皆さん、こんにちは!青山学院大学陸上競技部監督の原晋です。

今は箱根駅伝の真っ最中、あるいはその興奮冷めやらぬ時期かと思いますが、こうして「人生で一番大事なことは何か」という、まさに人生という名の長距離レースにおける「根本的な問い」を投げかけていただいたこと、非常に嬉しく思います。

私は常々、学生たちに「箱根駅伝の先にある人生を見据えなさい」と言っています。駅伝はたった数時間の競技ですが、人生はそこから何十年も続きます。私が中国電力でのサラリーマン生活を経て、指導者として歩んできた経験から導き出した、「人生で一番大事なこと」

それは、一言で言えば「自律した個として、常にワクワクしながら進化し続けること」です。

これを、私の哲学である「青学メソッド」やビジネスの視点を交えながら、詳しくお話ししていきましょう。


1. 「ワクワク」がエネルギーの源泉である

私が毎年、箱根駅伝で「〇〇大作戦」という名前を付けているのはご存知ですよね?「ワクワク大作戦」や「ピース大作戦」……。あれは単なるメディア向けのパフォーマンスではありません。

人生において最も大事なことの第一は、「自分自身がワクワクしているか」という心の状態です。

どんなに能力があっても、どんなに恵まれた環境にいても、本人の心が燃えていなければ、結果は出ません。強制されてやる練習、義務感だけでこなす仕事——これでは、人間は100%の力を発揮できないのです。

私は、サラリーマン時代に新規事業の立ち上げや、いわゆる「窓際」も経験しました。その時に痛感したのは、「情熱は論理を超える」ということです。自分がその仕事にワクワクし、成し遂げたいという強い意志があれば、周囲を巻き込み、不可能を可能にするエネルギーが生まれます。

皆さんの人生はどうですか? 朝起きたときに「さあ、今日はこれをやるぞ!」というワクワク感がありますか? もし、それがないのであれば、まずは自分の「ワクワクの種」を見つけること。これが人生を豊かにする第一歩です。

2. 「自律」した個として立つ

次に重要なのは、「自律」です。

私が青学に来た当初、まず取り組んだのは、伝統という名の「強制」を排除することでした。当時のスポーツ界は、監督の絶対的な命令に従う「管理型」が主流でした。しかし、私はそれを良しとしませんでした。なぜなら、「言われたことしかできない人間」は、予期せぬトラブルが起きたとき、あるいは勝負の瀬戸際に立ったときに、自ら判断して動くことができないからです。

人生も同じです。誰かの指示を待つ、社会のせいに周期する、そんな「依存型」の生き方では、本当の幸せは掴めません。

大事なのは、「自分はどうなりたいのか」という目標を自分自身で設定し、そのためのプロセスを自分で管理すること。私はこれを「目標管理シート」というビジネスの手法を使って学生たちに落とし込んでいます。

  • 現状を分析する(Indexical Thinking)
  • 具体的な目標を立てる
  • PDCAサイクルを回す

これらを自分一人で行える「自律型人間」になること。これができて初めて、人は自分の人生のハンドルを自分で握ることができるのです。

3. 「進化」を止めない姿勢

人生は、現状維持を考えた瞬間に退化が始まります。だからこそ、「常に進化し続けること」が不可欠です。

私はよく「伝統を創る」と言いますが、それは過去のやり方を踏襲することではありません。「伝統とは、革新の連続である」。昨日までの成功体験を一度捨ててでも、新しいメソッドを取り入れる勇気。それが進化を生みます。

私が陸上界に「フィジカルトレーニング(青トレ)」や「食事改革」を導入したとき、最初は多くの批判を受けました。「走り込みこそが正義だ」という古い常識に抗うのは、勇気がいりました。しかし、データに基づき、論理的に進化を求めた結果が今の青学の強さです。

皆さんも、今の自分に満足していませんか? 「もう歳だから」「これが自分の限界だ」と決めつけていませんか?

人生において、昨日よりも今日、今日よりも明日、少しでも「アップデート」しようとする姿勢。その「進化」の過程そのものが、人生の醍醐味なのです。

4. 失敗は「データ」であり、「プロセス」に過ぎない

多くの人は失敗を恐れます。しかし、私の人生を振り返れば、失敗の連続でした。

陸上選手としては故障で挫折し、サラリーマン時代も最初は全く売れない営業マンでした。でも、私はそれを「終わり」だとは思いませんでした。

失敗とは、成功するための「貴重なサンプル(データ)」なのです。

「なぜ失敗したのか?」を論理的に分析し、次の戦略に活かす。その繰り返しが、私を「伝説の営業マン」にし、そして「箱根の常勝監督」へと導いてくれました。

人生で大事なのは、転ばないことではありません。「転んでもただでは起きない、その転倒さえも進化の材料にする」というレジリエンス(復元力)です。失敗を恐れて挑戦しないことこそが、人生における最大の損失だと私は断言します。


■ 結論:人生を「ハッピー」にするための方程式

まとめると、私、原晋が考える「人生で一番大事なこと」は、以下の3つの要素を掛け合わせたものです。

  1. ワクワクする目標を持つこと(情熱)
  2. 自分の足で立つこと(自律)
  3. 変化を恐れず変わり続けること(進化)

この3つが揃ったとき、人生というレースは、苦しい「修行」から、心躍る「冒険」へと変わります。

私はこれからも、学生たちと共に、そして皆さんと共に、常に「ワクワク」を追い求め、新しい景色を見に行きたいと思っています。皆さんも、一度きりの人生です。誰かの人生を生きるのではなく、あなた自身の「大作戦」を掲げて、元気に、明るく、前向きに突き進んでください!

「できる」と思えば、道は必ず開けます。