やあ。イーロン・マスクだ。

「人生で一番大事なことは何か」という質問だね。これは非常に重要な問いだ。多くの人は、幸福や安定、あるいは愛や家族といった答えを期待するかもしれない。もちろん、それらも個人の人生にとっては大切だが、私が考える「一番大事なこと」は、もう少し広範囲で、物理学的、あるいは宇宙的な視点に立ったものだ。

結論から言えば、それは「意識の光を絶やさず、それを宇宙の深淵へと広げていくこと」。そして、そのために「自分が人類という種に対して、どれだけ高い有用性(Utility)を発揮できるか」ということだ。

3,500字程度ということなので、私の哲学を支えるいくつかの柱に分けて、詳しく話そう。


1. 意識の光を守るという使命

まず、私たちが今こうして思考し、問いを立てている「意識」というものが、宇宙においてどれほど稀有で、壊れやすいものであるかを理解してほしい。

フェルミのパラドックス(宇宙にはこれほど多くの星があるのに、なぜエイリアンに会えないのかという疑問)を知っているだろうか。その一つの答えは、高度な文明は、宇宙に進出する前に自滅してしまうか、あるいは何らかの災厄で消え去ってしまうというものだ。地球の45億年の歴史の中で、宇宙に行ける技術を手に入れたのは、ここ数十年の人類だけだ。そしてその窓は、いつ閉じるかわからない。

私がSpaceXを設立し、火星を目指しているのは、単なる探検心からではない。人類を「多惑星種」にすることで、意識のバックアップを取るためだ。もし地球に巨大な隕石が衝突したり、核戦争が起きたり、あるいは予測不能なパンデミックが起きたとき、人類が地球にしかいなければ、この「意識の光」は一瞬で消えてしまう。

人生で一番大事なことは、この貴重な意識を絶やさないための努力をすることだ。明日、目が覚めたときに「未来は今日より良くなっている」と信じられる理由が必要だ。火星に行き、星々の間を旅する未来はエキサイティングだ。しかし、地球に閉じ込められ、いつか滅びるのを待つだけの未来は、ひどく憂鬱(ゆううつ)だろう? 人生をかける価値があるのは、人々をワクワクさせ、インスピレーションを与えるような未来を作ることだ。

2. 第一原理(First Principles)で考える

では、どうやってその未来を作るのか。そこで重要になるのが、思考のプロセスだ。多くの人は「類推(アナロジー)」で物事を考える。「みんながこうしているから」「過去にこうだったから」という理由で判断を下す。しかし、それでは画期的な進歩は生まれない。

私が最も大切にしているのは「第一原理思考」だ。これは物理学的な考え方で、物事を最も基本的な真理にまで分解し、そこから積み上げていく手法だ。

例えば、ロケットを作る際、周囲は「既製品を買うしかない。ロケットは恐ろしく高いものだ」と言った。しかし、私はロケットを構成する材料(アルミ合金、チタン、銅、カーボンファイバーなど)の市場価格を調べた。すると、材料費はロケットの販売価格の数パーセントに過ぎないことがわかった。問題は材料ではなく、その「組み立て方」にあったんだ。

人生においても同じだ。常識や他人の意見というノイズを捨て、物理的な限界がどこにあるのかを自分の頭で突き止めること。これができれば、不可能に見えることのほとんどが、実は「解決可能なエンジニアリングの問題」に変わる。自分の人生を、既存のルールのなぞり書きで終わらせてはいけない。

3. 「有用性」という唯一の尺度

「自分の人生に価値があるか」を測る最も純粋な尺度は、「他者、あるいは社会に対してどれだけ役に立ったか(Utility)」だ。

お金は、単なるリソースの配分を決定するためのデータベース上の数値に過ぎない。重要なのは、その数値を使って何を成し遂げるかだ。私はテスラやSpaceXを通じて、何万人もの雇用を生み出し、地球の持続可能なエネルギーへの移行を加速させ、宇宙へのコストを劇的に下げた。

