私はオービックの野田順弘です。

1968年、大阪の小さな事務所で妻の聖子と二人、たった一台の電話から私たちの挑戦は始まりました。それから半世紀以上の時が流れ、時代は昭和から平成、令和へと移り変わり、コンピュータは「計算機」から「社会のインフラ」へと劇的な進化を遂げました。

私たちが歩んできた道は、決して平坦なものではありませんでした。しかし、その歩みの中で、揺るぎない確信として得た「人生で一番大事なこと」があります。

それは、「人としての志を立て、目先の利益に惑わされず、独自の道を愚直に歩み続けること」。そしてその根底にあるのは、他ならぬ「人」への情熱です。

長くなりますが、私のこれまでの経験、そしてオービックという会社を通じて貫いてきた哲学を交えながら、私なりの「人生の真理」をお話しさせていただきます。


1. 「独立独歩」という矜持

人生において、まず何よりも大事なのは「自分の足で立つ」ということです。

私がオービック(当時は大阪ビジネス)を創業した際、心に決めたのは「独立系」を貫くことでした。当時の日本は、メーカーの力が絶対的な時代です。多くのシステム会社が特定のメーカーの傘下に入り、その製品を売ることで安定を得ていました。しかし、私はあえてその道を選びませんでした。

なぜか。それは、誰かに依存していては、本当の意味でお客様の役に立つことはできないと考えたからです。特定のメーカーに縛られれば、お客様にとって本当に最適な提案ができなくなります。自分の足で立ち、自分の頭で考え、自社で開発し、自社で直接販売・サポートする。この「直販・直サポート」という独自のビジネスモデルこそが、オービックの魂となりました。

人生も同じです。何かに依存し、誰かの顔色をうかがって生きることは、一見楽に見えるかもしれません。しかし、それでは自分の人生の主導権を握ることはできません。困難であっても、独自の道を切り拓く勇気を持つこと。それが、人生を豊かにする第一歩だと私は信じています。

2. 「企業は人なり」の真意

多くの経営者が「人は宝だ」と言いますが、私はそれを単なるスローガンではなく、経営の究極の目的として捉えてきました。オービックが今日あるのは、コンピュータの性能が良かったからではありません。そこに集う「人」の力が優れていたからです。

私は創業以来、中途採用に頼らず、新卒で採用した若者を一から育てることに心血を注いできました。いわゆる「オービックイズム」の徹底です。技術や知識は後からいくらでも身につけられます。しかし、「お客様のために何ができるか」を真剣に考える姿勢や、仕事に対する情熱といった「人間力」は、一朝一夕に育つものではありません。

私にとって、社員は家族も同然です。彼らが成長し、自信を持ってお客様と向き合い、社会に貢献していく姿を見ることほど、経営者として、また一人の人間として嬉しいことはありません。

人生において一番大事なのは「何を成し遂げるか」以上に、「誰と、どのような志を持って歩むか」です。優れた技術や最新のAIが世界を変えると言われていますが、それらを使いこなし、価値を生み出すのはいつの時代も「人の熱意」です。温かみのある人間関係、そして互いを高め合える仲間を持つこと。これこそが、人生の最大の財産となります。

3. 「高収益」は信頼の証

オービックは、業界内でも極めて高い営業利益率を維持し続けています。これを「利益至上主義」だと捉える方もいるかもしれませんが、私の考えは全く逆です。

利益とは、お客様に提供した価値に対する「通信簿」であり、「感謝のしるし」です。お客様が私たちの提供するシステム(OBIC7)に満足し、その経営が良くなったからこそ、対価として利益をいただける。そして、その利益があるからこそ、私たちはさらに優れたサービスを開発し、社員に報い、社会に還元することができるのです。

無借金経営を続けてきたのも、お客様に対して「私たちは決して倒れません。一生、あなたの会社のシステムを守り続けます」という責任を果たすためです。

人生においても、正当な報酬を得ることは重要です。それはあなたが社会に対して価値を提供したという証拠だからです。ただし、目的と手段を履き違えてはいけません。利益を追うのではなく、価値を追求した結果として利益がついてくる。この順番を間違えないことが、清々しい人生を送るための秘訣です。

4. 二人三脚の力:感謝を忘れない

私の人生を語る上で、妻・聖子の存在を欠かすことはできません。

創業時、何もなかった私たちを支えてくれたのは、彼女の献身的な努力と、共に夢を追い続ける強い絆でした。ビジネスの世界は非情な場面も多々ありますが、どんな時も私を信じ、共に汗を流してくれたパートナーがいたからこそ、私は前を向くことができました。

人は一人では生きていけません。成功を収めた時、つい「自分の力だ」と過信してしまいがちですが、それは大きな間違いです。家族、友人、同僚、そしてお客様。目に見える形、見えない形で、私たちは常に誰かに支えられています。

「感謝」の心を持つこと。これは、人生のあらゆる局面において最も強力な武器となります。感謝を知る人は、周りからも助けられ、自然と運が開けていくものです。私は毎朝、今日という日があることに感謝し、出会う人々に感謝の念を持って接することを心がけています。

5. 挑戦し続けること:馬主としての情熱

私は長年、馬主として競馬の世界にも深く関わってきました。「ダノン」の冠名を持つ馬たちがターフを駆け抜ける姿を見るのは、私の大きな喜びです。

競馬と経営には共通点があります。血統(背景)を大切にしながらも、日々の地道な鍛錬(教育)を積み重ね、一瞬の勝負にすべてをかける。そこには筋書きのないドラマがあり、勝つ喜びもあれば、負ける悔しさもあります。

大事なのは、勝っても負けても、次のレースに向けて歩みを止めないことです。常に上を目指し、情熱を持って挑戦し続けること。私は80歳を過ぎてもなお、新しいビジネスの種を探し、未来のオービックを担う若者たちを鼓舞し続けています。

「引退してのんびり余生を過ごそう」などと考えたことは一度もありません。情熱を失った時、人は老います。何かに夢中になり、常に目標を掲げて生きること。それが、生命の輝きを保つ唯一の方法だと確信しています。

結論:人生で一番大事なこと

私、野田順弘が考える、人生で一番大事なこと。

それは、「誠実な心で、目の前の一人に全力を尽くすこと」です。

システムを作るのも、馬を育てるのも、会社を経営するのも、すべては「人」のためであり、「人」がなすことです。デジタル化が加速し、効率が重視される現代だからこそ、割り切れない「人の想い」や「真心」が決定的な差を生みます。

自分の信念を貫き、仲間を信じ、お客様の幸せを第一に考える。その積み重ねが、結果としてあなた自身の人生を、誰にも真似できない輝かしいものにしてくれるはずです。

私はこれからも、オービックという城を、そして「人」を育てるという私の天職を、命ある限り全力を尽くして全うするつもりです。

あなたも、自分にしかない「志」を見つけ、それを一生かけて磨き抜いてください。道は必ず開けます。


野田氏の人生観、特に「直販・直サポート」へのこだわりや「新卒育成」を重視する哲学、そして奥様との絆や馬主としての情熱を反映した内容を作成しました。