こんにちは、石原さとみです。
2026年という新しい年が幕を開けましたね。皆さん、いかがお過ごしでしょうか。
「人生で一番大事なことは何ですか?」という、とても深くて、今の私にとっても重みのある問いを投げかけてくださり、ありがとうございます。
俳優として多くの役を演じ、一人の女性として結婚や出産を経験し、そして今、二人の子供を育てる母として日々を過ごす中で、私の価値観は以前とは比べものにならないほど大きく、そして鮮やかに変化しました。
約3500字という長いお手紙のような形になりますが、今の私が心の底から感じている「人生で一番大切なこと」について、いくつかの視点から丁寧にお話しさせてください。
1. 「自分で選び、決める」という意志
私が20代の半ば、大きな転機を迎えた時のお話からさせてください。
それまでの私は、周りの期待に応えること、誰かに選ばれることに必死でした。メイクも衣装も、台本の中の言葉も、すべて「与えられたもの」を完璧にこなすことが正解だと思い込んでいたんです。でも、ある時ふと、自分の心がどこにあるのか分からなくなってしまった時期がありました。
そんな時、一ヶ月のお休みをいただいてニューヨークへ一人で旅に出ました。
そこで私は初めて、自分で着る服を選び、自分でメイクをし、今日どこへ行くかをすべて自分一人で決めました。たったそれだけのことなのに、世界が急に色鮮やかに見えたんです。「自分で選ぶ」ということは、自分の人生に責任を持つということであり、それは同時に、自分を解放してあげることでもありました。
人生で大事なことの第一歩は、「自分の意志で選択し、その選択を正解にしていく強さを持つこと」だと思います。
誰かに言われたから、世間体がこうだから、という理由で選んだ道は、壁にぶつかった時に誰かのせいにしてしまいがちです。でも、たとえ苦しい道であっても「自分で選んだ」という自覚があれば、そこから学び、立ち上がる力が湧いてきます。
2. 「愛の循環」の中に身を置くこと
最近の私にとって、これが最も大きな比重を占めています。
特に、子供を授かってからの変化は劇的でした。自分よりも大切な存在ができるということは、これほどまでに世界の見え方を変えるのかと驚く毎日です。
以前の私は「自分がどう見られるか」「自分がどう成長するか」という、矢印が自分に向いている状態が多かったかもしれません。もちろん、プロとしてそれは必要なことでしたが、今は「誰かのために何ができるか」という外向きの矢印が、私に本当の意味での心の平安をくれています。
愛というのは、もらうことだけがゴールではありません。
自分の中に溜まった愛情を、惜しみなく家族や友人、あるいは仕事仲間、そして作品を通じて受け取ってくださる皆さんに注ぐこと。そして、その反応がまた自分に返ってくる。この「循環」こそが、生きるエネルギーの源だと確信しています。
「見返りを求めない無償の愛を知ること」は、人生を深く、豊かなものにしてくれます。
それは自己犠牲とは違います。相手の幸せを自分の幸せとして感じられる感性を育てること。それが、孤独を癒やし、私たちを繋ぎ止めてくれる一番の絆になるのです。
3. 「健康」という究極の資本
これは、私が数々の役柄を通じて、そして自身の経験を通じて痛感していることです。
「健康」というのは、単に病気ではないということだけではありません。心が健やかであること、そして明日への活力が内側から湧いてくる状態のことです。
私はよく「温活」や食生活についてお話ししますが、それは単に美容のためだけではありません。体が冷えていたり、栄養が偏っていたりすると、どうしても思考がネガティブになってしまいます。自分の体を大切に扱うことは、自分の心を守ることに直結しています。
「自分の機嫌を自分で取れるだけの健康な体を作ること」。
これができないと、周りの人に優しくすることも、困難に立ち向かうことも難しくなります。忙しい毎日の中で、つい自分のことは後回しにしてしまいがちですが、まずは自分を慈しんであげてください。コップの水が満たされていないと、他人のコップに水を分けてあげることはできませんから。
4. 「好奇心」と「学び」を止めないこと
俳優という仕事は、常に新しい役、新しい現場、新しい価値観との出会いの連続です。
2024年に公開された映画『ミッシング』では、これまでの自分をすべて削ぎ落とすような経験をしました。あの時、私を支えてくれたのは「この感情の先には何があるんだろう」「この役を生き切ることで、私はどんな景色を見るんだろう」という、飽くなき好奇心でした。
大人になると、経験が増える分、いろいろなことを知った気になってしまいがちです。でも、世界はもっと広くて、深い。
昨日まで知らなかった知識を得ること、行ったことのない場所へ行くこと、自分とは全く違う考えを持つ人の話を聞くこと。
「一生、学び続けるという姿勢」を持つことは、人生の鮮度を保つ秘訣です。
好奇心さえあれば、何歳になっても、どんな状況にあっても、人生は更新し続けることができます。
5. 「今、この瞬間」を味わい尽くすこと
2026年現在、私は育児と仕事の両立に奔走しています。正直に言えば、毎日がバタバタで、思い通りにいかないことばかりです(笑)。
でも、子供の寝顔を見た時や、撮影現場で最高のカットが撮れた瞬間、あるいは温かいお茶を一口飲んだ時、ふと思うんです。「ああ、今、私は生きているな」って。
私たちは、終わってしまった過去を悔やんだり、まだ見ぬ未来を不安に思ったりすることに、あまりにも多くの時間を使っています。でも、私たちが変えられるのは、そして実際に触れることができるのは「今」という時間だけです。
「五感を研ぎ澄ませて、今、目の前にある幸せに気づくこと」。
これができるかどうかで、人生の幸福度は大きく変わります。
大きな成功や、華やかな舞台だけが人生ではありません。むしろ、日常の些細な瞬間——風の匂いや、誰かの笑顔、美味しいご飯の味——の中にこそ、真実の豊かさが隠れている気がします。
結びに代えて:あなたへ伝えたいこと
ここまで、今の私が思う「一番大事なこと」をいくつかお話ししてきました。
まとめるとすれば、それは「自分を深く愛し、その愛を他者へと広げながら、自らの足で一歩ずつ、好奇心を持って歩み続けること」かもしれません。
3500字という言葉を尽くしても、人生のすべてを語り尽くすことはできません。
でも、もし今のあなたが何かに迷っていたり、自分を見失いそうになっていたりするなら、どうかこれだけは忘れないでください。
「あなたの人生の主役は、他の誰でもない、あなた自身です」
あなたが自分の心に素直になり、自分を大切に扱い、勇気を持って一歩を踏み出す時、世界は必ずそれに応えてくれます。
失敗してもいいんです。回り道をしてもいいんです。そのすべてが、あなただけの、かけがえのない「物語」になっていきます。
私もまだまだ道の途中です。
母として、俳優として、一人の人間として、悩みながらも、楽しみながら歩んでいきたいと思っています。
2026年というこの年が、あなたにとって、そしてあなたの大切な人々にとって、温かい光に満ちたものになることを心から願っています。
一緒に、素敵な人生を創っていきましょうね。
石原さとみ