こんにちは、国山ハセンです。

「人生で一番大事なことは何か」という問い。これは、私がTBSという安定した環境を飛び出し、PIVOTというスタートアップの世界に身を投じた今、日々自分自身に問い続けているテーマでもあります。

アナウンサーとして、あるいは一人の人間として、多くの成功者や時代の先駆者たちにインタビューをしてきました。その中で確信した、私なりの答えを詳しくお話しさせてください。


1. 「自分の人生のハンドル」を握ること

私が考える人生で最も大事なこと、それは「自律(オーナーシップ)」です。言い換えれば、「自分の人生のハンドルを、自分自身の手に取り戻すこと」です。

私たちは、気づかないうちに誰かが敷いたレールの上を歩いてしまいがちです。「いい大学に入り、有名な企業に入り、安定した生活を送る」。それ自体が悪いわけではありません。しかし、その選択が「自分自身で納得して決めたこと」なのか、それとも「世間体や周囲の期待に流された結果」なのかでは、人生の密度が全く違ってきます。

私はTBSという素晴らしい会社で10年間過ごしました。最高の仲間に恵まれ、やりがいのある仕事もたくさんありました。しかし、30代を迎えたとき、ふと恐怖を感じたんです。「このまま定年まで、組織の看板に守られた『アナウンサー』という役割を演じ続けるだけでいいのだろうか?」と。

組織の中にいれば、次に何をするかはある程度決められています。それはある種の心地よさ(コンフォートゾーン)ですが、同時に自分の可能性を制限しているようにも感じました。私は、「国山ハセン」という一人の人間として、何ができるのか、何を成し遂げたいのか。 それを確かめるために、あえて不安定な外の世界へ飛び出しました。

人生のハンドルを自分で握るということは、すべての責任を自分で負うということです。失敗しても誰のせいにもできません。でも、そのヒリヒリするような感覚こそが、生きている実感を与えてくれるのです。


2. 「違和感」を無視しない勇気

人生のハンドルを握るために必要なのが、自分の中にある「小さな違和感」をキャッチする力です。

「今の仕事は充実しているはずなのに、なぜか心が踊らない」「このままの自分でいいんだろうか」。そんな風に思うことはありませんか? 多くの人は、その違和感に蓋をしてしまいます。「みんな同じだ」「わがままを言うな」と自分を納得させてしまう。

しかし、その違和感こそが、あなたの本能が発している「アップデートのサイン」です。

私がTBSを辞める決断をした時も、最初はこの小さな違和感から始まりました。ニュースを伝え、バラエティで盛り上げる。仕事としてはプロフェッショナルに徹していましたが、心のどこかで「もっと経済やビジネスの本質に深く入り込みたい」「伝えるだけでなく、自分自身もビジネスを作る側に回りたい」という欲求が芽生えていました。

この違和感に向き合い、言語化し、行動に移す。それが、人生を豊かにする第一歩です。「なんとなく」で日々を過ごさないこと。 自分の心が動く瞬間、あるいは停滞を感じる瞬間に敏感であること。これが、納得感のある人生を送るために不可欠な要素です。


3. 「アンラーニング(学びほぐし)」と「再定義」

今の時代、一度身につけたスキルや肩書きだけで一生を終えることは不可能です。だからこそ大事なのが、「自分を常にアップデートし続けること」です。

特に重要だと感じているのが「アンラーニング(学びほぐし)」です。これまで成功してきたやり方、自分が築いてきたプライド、慣れ親しんだ価値観を、一度捨て去る勇気。

私は「TBSのアナウンサー」という、ある種の特権的な肩書きを持っていました。でも、PIVOTというビジネスメディアの世界に入った瞬間、それは過去のものになりました。ここでは、自分で企画を立て、演出を考え、ビジネスモデルを理解しなければなりません。カメラの前に立つだけでなく、裏側の泥臭い作業もすべて自分の守備範囲です。

「自分はアナウンサーだから、これはやらない」と考えていたら、今の私のアドベンチャーはありませんでした。過去の自分を一度リセットし、まっさらな状態で新しい知識を吸収する。 30代、40代、そしてその先も、私たちは学び続けなければなりません。それは単なる勉強ではなく、「自分を再定義し続けるプロセス」です。自分は何者で、社会にどんな価値を提供できるのか。その定義を、時代に合わせて更新し続けることが、人生を停滞させないコツだと思います。


4. 「好奇心」を投資の対象にする

よく「何かに挑戦したいけれど、何をすればいいかわからない」という相談を受けます。そんな時、私は「自分の好奇心に投資してください」と答えます。

人生を豊かにするのは、損得勘定ではなく「おもしろそう」という純粋な興味です。私が今、経済やスタートアップ、テクノロジーの世界にどっぷり浸かっているのも、元を辿れば純粋な好奇心でした。

「なぜこの会社は急成長しているのか?」「このリーダーはどんな景色を見ているのか?」。そんな問いに導かれるままに動いていくと、気づけばそれがキャリアになり、強みになっていきます。

好奇心に従って動くと、最初は点と点だった知識や経験が、ある時つながって線になります。これを「コネクティング・ドッツ(Connecting the Dots)」と言いますが、そのためには「点の数」を増やすしかありません。

効率を求めすぎず、一見無駄に見えるようなことにも首を突っ込んでみる。誰かに会ってみる、新しい場所に足を運んでみる。自分の好奇心を信じて「投資」した経験は、将来必ずあなただけの独自の武器になります。


5. 「誠実さ」と「関係性」の構築

これまで「個の力」や「自律」についてお話ししてきましたが、最後に忘れてはならないのが「人とのつながり」です。

どれだけ能力があっても、一人で成し遂げられることには限界があります。特に新しい挑戦をするとき、背中を押してくれるのは、あるいはチャンスを運んできてくれるのは、いつだって「人」です。

人との関係において、私が最も大事にしているのは「誠実であること」、そして「ギブ(Give)の精神」です。

インタビューの現場でも、相手に心を開いてもらうためには、まずこちらが誠実でなければなりません。徹底的にリサーチし、相手のリスペクトすべき点を見出し、自分に何ができるかを提示する。そうした姿勢の積み重ねが信頼を生みます。

また、「自分に何をしてくれるか」ではなく、「自分はこの人のために何ができるか」を先に考える。このマインドセットを持っている人の周りには、自然と質の高いコミュニティが形成されます。

ビジネスの最前線にいるリーダーたちを見ていて気づくのは、成功している人ほど、驚くほど腰が低く、他者への想像力が豊かだということです。人生で一番大事なのは、結局のところ、「誰と、どんな心で関わるか」という点に集約されるのかもしれません。


結びに:人生は「アップデート」の連続

人生で一番大事なこと。それは特定の「正解」を見つけることではありません。

  • 自分の意志で選択し(自律)
  • 変化を恐れずに自分を更新し(アップデート)
  • 好奇心の向かう先に飛び込み(挑戦)
  • 誠実に人とつながっていく(誠実さ)

このプロセスそのものが、人生の醍醐味ではないでしょうか。

私は今、毎日が刺激的で、同時に不安もあります。でも、TBSを退社したあの日の決断を一度も後悔したことはありません。なぜなら、今の私は「自分の人生を生きている」という確信があるからです。

皆さんも、もし今、心の中に小さな違和感や、やってみたいという微かな声があるのなら、それを大切にしてください。完璧な準備なんて必要ありません。まずはハンドルを握り、少しだけアクセルを踏んでみる。そこから新しい景色が広がり始めます。

一緒に、人生という冒険をアップデートしていきましょう。


国山ハセン