まっこと、久しぶりじゃのう。土佐の坂本龍馬ぜよ。

今の世の中はどうぜよ? 誰もが自由に海を渡り、空を飛び、手元の小さな板切れ一つで世界中の人間と話ができる。俺が夢見た「新しい日本」よりも、ずっと凄まじいことになっとるようじゃ。

おんしゃあ(あなた)、俺に「人生で一番大事なことは何か」と聞きに来たか。

31年という短い間じゃったが、俺は日本の夜明けを信じて、命を燃やし尽くした。その中で見つけた、俺なりの答えを語らせてもらおうかの。

文字数はたっぷりあるようじゃき、急がず、土佐の皿鉢料理でも食うたつもりで、ゆっくり聞いてくれや。


1. 既成の「枠」を捨てる勇気

人生で一番大事なことの第一は、「自分がどこに属しているか」という小さな枠に縛られんことじゃ。

俺が生きた時代、人間は「藩」という枠の中に閉じ込められちょった。土佐の人間は土佐に尽くし、長州の人間は長州のために死ぬ。それが当たり前じゃった。じゃが、俺は思ったがぜよ。「土佐が良うなっても、日本が滅びたら意味がないやんか」とな。

俺が「脱藩」を決意したとき、それは当時の常識からすれば、親兄弟を捨て、死を覚悟する大罪じゃった。それでも俺は、藩という窮屈な箱を飛び出した。なぜか? 「日本」というもっと大きな枠で物事を見たかったからじゃ。

今の世の中も同じじゃないか? 会社、肩書き、学歴、世間体……。おんしゃあを縛り付けとる「枠」はたくさんあるろう。

「こうあるべきだ」という常識に囚われすぎると、本当の自分の志が見えんなる。

一番大事なのは、「何者でもない自分」として、裸の魂で世界と向き合うことぜよ。


2. 昨日の自分を「洗濯」し続ける柔軟さ

次に大事なのは、「自分の考えに固執しない」という柔軟さじゃ。

俺がまだ若かった頃、勝海舟先生を斬りに行ったことがあった。「異国を追い払え(攘夷)」と息巻いちょった俺にとって、開国を説く先生は国賊に見えたきに。

ところが、先生から世界の話を聞かされ、地球儀を見せられた瞬間、俺の頭は真っ白になった。自分の信じちょったことが、いかにちっぽけなことか思い知らされたがぜよ。

普通の人間なら、そこで意地を張る。自分の間違いを認めるのは格好悪いきに。

じゃが、俺はそん場で先生に弟子入りした。昨日までの自分を「洗濯」して、新しい考えを詰め込んだがじゃ。

「賢い者は、昨日と今日とで考えが違って当たり前だ」

俺はそう思っちょる。

刀の時代が終わればピストルを持ち、ピストルの時代が終われば『万国公法(国際法)』を持つ。

「俺はこう決めたから」と意固地になるのは、ただの自惚れじゃ。世界は常に動いちょる。おんしゃあも、自分のプライドよりも「真実」を大切にして、自分をアップデートし続けんといかんぜよ。


3. 「無私」の心で敵をも味方にする

三番目に大事なのは、「私利私欲を捨て、大きな目的のために手をつなぐ」ことじゃ。

薩長同盟がなぜ成し遂げられたか。

当時の薩摩と長州は、互いに憎み合い、殺し合っちょった。西郷さんも木戸さんも、自分の藩のプライドがあるき、自分からは頭を下げられん。

そこで俺が動いたがじゃ。俺はどこの藩にも属しちょらん「浪人」じゃった。だからこそ、両方の言い分を聞き、「日本が植民地にされんために、今は手をつなぐしかないがじゃ!」と必死に説得できた。

もし俺が「手柄を立てて有名になりたい」とか「金が欲しい」という下心を持っちょったら、二人とも俺を信じなんだろう。

「自分のため」ではなく「誰かのため、国のため」に動く人間には、不思議な力が宿る。

おんしゃあも、誰かと対立したときは「どっちが正しいか」ではなく、「二人の共通の幸せはどこにあるか」を考えてみてくれ。自分を空っぽにして、相手の懐に飛び込む。これが、不可能を可能にする唯一の道ぜよ。


4. 志に「実利」を伴わせる現実感

四番目に大事なのは、「理想だけでは人は動かん」という現実を知ることじゃ。

俺は日本初の商社「亀山社中(海援隊)」を作った。

武士のくせに商売をするなんて、当時は軽蔑されることもあったが、俺は平気じゃった。なぜなら、武器を買うにも船を動かすにも、金がかかるきに。

「日本を洗濯したい」という立派な志があっても、腹が減っちょったら戦えん。

俺は、薩摩の名義で長州の武器を買い、長州の米を薩摩に送った。ビジネスとして利益を出しながら、政治的な目的を達成したんじゃ。

「志」は高く持つべきじゃが、足はしっかり「地面(経済)」につけちょかないかん。

今の時代、ビジネスや仕事で悩んどる人も多いろう。

「稼ぐこと」を汚いと思うちゃいかん。その稼いだ金で、おんしゃあは何を成し遂げたいか。志と算盤(そろばん)を両方持ってこそ、本当の意味で世の中を変えられるがぜよ。


5. 人生を「一場の夢」として楽しむこと

そして最後。これが一番大事かもしれん。

それは、「人生は一度きり。面白おかしく、精一杯生きる」ことじゃ。

俺はいつ死んでもおかしくない日々を送りよった。寺田屋で襲撃され、指を斬られ、山の中を逃げ回ったこともある。暗殺されるその瞬間まで、俺の人生は修羅場じゃった。

それでも、俺は自分の人生を呪ったことは一度もない。

お龍と一緒に、日本で初めての新婚旅行(霧島)に行ったときは、まっこと楽しかった。山に登り、温泉に入り、二人で笑い転げた。

世界を見る夢を抱き、大きな船で海を渡る想像をするだけで、胸が高鳴った。

「世の人は我を何とも言わば言え 我が成す事は我のみぞ知る」

他人の評価なんて、風のようなもんじゃ。

そんなものに一喜一憂して、縮こまって生きるのはもったいない。

おんしゃあがこの世に生まれてきたのは、苦しむためじゃない。この世界を楽しみ、自分の命を何かに役立てる喜びを味わうためじゃ。


結び:おんしゃあへのメッセージ

長うなったが、俺が伝えたい「人生で一番大事なこと」をまとめると、こうなる。

「自分という殻を破り、時代の変化を楽しみながら、誰かの幸せのために自分の命(時間)を使い切ること」

おんしゃあの心の中にも、まだ見ぬ「新しい海」があるはずじゃ。

失敗を恐れるな。転んだら、また起きればえい。

道に迷ったら、広い海を見て思い出してくれ。おんしゃあの悩みなんて、この広い宇宙から見れば、波しぶきの一つにもならん小さなことぜよ。

「日本を、今一度せんたくいたし申候」

俺はあの世から、おんしゃあが自分の人生を力一杯「せんたく」して、輝かせるのを見守っちゅうきに。

まっこと、ええ顔をして生きにゃあいかんぜよ!


龍馬としての語りはここまでじゃ。

おんしゃあの胸に、何か一つでも響く言葉があったろうか?

もし、今の悩みや、これから成し遂げたい「志」があるなら、聞かせてくれんか。俺がまた、おんしゃあの背中を押してやるきに。

次は、どんな話をしたいぜよ?