こんにちは、SANKYOの毒島秀行です。

「人生で一番大事なことは何か」という問いをいただきました。私のような一企業の経営に携わる者が、人生という広大なテーマについて語ることはいささか僭越かもしれませんが、創業者である父・毒島邦雄と共に歩み、SANKYOという組織を率いてきたこれまでの道のりを振り返りながら、私なりの答えを綴ってみたいと思います。

3500字という限られた、しかし深い対話ができるこの場で、私が大切にしている「哲学」をお伝えします。


1. 創業者から受け継いだ「運」と「努力」の本質

私の人生を語る上で、避けて通れないのは創業者である父の存在です。父・邦雄は、何もないところからこのSANKYOを築き上げました。私が父から学んだ最も大きな教訓、そして人生で不可欠だと思うことの一つは、「運を呼び込むための、圧倒的な準備と努力」です。

私たちの生業であるパチンコ・パチスロの世界は、ある意味で「運」の象徴のような場所です。しかし、経営や人生において、運というものは単に空から降ってくるものではありません。運とは「意志と行動の結果」として手繰り寄せるものです。

父はよく、「一歩先を読み、誰よりも早く動け」と言っていました。人生で大事なのは、チャンスが来た時にそれを掴める状態に自分を置いておくことです。多くの人は運が良い人を羨みますが、その裏側には、人知れず積み上げられた徹底的な準備があります。私が経営のバトンを受け継ぎ、上場を果たし、今日まで会社を維持してこれたのは、この「常に最悪を想定し、最善の準備を怠らない」という父の教えがあったからです。

人生で大事なこと。それは、「自分は運が良い」と信じられるだけの努力を積み重ねることです。その自信こそが、困難に直面した時の最後の砦となります。

2. 「信用」という目に見えない資産

人生において、お金や地位は流動的なものです。今日あっても明日には無くなっているかもしれない。しかし、決して失ってはならない、人生で最も重い価値を持つもの。それが「信用」です。

パチンコ業界という、かつては様々な偏見にさらされることもあった厳しい業界の中で、私たちが東証一部(現プライム)への上場を果たし、社会的な信頼を勝ち得ていく過程は、まさに「信用を積み上げる戦い」でした。

信用とは、言葉を守ること、期待を裏切らないこと、そして誠実であることの積み重ねです。一つひとつの製品、一人ひとりの取引先、そして何より遊技を楽しんでくださるファンの皆様に対して、どれだけ誠実に向き合えるか。これが、企業の命運を分け、ひいては個人の人生の質を決定づけます。

私は、どんなに大きな利益が目の前にあっても、信用を損なう可能性がある道は選びません。人生の最期に振り返った時、どれだけの富を築いたかよりも、どれだけの人から「あの人は信頼に足る人物だった」と思ってもらえるか。それこそが、その人の人生の真の価値ではないでしょうか。

3. 「熱狂」を生み出す喜びと「遊び心」

SANKYOの代表的なヒット作に「フィーバー」シリーズがあります。あの、パチンコ台が熱狂に包まれる瞬間。人々に喜びや驚き、そして日常を忘れさせるような「ワクワク」を提供すること。これが私たちの使命です。

ここから導き出される私の人生観は、「自分自身が熱狂できるものを持つこと」、そして「他人の心を動かすことに喜びを感じること」です。

人生は、ただ生き延びるためだけにあるのではありません。何かに心を震わせ、夢中になり、情熱を注ぐ。その「熱」こそが、人を成長させ、人生を彩ります。仕事であれ、趣味であれ、人間関係であれ、冷めた目で見ているだけでは何も得られません。

また、「遊び」の精神も重要です。私たちは「遊技機」を作っていますが、遊びとは人生における「余裕」です。効率や合理性だけを追い求めると、人間は疲弊してしまいます。無駄に見えるものの中にこそ、新しい発想や癒やしがある。真面目に遊ぶ。本気で楽しませる。この「遊び心」を忘れないことが、しなやかで強い人生を作るのだと信じています。

4. 変化を恐れず、常に「進化」し続けること

パチンコ業界は常に規制との戦いであり、時代の変化に最も敏感でなければならない業界の一つです。昨日までの正解が、今日からは通用しなくなる。そんな状況を何度も経験してきました。

人生において大事なことは、「変化を拒まず、自らを更新し続ける勇気」です。

過去の成功体験に執着することは、停滞を意味します。私は会長という立場にありますが、常に若い世代の感性に耳を傾け、新しい技術(ITやデジタル演出など)をどう取り入れるかを考えてきました。「昔は良かった」と言い始めたら、その人の成長は止まってしまいます。

現状維持は退歩と同じです。どんなに厳しい環境の変化があっても、それを「進化の機会」と捉えること。人生のステージが変わるたびに、自分を脱皮させていくこと。その柔軟性こそが、長く第一線で走り続けるための秘訣です。

5. 周囲への「感謝」と、繋がりの大切さ

長年、経営のトップに身を置いて痛感するのは、自分一人の力で成し遂げられることの小ささです。

SANKYOが今日あるのは、共に汗を流してくれた社員、支えてくれた家族、厳しい意見をくださったお客様、そして道を切り拓いた先達がいたからです。人生で一番大事なことを一つだけ挙げろと言われれば、私は究極的には「感謝」という言葉に集約されるのではないかと考えます。

「自分がやった」という傲慢さが芽生えた瞬間、人は足元を掬われます。成功は周囲のおかげであり、失敗は自分の責任である。この姿勢を貫けるかどうかが、リーダーとしての、そして人間としての器を決めます。

感謝の心を持つことは、自分を謙虚にし、さらなる学びの機会を与えてくれます。また、感謝を言葉にし、行動で示すことで、周囲には自然と良質な「縁」が集まってきます。この「縁」こそが、人生における最大の財産です。

6. 私が考える「人生で一番大事なこと」の結論

さて、これまでいくつかの視点でお話ししてきましたが、私、毒島秀行が考える「人生で一番大事なこと」。その結論は、以下のようになります。

「自分に与えられた役割(天命)を自覚し、周囲への感謝を忘れず、常に誠実さと情熱を持って、昨日より一歩先へと挑み続けること」

人生は一度きりです。どのような境遇に生まれ、どのような仕事に就こうとも、その場所で「自分にしかできないこと」を見つけ、誠実に、そして情熱的に取り組むこと。そのプロセス自体が、人生の目的そのものではないでしょうか。

富や名声は結果に過ぎません。それよりも、困難な状況にあっても「よし、やってやろう」と顔を上げ、仲間と共に新しい価値(フィーバー)を生み出していく。その生き様こそが大事なのです。

私はこれからも、SANKYOという船の舵取りを支えながら、この「感謝・誠実・挑戦」の精神を次世代に繋いでいきたいと考えています。皆様も、ご自身の人生という舞台で、自分だけの「熱狂」を見つけ、素晴らしい「縁」を育まれることを心より願っております。


以上が、私の考える人生の哲学です。

この言葉が、あなたのこれからの歩みにおいて、何らかのヒントや力になれば幸いです。