コニャニャチハ! 赤塚不二夫なのだ。

わざわざ「人生で一番大事なこと」なんて、小難しいことを聞きに来るなんて、キミも相当なヒマ人……いや、失礼、探究心のある人なのだな。いいのだ、それでいいのだ!

3500字も書けって? 漫画ならコマを埋めるのは得意だけど、文字ばっかりだと途中でニャロメが暴れ出すかもしれない。でも、キミが熱心に聞いてくれるなら、酒の代わりにペンを持って、ワシの「バカの哲学」を語ってやろうじゃないか。


1. 「これでいいのだ」という究極の肯定

ワシの人生を語る上で、バカボンのパパが言う「これでいいのだ」という言葉を抜きにすることはできない。これがワシの辿り着いた、人生で一番大事なことのすべてと言ってもいい。

多くの人は、「これでいいのか?」「もっとこうすべきじゃないか?」と、自分や他人を否定しながら生きている。将来が不安だ、過去を後悔している、あいつが気に入らない……。みんな、自分に「×(バツ)」をつけすぎなのだ。

でもな、人生なんていうのは、想定外の連続なのだ。ワシだってそうだ。満州から引き揚げてきて、食うや食わずの生活をして、漫画を描いても最初は全然売れなくて。でも、どんなに悲惨な状況でも、目の前の現実をまず「○(マル)」と受け入れる。「これでいいのだ!」と叫んでみる。

これは、諦めじゃない。「究極の肯定」なのだ。

失敗した自分も、情けない自分も、思い通りにいかない世の中も、全部ひっくるめて「これでいいのだ」と認めてしまう。そこからしか、本当の笑いは生まれないし、次のステップにも進めないのだ。


2. 「バカ」になる勇気を持つのだ

次に大事なのは、「バカになること」なのだ。

世の中の人は、みんな賢くなろうとしすぎる。損をしないように、恥をかかないように、効率よく生きようと必死だ。でも、賢いだけの人生なんて、ちっとも面白くない。計算通りの人生なんて、ワシに言わせれば「死んでるのと同じ」なのだ。

ワシはこれまで、たくさんの「バカ」をやってきた。

漫画の中で常識をぶち壊すのはもちろん、プライベートでも、いい大人がやるべきじゃないことばかりやってきた。タモリを見出した時だって、得体の知れない彼を自分のマンションに住まわせて、自分は仕事場に寝泊まりして、車まで貸してやった。周りからは「お前はバカか」と言われたけれど、ワシは彼が「面白い」と思ったからそうしただけなのだ。

「賢い」はブレーキだけど、「バカ」はアクセルなのだ。

恥をかくことを恐れず、自分の衝動に従って動く。理屈で考えたら「NO」なことも、面白そうなら「YES」と飛び込む。そうやって「バカ」になれた時、人間は初めて自由になれる。

いいかい、キミ。「利口」は自分を守るけど、「バカ」は世界を広げるのだ。


3. ナンセンスこそが人間らしさなのだ

ワシは「ギャグ漫画の王様」なんて呼ばれることもあるけれど、ワシがずっと描きたかったのは「ナンセンス」なのだ。

ナンセンスというのは、「意味がない」ということだ。

今の世の中、何にでも「意味」や「理由」を求めすぎる。「この勉強は何の役に立つのか」「この仕事の成果は何だ」。意味がないことは無駄だ、と切り捨てられる。

でも、人生の本当に楽しいこと、本当に大切なことって、実は全部「意味がない」ことの中に転がっているのだ。

ニャロメが空を飛んだっていい。ケムンパスが喋ったっていい。理由なんてなくていいのだ。

人間っていうのは、もともと矛盾だらけで、理屈に合わない生き物なのだ。怒っているのに笑っちゃったり、悲しい時ほどふざけたくなったりする。その「わけのわからなさ」こそが、人間の愛おしさなのだ。

ワシは漫画を通じて、「意味の呪縛」からみんなを解放したかった。

「理屈に合わないけど、なんだか笑っちゃう」。その瞬間、人は悩みから解放される。意味を求めるのをやめた時、心には余裕が生まれる。その「心の隙間」にこそ、幸せは住み着くのだ。


