やあ、こんにちは!尾田栄一郎です。

「人生で一番大事なことは何か」……。いやあ、これまた、グランドラインの正体を聞かれるのと同じくらい難しい質問だね(笑)。でも、僕が25年以上も机にかじりついて、ペンを走らせ続けてきた中で、確信していることがいくつかあります。

原稿用紙と向き合って、数えきれないほどのキャラクターたちの人生を描いてきた僕が思う「人生で一番大事なこと」。それは、一言で言うなら「自分の心にある『ワクワク』という羅針盤を信じ抜くこと」、これに尽きるんじゃないかな。

3500字という長い航海になるけれど、僕の頭の中にある「人生の航海術」をじっくり話してみるよ。


## 1. 自分の「ワクワク」を殺さないこと

僕たちの周りには、いつも「常識」とか「将来への不安」とか、まるで海軍の包囲網みたいなものが張り巡らされているよね。「そんなの無理だ」「もっと現実を見ろ」「普通はこうするもんだ」。そんな声が、嵐のように吹き荒れている。

でもね、そんな嵐の中で一番頼りになるのは、天気予報でも、誰かの助言でもない。君の胸の奥で「あ、これ楽しそう!」「これがやりたい!」と小さく鳴っている、あの「ワクワク」という鼓動なんだ。

僕が『ONE PIECE』を描き始めた時、周りは「海賊モノなんてヒットしない」と言っていた。当時の漫画界では、海賊というのは古い題材だと思われていたんだ。でも、僕の心の中には、幼い頃から抱いていた「冒険への憧れ」や「巨大なクジラや空飛ぶ島」のイメージが、キラキラと輝いて止まらなかった。

もしあの時、僕が「ヒットしなさそうだから」と、自分のワクワクを押し殺して別の漫画を描いていたら、今の僕はいない。人生で一番大事なのは、自分の心が「これが一番面白いんだ!」と叫んでいる声を、絶対に無視しないこと。それが、君だけの航路を決める第一歩なんだ。

## 2. 「自由」であることの本当の意味

僕の物語の主人公、ルフィはよくこう言うよね。「支配なんかしねェよ。この海で一番自由な奴が海賊王だ!」って。

僕にとって「自由」というのは、好き勝手に振る舞うことじゃない。「自分の人生を、自分の意志で決定している」という実感のことなんだ。

人生には、どうしても避けられない義務や、窮屈な人間関係がある。でも、その中でも「自分はどうしたいのか」を問い続けること。誰かに決められた道を行くのではなく、泥だらけになっても、迷っても、自分の足で一歩を踏み出すこと。それが自由だと思う。

もし、今の環境が窮屈で、まるで「鳥かご」の中にいるように感じるなら、まずは心の中で羽を広げてみてほしい。「自分は自由だ」と決めた瞬間から、世界の見え方は変わる。何者にも縛られない、純粋な好奇心。それこそが、人生という冒険を彩る最高の宝物なんだ。

## 3. 「仲間」という名の宝物

ルフィは一人じゃ海賊王になれない。ゾロがいて、ナミがいて、サンジがいて……。それぞれができることを持ち寄って、できないことを補い合っているから、あの一味は強いんだ。

人生も全く同じだと思う。「自分一人で完結しようとしないこと」。これも、すごく大事なことだ。

今の世の中、どこか「自分一人で自立しなきゃいけない」「弱音を吐いちゃいけない」という空気があるけれど、それはちょっと寂しいよね。僕だって、自分一人の力で漫画を描いているわけじゃない。支えてくれるアシスタントのみんな、編集者、そして何より、読んでくれる読者のみんながいるから、ペンを握り続けられる。

「自分にはこれがない」「あれができない」と卑屈になる必要はないんだ。できないことは、誰かに助けてもらえばいい。その代わり、自分ができることで誰かを全力で喜ばせる。そうやって「喜びの循環」の中に身を置くこと。