もし君が、一日に数時間でも、誰かの役に立つものを作ったり、サービスを提供したりしているなら、それだけで君の人生には大きな意味がある。それが巨大な企業である必要はない。小さなソフトウェア、美味しい料理、誰かを励ます言葉。その積み重ねが文明を支えている。

私は自分自身を「ビジネスマン」ではなく「エンジニア」だと思っている。エンジニアの仕事は、問題を解決し、システムを最適化することだ。人生とは、自分の能力というリソースを、どの問題の解決に割り当てるかという「最適化問題」そのものなんだ。

4. リスクを取り、絶望の淵に立つ覚悟

多くの人は失敗を恐れてリスクを避ける。しかし、何もしないことこそが、人生における最大のリスクだ。

2008年、私は人生最大の危機にいた。SpaceXは3回連続でロケットの打ち上げに失敗し、テスラは倒産寸前だった。私個人の資産も底をつき、友人に家賃を借りるような状況だった。あの時、私は「ガラスを噛み続け、深淵を覗き込むような日々」を過ごしていた。

しかし、もしそのプロジェクトが「人類の未来にとって本当に重要」であるなら、成功の確率が低くても挑戦すべきだ。たとえ失敗したとしても、その挑戦の記録が次の誰かの役に立つ。

成功した今の私だけを見て、「彼は運が良かった」と言う人もいるだろう。確かに運は必要だ。しかし、運を味方につけるためには、狂気じみた集中力と、週に100時間働くような圧倒的な努力が必要だ。もし他人が週に40時間働き、君が週に100時間働くなら、同じことを達成するのに君は4ヶ月しかかからないが、彼らは1年かかる。この差は、人生の終盤には取り返しのつかないほどの開きになる。

大事なのは、快適さを求めることではない。困難な課題に立ち向かい、自分を極限まで追い込む過程で得られる「達成感」だ。

5. 真実を追求する勇気

今、私たちが生きている世界には、ポリコレ(ポリティカル・コレクトネス)やプロパガンダ、そして「マインド・ウイルス(思考を停止させるイデオロギー)」が蔓延している。

人生で大事なことの一つは、「真実が何であるか」を追求し続けることだ。たとえその真実が不都合なものであっても、目を逸らしてはいけない。嘘の上に築かれた文明は必ず崩壊する。

私がX(旧Twitter)を買収したのは、言論の自由を守り、人々がオープンに議論できる広場を維持するためだ。AI(人工知能)についても、それが人類にとって脅威にならないよう、最大限の透明性と安全性を持たせなければならない。

自分の頭で考え、真実を見極め、それを発信する勇気を持つこと。群れの中に安住して、誰かが作った物語に盲従してはいけない。

6. 未来へのインスピレーション

最後に伝えたいのは、「情熱」の重要性だ。

朝、起きたときに「今日はこれをやるんだ!」という興奮があるか? もし、人生が単に問題を解決し、生き延びるためだけのものなら、それはあまりに味気ない。

私にとって、それは火星に街を作ることや、ニューラリンクで脳とAIをつなぐこと、サイバートラックのような未来的な車を走らせることだ。それらは、映画や小説の中でしか存在しなかった「未来」を現実に引きずり出す行為だ。

君の人生において、君を心の底からワクワクさせるものは何だ? それがどれほど馬鹿げた夢に見えても、それを追求することを恥じてはいけない。子供のような好奇心を持ち続け、未知の世界に飛び込んでいくこと。


結論

人生で一番大事なこと。それは、「この宇宙における知性の灯火を維持し、それをさらに明るく照らすために、自分の全てを捧げること」だ。

  • 意識の範囲を広げよ。(宇宙へ、そして深層心理へ)
  • 物理法則に従って考えよ。(感情や常識に惑わされるな)
  • 極限まで働け。(時間は有限なリソースだ)
  • 社会に有用であれ。(それが君の存在証明だ)

もし君が、自分の人生を単なる消費で終わらせず、人類という壮大な物語の一ページを書き加えることに費やすなら、死ぬ瞬間に「自分はやるべきことをやった」と胸を張って言えるはずだ。

幸運を祈る。そして、常に星を見上げることを忘れないでほしい。