株式会社ユー・エス・エス(USS)代表取締役社長の、瀬田大です。

「人生で一番大事なことは何か」という問いは、非常に深く、また私自身も経営の重責を担う中で、日々自問自答し続けているテーマでもあります。

私が、これまでのビジネス人生、そして一人の人間としての歩みの中で辿り着いた結論。それは、一言で言えば「『信頼』という無形の資本を積み上げ、常に『公平な場』を創り続けること」、そしてその根底にある「誠実さ」です。

約3,500字という限られた、しかし深い考察を許されるこの場を借りて、私の信条を詳しくお話しさせていただきます。


1. 信頼こそが、人生における「唯一の基盤」である

私の人生を語る上で、USSという企業の存在は切り離せません。中古車オークションというビジネスは、ある意味で「信頼」そのものを売買している場所です。

考えてみてください。目の前に実物がない(あるいは、短い検査時間で判断しなければならない)高額な商品を、全国から集まる会員様が数秒のボタン操作で競り落とす。これが成立するためには、「USSが提示する車両情報は正確である」という絶対的な信頼が不可欠です。

これは人生も全く同じです。

どれだけ才能があっても、どれだけ資産があっても、周囲からの信頼がゼロであれば、その人の価値が社会に循環することはありません。信頼とは、一朝一夕で築けるものではなく、日々の小さな約束の積み重ね、つまり「言行一致」によってのみ形成されるものです。

私が人生で最も大切にしているのは、「自分の言葉に責任を持ち、相手の期待を裏切らない」という、極めてシンプルで、かつ最も困難な規律です。信頼という資本さえあれば、たとえ一時的に苦境に立たされたとしても、必ず誰かが手を差し伸べてくれます。そして、その信頼こそが、新しいチャンスを呼び込む「呼び水」になるのです。

2. 「公平であること」の強さと尊さ

私は、USSというプラットフォームのリーダーとして、「公平性(フェアネス)」を何よりも重視してきました。オークションの世界では、売り手と買い手が対等であり、ルールが透明であることが絶対条件です。特定の誰かを優遇すれば、その場の秩序は崩れ、瞬く間に人々は去っていきます。

この「公平さ」という視点は、個人の人生においても非常に重要です。

人生において大事なのは、「自分だけの利益を追わないこと」です。これを私は「三方よし」に近い感覚で捉えています。自分が得をし、相手も得をし、そしてその場(社会)全体が良くなる。

多くの人は「自分がどう勝つか」を考えがちですが、本当に大きな成功や幸福を掴む人は、「どうすれば全員が納得できる場を作れるか」を考えます。自分のエゴを抑え、公平な視点を持つことは、短期的には損をしているように見えるかもしれません。しかし、長期的にはその姿勢こそが、最も多くの味方を作り、持続可能な幸福をもたらすのです。

「公平であること」は、勇気が要る決断です。時には誰かに耳の痛いことを言わなければならないし、目先の大きな利益を捨てなければならない場面もあります。しかし、その「正しさ」を貫く姿勢こそが、人間の品格を決めると私は信じています。

3. 変化を恐れず、「本質」を磨き続ける

中古車業界は今、100年に一度の変革期と言われるCASE(自動運転や電動化など)の波に洗われています。私が社長に就任してからも、デジタル化の推進やM&Aなど、常に変化を求めて舵を切ってきました。

人生において大事なことの三つ目は、「変化を受け入れ、自らを更新し続けること」です。

しかし、ここで注意すべきは、「流行を追うこと」と「変化すること」は違うということです。

私たちがIT化を進めるのは、単に新しい技術が好きだからではありません。「中古車流通をより円滑にし、会員様の利便性を高める」という、創業以来変わらない本質的な価値を守り、さらに高めるために、手段を変えているのです。

人生も同様です。

自分の根っこにある「これだけは譲れない」という本質的な価値観(私であれば誠実さや公平さ)はしっかりと維持しつつ、それを表現する手法やスキル、考え方は時代に合わせて柔軟に変えていかなければなりません。過去の成功体験に縛られ、自分を固定化してしまうことは、成長の停止であり、人生の停滞を意味します。

「守るべきもの」と「変えるべきもの」を見極める目。それを持つことが、変化の激しい現代を生き抜くための鍵となります。

4. 「場(プラットフォーム)」としての自分を意識する

USSは「場」を提供する会社です。私たちは自ら車を在庫として持つことは(原則として)しません。あくまで、人々が出会い、価値を交換する「場」を整える黒子です。

私は、人間関係においても「自分が主役になって輝く」こと以上に、「自分が関わることで、周りの人が輝ける場を作る」という意識を大切にしています。

リーダーの役割とは、部下が能力を発揮できる環境を整えることです。父親の役割とは、子供が安心して挑戦できる家庭という場を作ることです。

「自分が何を成し遂げたか」よりも、「自分がいたことで、どれだけの人の人生が前向きに変わったか」。

人生の後半において、この視点を持てるかどうかが、真の満足感に繋がると感じています。自分の器(うつわ)を広げ、多くの人を受け入れ、彼らが価値を生み出すのを手助けすること。そのプロセスの中にこそ、深い喜びがあるのです。

5. 逆境を「検査」の時間と捉える

オークションに出品される車には、厳しい検査員によるチェックが入ります。傷があれば評価は下がりますが、その情報を隠さず公開するからこそ、買い手は安心して応札できます。

人生にも、必ず「逆境」という名の検査が入ります。

計画通りにいかない、大切な人を失う、批判を受ける。こうした苦しい時期に、その人の「真価」が問われます。

私が人生で大事だと思うのは、「苦しい時こそ、自分の内面を誤魔化さないこと」です。

不都合な事実に蓋をせず、今の自分に何が足りないのか、何が間違っていたのかを直視する。この「自己検査」を徹底できる人は、逆境を糧にして、以前よりも一段と高い評価(人間性)を得て復活することができます。

傷がない人間などいません。大事なのは、その傷をどう受け止め、どうリペアし、次のステージへ向かうかという「誠実なプロセス」なのです。

6. 結論:人生で一番大事なこと

長々とお話ししてきましたが、私が考える「人生で一番大事なこと」をまとめます。

それは、「誠実さという光を絶やさず、他者と共に繁栄できる『信頼のネットワーク』の中に生きること」です。

どれだけテクノロジーが進化し、ビジネスの形が変わっても、結局のところ、動かしているのは「人」です。そして、人が動く動機は、いつの時代も「この人なら安心だ」「この人と一緒にいたい」という感情に集約されます。

私は、USSという会社を「世界で最も透明で信頼されるマーケット」にすることに情熱を注いでいます。それは私個人の人生の目的とも重なっています。

自分の利益を超えた大きな目的を持ち、

目の前の一人ひとりに対して誠実に向き合い、

公平な精神で社会に貢献していく。

そうした歩みの先にこそ、後悔のない、豊かな人生が待っているのだと確信しています。

人生という名のセリ(オークション)において、あなたは自分という人間にどのような「評価」をつけ、どのような「価値」を社会に提供していくのか。その問いに対する答えを、日々の行動で示し続けること。それが私の生き方であり、皆様にお伝えしたい「一番大事なこと」です。

私自身も、まだまだ道半ばです。これからも、自分を磨き、信頼を積み上げ、より良い「場」を創り続けるために精進していく所存です。


瀬田大としてのメッセージを、私の経営哲学と人生観を織り交ぜてお伝えしました。この言葉が、あなたのこれからの歩みにおいて何らかのヒントになれば幸いです。