「こいつと一緒にいれば、なんだか楽しくなる」。そんな風に思える仲間に出会うこと、そして自分も誰かにとってのそんな存在になること。人生の最期に思い出すのは、手に入れた金銀財宝じゃなく、仲間と一緒に笑い転げた「宴(うたげ)」の時間だと、僕は本気で思っているよ。


## 4. 圧倒的な「情熱」と「継続」

さて、ちょっと厳しい話もしておこうかな。

「ワクワク」や「自由」を大切にすると言っても、それを形にするためには、やっぱり圧倒的な努力が必要になる。

僕は今でも、週に数時間しか寝ないで原稿を描くことがある。人からは「大変ですね」と言われるけれど、僕自身は「大変」だと思ったことは一度もないんだ。なぜなら、「描きたいものが多すぎて、時間が足りない」という強烈な情熱があるから。

人生で何かを成し遂げたいと思うなら、その情熱を絶やさないこと。そして、「飽きずに続けること」

才能というのは、最初からあるものじゃない。「好き」という気持ちを持ち続けて、何年も、何十年も積み重ねた先に、ようやく芽吹くものなんだ。僕にとっての漫画がそうであったように、君にとっても「これだけは譲れない」という何かがあるはず。それが仕事でも、趣味でも、家族への愛でもいい。その熱量を、外側の冷たい風にさらして冷やさないようにしてほしい。

## 5. 「誰かを喜ばせる」という視点

僕が漫画を描く時、常に頭にあるのは「読んでくれる子供たちが、どれだけ驚いてくれるか、笑ってくれるか」ということ。

自分一人の満足のために何かをするのは、いつか限界が来る。でも、「誰かを喜ばせたい」「誰かを元気づけたい」という願いは、無限のエネルギー源になるんだ。

誰かのために扉を開ける、誰かの話に耳を傾ける、誰かを笑わせるために一生懸命になる。そんな小さなことの積み重ねが、結果として自分自身の人生を豊かなものにしてくれる。

「人生で一番大事なこと」を探して迷っているなら、まずは自分の周りにいる大切な人を、今日一日どうやって喜ばせようか、と考えてみてほしい。その視点を持つだけで、人生の解像度は一気に上がるはずだよ。


## 6. 未完成であることを楽しむ

最後に伝えたいのは、「人生は、未完成でいい」ということ。

『ONE PIECE』も、あと少しで完結に向かおうとしているけれど、描き始めた当初には予想もしていなかった方向に物語が膨らんでいった。それは、僕が描いている途中で「あ、こっちの方が面白い!」と寄り道をしたから。

人生も、計画通りにいかないことの方が多い。嵐に遭って進路がズレたり、船が壊れたりすることもあるだろう。でも、その「寄り道」こそが、君だけの物語の深みになるんだ。

目的地(ゴール)にたどり着くことだけが人生じゃない。その途中の景色、出会った人々、交わした言葉。そのすべてが、君という人間の「ワンピース(ひとつなぎの大秘宝)」なんだよ。


## 結び:君が君の物語の主人公

人生という海は広くて、時には怖くなることもある。でも、忘れないでほしい。

君の人生という物語の作者は、他の誰でもない、君自身なんだ。

どんな困難な状況にいたとしても、次のページで大逆転を起こす権利は、常に君の手にある。

  • 心の羅針盤(ワクワク)を信じること。
  • 自分らしく自由であること。
  • 仲間と共に歩むこと。
  • 情熱を絶やさないこと。
  • そして、人生という冒険を心から楽しむこと。

これが、僕がこれまでの人生で見つけた、一番大事なことのすべてです。

さあ、筆を置くよ。僕もまた、自分の物語の続きを描きに戻らなきゃ。

君の航海が、最高にワクワクするものでありますように!

野郎共、出航だ!!


いかがでしたでしょうか。尾田先生らしい熱量と、自由、仲間、ワクワクを大切にする姿勢を意識して執筆しました。