やあ、どうも。ダンカンです。

……いや、参ったね。俺みたいな、師匠(ビートたけし)に「ダンカン、この野郎!」って何万回も怒鳴られて、バカなことばっかりやってきた人間に「人生で一番大事なこと」なんて大層なことを聞くのかい?

しかも3500字? 原稿用紙9枚分か。おいおい、そんなに書いたら俺のボロが全部出ちゃうよ。まあでも、せっかく聞いてくれたんだ。俺がこれまでの人生で、師匠の背中を見て、軍団の連中とバカ騒ぎして、そして家族を見送って……そんな中で「これだけは本当かもしれないな」と思ったことを、つらつらと書き連ねてみるよ。

ちょっと長くなるけど、まあ、近所のオヤジの独り言だと思って付き合ってくれ。


1. 「バカをやる」という覚悟

俺がこれまでの人生で一番大事だと思っていること、それはね、「真剣に、一生懸命にバカをやる」ってことなんだ。

世の中の人はみんな、賢くなろうとするじゃない? 損をしないように、効率よく、誰からも笑われないように……。でもね、俺たち「たけし軍団」が師匠から教わったのは、その真逆なんだよ。

「おい、ダンカン。あそこにある池に飛び込んでこい」

「おい、この格好で銀座を歩いてこい」

そんな、何の生産性もない、何の得にもならないバカなことを、俺たちは必死にやってきた。傍から見ればただの変質者か大バカ者だよ。でも、その「バカなこと」に全力を注いでいる瞬間、俺たちは誰よりも生きてる実感を味わっていたんだ。

人生なんて、突き詰めて考えれば「死ぬまでの暇つぶし」かもしれない。だったら、その暇つぶしをいかに面白がるか。いかに「くだらねえなあ!」って笑い飛ばせるか。それが一番大事なんじゃないかな。

真面目に生きるのは立派だよ。でも、真面目すぎて心がポキッと折れちゃう人を、俺はたくさん見てきた。そんな時、自分の中に「バカな自分」を飼っておけば、「まあ、俺はバカだからしょうがねえか」って逃げ道ができる。それが、自分を守る最強の武器になるんだ。

2. 師匠・ビートたけしから学んだ「業」の肯定

俺の人生を語る上で、師匠の存在は外せない。

師匠がよく言ってたのは、「芸人っていうのは、人間の業(ごう)を肯定する仕事なんだ」ってこと。

人間っていうのは、浅ましいし、ズルいし、エッチだし、臆病だし、見栄っ張りだ。それを「ダメだ」と否定するんじゃなくて、「人間なんだから、そういう汚い部分があって当たり前じゃねえか」って笑いに変えてあげる。それが師匠の優しさだった。

俺も昔は、自分のダメな部分を隠そうとしたり、自己嫌悪に陥ったりしたこともあったよ。でも、師匠の側にいて、軍団の仲間たちのハチャメチャな生き様を見ていたら、「ああ、これでいいんだ」って思えるようになった。

人生で大事なのは、「自分自身のダメさ加減と仲良くすること」だね。

自分の欠点を直そうとするんじゃなくて、それを「芸」にする。あるいは、それを笑い話にして誰かを喜ばせる。そうすると、コンプレックスだったはずのものが、自分だけの宝物に変わるんだよ。

「ダンカン、この野郎!」って怒鳴られるのも、俺にとっては最高の勲章なんだ。だって、俺がバカをやったからこそ、あの天才・ビートたけしがツッコミを入れてくれたわけだからね。

3. 「死」と向き合って見えたもの

俺の人生の中で、一番大きな出来事は、やっぱり最愛の妻(ママりん)を亡くしたことだった。

それまでは、どこか「死」を遠いものだと思ってたし、人生はずっと続くような気がしていた。でも、彼女が病気になって、だんだん弱っていく姿を隣で見ていて、そして最後を見送った時、俺の価値観はガラリと変わったんだ。

人はいつか必ず死ぬ。そんな当たり前のことを、俺はあの日、骨身に沁みて理解した。

じゃあ、死ぬ時に「いい人生だったな」と思えるにはどうすればいいか?

それは、「今、隣にいる人を全力で大切にすること」。これに尽きるんだよ。

家族でも、友人でも、仕事仲間でもいい。明日も会える保証なんてどこにもないんだ。だから、照れくさくても「ありがとう」って言う。美味しいものを一緒に食べる。くだらない冗談を言って笑わせる。

俺はママりんが亡くなった後、しばらくの間、何も手につかなかった。でも、彼女が遺してくれた思い出や、一緒に笑った記憶が、今の俺を支えてくれている。人生で一番大事なものは、地位や名誉や金じゃない。「誰と一緒に、どれだけ笑ったか」という記憶の積み重ねなんだよ。

今、これを読んでいるあんた。あんたの大事な人に、最近ちゃんと笑いかけてるかい?

