ノエビアホールディングスの大倉俊です。

「人生で一番大事なことは何か」という問いは、経営者として、そして一人の人間として、私自身が日々自問自答し続けているテーマでもあります。ノエビアという企業は、創業者である父・大倉昊が築き上げた「対面販売」という、非常に人間臭く、温かみのあるビジネスモデルを核として成長してきました。

3,500字という限られた、しかし深い考察を許されるこの場を借りて、私がこれまでの歩みの中で辿り着いた、人生において守り抜くべき「核」となる考え方をお話しさせていただきます。


1. 「目に見えない絆」を信じ、育むこと

私が人生で最も大切だと確信していることの一つは、「人と人との誠実なつながり」です。

ノエビアのビジネスは、化粧品というモノを売るだけのものではありません。全国にいるビューティアドバイザーの方々が、お客様一人ひとりと向き合い、悩みを聞き、共に美しさを追求していく。そこにあるのは、効率やデータだけでは計り知れない「信頼」という名の絆です。

現代社会はデジタル化が進み、あらゆるものが効率化されています。しかし、私は銀行員としてキャリアをスタートさせ、その後ノエビアに入社して現場を見てきた中で、結局のところ「最後に人を動かし、人生を豊かにするのは、損得勘定を越えた信頼関係である」という真理に突き当たりました。

相手が何を求めているのか、どうすれば喜んでいただけるのか。それを愚直に考え、行動に移す。この「誠実さの積み重ね」こそが、人生の基盤となります。裏切りや誤解、困難に直面したとき、あなたを救ってくれるのは、それまでに築いてきた「目に見えない貯金」である人間関係なのです。

2. 「自然を科学する」姿勢を人生に投影する

ノエビアのブランド哲学に「自然を科学する」という言葉があります。これは、自然界の持つ計り知れない生命力を、最新の科学技術によって引き出し、人々の美しさに役立てるという考え方です。私はこの哲学を、個人の生き方にも当てはめて考えています。

人生において、「ありのままの自分(自然)」を受け入れつつ、それをどう「磨き上げるか(科学・努力)」。このバランスが極めて重要です。

  • 自然(素の自分)への敬意: 自分の得意なこと、苦手なこと、持って生まれた気質を否定せず、まずは肯定すること。無理をして誰か別の人間になろうとすると、どこかで歪みが生じます。
  • 科学(研鑽と進化): ありのままの自分に甘んじるのではなく、知性を磨き、経験を積み、自分という素材を最高に輝かせるための努力を惜しまないこと。

植物が過酷な環境で自らを進化させるように、私たちもまた、時代の変化という荒波の中で、自らをアップデートし続けなければなりません。「変わらないために、変わり続ける」。このパラドックスこそが、人生のダイナミズムであり、私たちが追求すべき「進化の美学」だと考えています。

3. 「自立」と「利他」の調和

ノエビアという場所は、多くの女性たちが「自立」を目指して集まる場所でもあります。自分の足で立ち、自分の力で人生を切り拓こうとする方々のエネルギーには、いつも圧倒されるほどの美しさがあります。

私が人生で大事だと考える三つ目は、「自立した個として生き、かつ他者の幸福を願うこと」です。

自分自身が満たされていない人間が、他者を幸せにすることはできません。まずは自分がプロフェッショナルとして力をつけ、経済的にも精神的にも自立すること。しかし、その「力」を自分のエゴのためだけに使うのではなく、誰かの役に立てるために使う。この「利他」の精神が加わったとき、人生の質は劇的に変化します。

私たちのビジネスも、アドバイザーの方々が成功し、お客様が美しくなることで、初めて会社が存続できる仕組みになっています。「他者の成功を自分の喜びとする」。この回路を自分の中に持っている人は、どんな困難な状況下でも折れることがありません。なぜなら、自分を支える理由が「自分以外」にも存在するからです。

4. 「健康」という究極の資本

化粧品や医薬部外品、サプリメントを扱う企業の責任者として、切実に感じていることがあります。それは、「心身の健康こそが、すべての活動の源泉である」という事実です。

「美しさは健康から」という言葉は、単なるスローガンではありません。どれほど高い志があっても、どれほど豊かな才能があっても、身体が動かず、心が病んでしまっていては、それを形にすることはできません。

私が考える健康とは、単に病気ではないという状態を指すのではありません。

  • 身体的健康: 質の良い睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動。
  • 精神的健康: 好奇心を持ち続け、新しいことに挑戦する意欲。
  • 社会的健康: 社会の一員として役割を持ち、誰かに必要とされているという実感。

これらを維持することは、自分自身に対する「誠実さ」の表れでもあります。リーダーとして、また一人の人間として、自らを最良のコンディションに整えておくことは、周囲に対する最低限のマナーであり、人生を楽しむための絶対条件です。

5. 逆境を「成長の糧」とする強さ

経営には、必ず波があります。順風満帆な時もあれば、予測不能な危機に晒される時もあります。私自身の経歴を振り返っても、平坦な道ばかりではありませんでした。

そこで学んだのは、「起きた出来事にどういう意味を与えるかは、自分次第である」ということです。

人生で起こる苦難や失敗を、単なる「不運」として片付けるのか、それとも「自分を鍛え直すための絶好の機会」と捉えるのか。この解釈の差が、数年後の自分を大きく変えます。

ノエビアの創業者である父からも、「常に前を向き、困難の中にこそチャンスを見出せ」という精神を叩き込まれました。最悪の事態の中でも、一筋の光を見出し、そこに向かって一歩を踏み出す勇気。その積み重ねが、揺るぎない「自信」を形成していきます。

6. 「感謝」を言葉にし、行動で示す

最後に、私が最も重んじているのは「感謝の心」です。

現在の私があるのは、先代が築いた基盤、共に働く社員、全国のパートナーの皆様、そして製品を愛用してくださるお客様のおかげです。これは謙遜ではなく、紛れもない事実です。

人間は、独りでは何も成し遂げられません。「おかげさまで」という謙虚な気持ちを持ち続けること。そして、その感謝を心に留めるだけでなく、具体的な言葉や行動、あるいは「より良い価値を提供すること」で返していくこと。

感謝の心があるところには、自然と人が集まり、良質な情報が集まり、新しいチャンスが巡ってきます。人生の最後に、「自分は多くの人に支えられ、また自分も誰かの支えになれた」と思えること。それこそが、最も幸福な人生の形ではないでしょうか。


結びに代えて

人生で一番大事なこと。それは、「自分自身という物語を、誠実に、そして情熱を持って書き上げること」に集約されるかもしれません。

化粧品が肌の細胞一つひとつに働きかけるように、私たちの発する言葉、取る行動、抱く志もまた、周囲の世界に影響を与え続けます。

  • 誠実であること
  • 進化し続けること
  • 他者のために動くこと
  • 健康を慈しむこと
  • 感謝を忘れないこと

これらのパーツを組み合わせ、科学し、磨き上げることで、あなただけの「美しき人生」が完成します。

私自身、ノエビアという大きな家族を率いる者として、これからも皆様と共に、この「人生で一番大事なこと」を追求し続けていきたいと考えています。美しさと健康、そして心豊かな未来のために、私たちはこれからも歩みを止めることはありません。

あなたの人生が、輝きに満ちた素晴らしいものになることを、心より願っております。