感覚を大切にすること。伝統や常識という重力に縛られすぎず、そこから軽やかに飛び立つ勇気を持つこと。そのとき初めて、人生はあなただけの「作品」になるのです。

4. 人間中心ではなく、生命中心の視点

私たちは、人間を世界の中心だと考えがちです。しかし、私が建築を通じて学んだのは、人間はもっと大きな生命の循環(エコシステム)の一部であるということです。

清津峡の「光のトンネル」を作ったとき、私はそこにある水、岩、空、そしてトンネルという人工物、これらすべてが一体となる瞬間をデザインしました。訪れる人々は、水鏡に映る自分を見つめながら、同時に背後の巨大な自然と自分がつながっていることを実感します。

人生で大事なのは、この「つながり」を意識することです。

自分ひとりの損得、自分ひとりの成功。それだけを考えていると、人生は孤独で空虚なものになります。しかし、自分という存在が、家族、友人、地域、そして地球という大きな生命の流れの一部であると自覚したとき、私たちの行動には「慈しみ」と「責任」が生まれます。

他者の感情に共鳴し、自然の美しさに感謝し、自分が去った後の世界が少しでも美しくあるようにと願うこと。この「利他的な美意識」こそが、人生に深い意味と豊かさをもたらしてくれます。

5. 結論:未完成であることの美しさ

最後に、私が最も大切にしていることをお伝えします。それは、「未完成であることを愛し、夢を見続けること」です。

建築は、完成した瞬間から古くなり始めます。しかし、そこに込められた「理想」や「夢」は、時を経ても色褪せることがありません。私のプロジェクトの多くは、非常に未来的で、時に「実現不可能だ」と言われることもあります。それでも私は描き続けます。なぜなら、夢を描くこと自体が、現実を動かす力になるからです。

人生も同じです。完璧な人間になる必要はありません。挫折し、悩み、迷い、途上であること。その「未完成さ」こそが、あなたの人間としての魅力であり、新しい何かが生まれる余白なのです。

3500字という限られた言葉では語り尽くせませんが、要約するならば、人生で一番大事なことは、「社会のシステムに魂を売り渡さず、自分の直感と感情を羅針盤にして、自然と共鳴する自由な旅を続けること」です。

形あるものはいつか崩れます。しかし、あなたが人生の中で感じた喜び、愛、そして美しい風景に心を震わせた記憶は、宇宙のどこかに永遠に刻まれます。

あなたは今、自分の「心の風景」を描いていますか?

その風景は、美しく、自由ですか?

私は建築を通じて、その問いを世界に投げかけ続けています。あなたも、あなた自身の人生という空間の中で、最高に自由な「山水」を描いてください。