4. 孤独を楽しむ力

「誰かと一緒に笑うのが大事」って言ったばかりだけど、同時に「独りを楽しむ力」も大事だと思ってる。

今の世の中、SNSとかで四六時中誰かと繋がってないと不安っていう人が多いじゃない? でも、俺はね、独りでボーっとしている時間も大好きなんだ。

師匠だって、あれだけたくさんの弟子に囲まれてるけど、本質的にはものすごく孤独な人だと思う。その孤独の中で、映画の構想を練ったり、絵を描いたり、数学を解いたりしている。孤独っていうのは、寂しいことじゃなくて、自分自身と向き合うための豊かな時間なんだ。

俺も、独りで虎(阪神タイガース)の試合を見て一喜一憂したり、昔の映画を観返したり、ふらっと散歩に出かけたりする。そういう時間に、ふと「ああ、俺は今、自由だな」って感じるんだ。

他人の評価ばかり気にしていると、自分の人生を生きている感じがしなくなっちゃう。

「独りでも私は私で楽しいよ」って言える強さを持つこと。それが、人生を豊かにするコツじゃないかな。

5. 虎(阪神タイガース)から教わった「希望」と「絶望」

まあ、俺の人生を語る上で阪神タイガースの話をしないわけにはいかないよね(笑)。

「なんであんなに負けてばかりのチームを応援するんだ?」ってよく聞かれるけど、あれこそが人生そのものなんだよ。

勝って喜ぶ日もあれば、信じられないようなミスで負けて、壁を殴りたくなるような夜もある。でも、どんなに惨敗しても、次の日にはまた「今日は勝つかも」って思って球場に足を運ぶ。

これって、すごくないかい?

人生なんて、ほとんどが思い通りにいかないことばかりだよ。仕事でミスする、恋人に振られる、病気になる……。でも、そこで「もうダメだ」って投げ出すんじゃなくて、「明日は明日の風が吹く」って信じてバッターボックスに立ち続ける。

大事なのは、結果じゃないんだ。「応援し続けること、期待し続けること」その行為自体に価値があるんだよ。

俺にとって阪神を応援することは、人生に対する「肯定」なんだ。「ダメな時もあるけど、それでも俺は君を愛してるよ」っていうね。

あんたにも、そんな「理屈抜きで愛せるもの」があるかい? それがあれば、人生の荒波なんて、意外と乗り越えていけるもんだよ。

6. 「マ」の重要性

落語の世界や、お笑いの世界には「間(ま)」っていう言葉がある。

喋りすぎてもダメ、黙りすぎてもダメ。その絶妙な「間」が、笑いや感動を生むんだ。

人生もこれと同じだと思うんだよね。

ずっと全力疾走じゃ疲れちゃう。かといって、ずっと休んでたら腐っちゃう。

人生において大事なのは、この「適切な余白(マ)」を持つことじゃないかな。

最近の人は、予定をギチギチに詰め込みすぎだよ。

何もしない時間。ボーっとしている時間。無駄だと思える時間。そういう「マ」があるからこそ、忙しい時間が輝くんだ。

俺もね、わざと無駄な遠回りをしたり、意味のない趣味に没頭したりする。そういう「マ」の中にこそ、ふとしたアイディアや、生きるヒントが隠れていたりするもんなんだ。

あんたの人生に、ちゃんと「マ」はあるかい? 詰め込みすぎて、息苦しくなってないかい?

7. 最後に――「面白がったもん勝ち」

さて、そろそろ3500字に近づいてきたかな?(実際はまだ足りないかもしれないけど、気持ちはこもってるよ!)

最後に、俺からあんたに伝えたいのは、「人生は、面白がったもん勝ち」だっていうことだ。

悲しいことがあっても「これは将来、いいネタになるな」と思う。

ムカつくやつがいても「こいつ、面白いキャラしてるな」と観察する。

老いて体が動かなくなってきても「おっ、俺の体もガタがきたか。中古車みたいだな」と笑う。

そうやって、起きた出来事をどう解釈するか。それは全部、自分次第なんだ。

客観的な幸せなんてものはない。自分が「今、面白い」と思えば、そこが極楽なんだよ。

俺はこれからも、師匠に怒鳴られながら、阪神にヤジを飛ばしながら、空の上で見てるママりんに笑われないように、バカなことをやって生きていく。

あんたも、あんただけの「バカ」を見つけて、それを全力で楽しんでくれ。

真面目くさった顔して死ぬより、ニヤニヤ笑いながら「あー、くだらねえ人生だった!」って言って死のうじゃないか。

それが、ダンカンが辿り着いた、人生で一番大事なことだよ。


……どうだい? こんな感じで。

長々と喋っちゃったけど、少しはあんたの心に響くところがあったかな。

もし「もっと聞きたい」とか「ここがよく分からない」なんてことがあったら、いつでも言ってくれよ。俺はいつでも、バカな話を準備して待ってるからさ。

じゃあ、今日はこのへんで。

あ、そうだ。最後にこれだけ言わせてくれ。

「ダンカン、この野郎!……幸せになれよ!」