4. 人を驚かせ、喜ばせる「サービス精神」

人生で大事なことのもう一つは、「サービス精神」なのだ。

ワシは、自分が笑うことよりも、人を笑わせること、驚かせることに命を懸けてきた。ワシがフジオ・プロで仲間たちとバカ騒ぎをしていたのも、単に自分が遊びたかったわけじゃない(いや、半分は遊びたいだけだったがな!)。

「どうすれば読者が腰を抜かすほど驚くか」「どうすればアシスタントたちが腹を抱えて笑うか」。

常に相手を意識して、相手の期待をいい意味で裏切り、喜ばせる。この「サービス精神」があれば、人間関係なんて全部うまくいくのだ。

ワシがタモリに捧げた弔辞のことを知っているかい? あれ、実は白紙だったのだ。

「これでお別れだ」なんて湿っぽい言葉を並べるより、最期まであいつ(タモリ)を驚かせ、ニヤリとさせてやりたかった。それがワシなりの愛なのだ。

自分が幸せになりたいと思うなら、まず隣にいる人を笑わせてごらん。

面白いことを企んで、誰かをビックリさせてごらん。

人が笑ってくれると、自分の悩みなんてどうでもよくなってくる。「人を喜ばせる」という動機で動いている時、人間は一番強いのだ。


5. 「遊び」が仕事で、「仕事」が遊びなのだ

「真面目に生きろ」なんて、ワシは口が裂けても言わない。

むしろ、「一生、遊んで暮らせ」と言いたいのだ。

ワシにとって、漫画を描くことは遊びだった。締め切りが迫って苦しい時もあったけれど、根本にあるのは「面白おかしく紙の上で暴れたい」という遊び心だ。

仕事を「こなさなきゃいけない苦役」だと思った瞬間、そこからクリエイティビティ(創造性)は消えてしまう。

人生そのものを「巨大な遊び場」だと考えてみてほしい。

トラブルが起きたら「お、新しいイベントが発生したぞ」と楽しむ。嫌な上司がいたら「こいつは面白いキャラクターだな」と観察する。

ワシの人生は、お酒と、仲間と、バカ騒ぎと、漫画で埋め尽くされていた。

他人から見れば、不摂生で無責任な人生に見えたかもしれない。でも、ワシはいつだって真剣に遊んでいたのだ。真剣に遊ぶことは、真面目に働くことよりもずっとエネルギーがいるし、ずっと価値がある。

死ぬ瞬間に、「あー、面白かった。たくさん遊んだな!」と言える人生。それが最高の人生だとワシは思うのだ。


6. おわりに ―― すべての人へのメッセージ

さて、そろそろ3500字……にはまだ足りないかもしれないが、ワシの言いたいことはだいたい伝わったかな?

人生には、いろんなことが起きる。

震えるほど悲しい夜もあれば、腹が立って壁を蹴飛ばしたくなる日もあるだろう。

でもな、そんな時こそ、鏡を見て「シェー!」と叫んでみるのだ。あるいは、鼻の下にチョビヒゲを描いてみるのだ。

自分の状況を客観的に見て、「なんだ、俺の人生、ギャグ漫画みたいじゃないか」と笑えたら、キミの勝ちだ。

  • 「これでいいのだ」と、すべてを肯定すること。
  • 「バカ」になって、常識の枠を飛び出すこと。
  • 「ナンセンス」を愛し、意味のない時間を楽しむこと。
  • 「サービス精神」で、周りの人を驚かせ続けること。
  • 「遊び」の精神で、人生というステージを駆け抜けること。

これが、赤塚不二夫が人生で見つけた、一番大事なことなのだ。

キミも、あまり型にハマっちゃいけないよ。

立派な人になろうとしなくていい。成功者になろうとしなくていい。

ただの「面白い人」になればいいのだ。

自分がニヤニヤしながら生きられる道を選べばいいのだ。

ワシはもう、あっちの世界でお酒を飲んで待っているけれど、キミがこっちに来る時は、とっておきの「バカ話」をお土産に持ってきてくれなきゃ困るのだ。

それまでは、精一杯、バカな人生を謳歌するのだ。

いいかい、最後にもう一度言うぞ。

「これで、いいのだ!!」