MCJの高島勇二です。

「人生で一番大事なことは何か」という問いに対し、私のこれまでの歩み――19歳で春日部の片隅で事業を始め、マウスコンピューターというブランドを育て、東証上場を経て、今のMCJグループを築き上げてきた経験――からお話しさせていただきます。

3,500字という限られた枠の中ではありますが、私が経営という荒波の中で、そして一人の人間として大切にしてきた「本質」について、深く語らせてください。


1. 「0から1」を生み出す衝動と、自らの足で立つ覚悟

私が人生で最も大事だと考えていることの一つは、「自分の意志で旗を立て、その責任を最後まで引き受けること」です。

私がビジネスの世界に足を踏み入れたのは、19歳の時でした。当時はまだ「パソコン」が一部のマニアのもので、今のように一人一台持っているのが当たり前の時代ではありません。実家の家業を手伝いながら、独学で組み立てたパソコンが売れた時の、あの震えるような感覚は今でも忘れません。

世の中には、誰かが作ったルールの上で器用に立ち回る生き方もあります。しかし、私は「何もないところに道を作る」ことに、人生の本当の価値があると考えています。

もちろん、新しいことを始めるにはリスクが伴います。周囲からの反対や、資金的な苦境、先が見えない不安。それらすべてを「自分の選択の結果」として受け入れる覚悟があるかどうか。この「覚悟」こそが、人を成長させ、人生を色鮮やかなものにします。

2. 「合理性」の裏側にある「誠実さ」

私が「マウスコンピューター」を成長させる過程で徹底したのは、BTO(Build To Order:受注生産)という仕組みでした。これは一見、在庫リスクを抑えるための非常に「合理的な」経営戦略に見えるでしょう。しかし、その本質にあるのは、顧客に対する究極の「誠実さ」です。

人生において大事なのは、「相手が本当に求めているものは何か」を徹底的に考え抜き、それに応えることです。

既製品を押し付けるのではなく、お客様が必要なスペックを、必要な価格で提供する。この「期待に応える」というプロセスの積み重ねが、信頼という名の大きな資産になります。

ビジネスも人生も同じです。自分だけが得をしようとする「賢さ」は、短期的には通用しても、長期的には必ず破綻します。相手(顧客、社員、パートナー、家族)の利益を第一に考え、その結果として自分に利益が回ってくる。この循環を信じることが、持続可能な成功への唯一の道です。

3. 「変化」を楽しみ、現状を破壊し続ける勇気

IT業界という、変化の激しい世界に身を置いて30年以上が経ちました。昨日までの正解が、今日には不正解になる。そんな世界で私が学んだのは、「変化しないことこそが最大のリスクである」ということです。

人生で大事なのは、「常に自分をアップデートし続けること」です。

人間は、一度成功体験を得てしまうと、どうしてもそれを守ろうとしてしまいます。しかし、守りに入った瞬間から退化は始まります。

私がMCJを上場させた後も、iiyamaの買収やユニットコムのグループ化など、次々と新しい挑戦を続けてきたのは、現状に満足したくなかったからです。

「なぜ今のやり方なのか?」「もっと良い方法はないのか?」

この問いを自分に投げかけ続け、時には自分で作り上げた仕組みさえも壊して、新しい形を作り直す。その「創造的破壊」のプロセスを楽しめるかどうかが、人生の密度を決定づけます。

4. 「人」との出会いと、組織としての器

一人でできることには限界があります。私が19歳で始めた小さな店が、数千人の社員を抱えるグループに成長できたのは、私一人の力ではありません。

人生で大事なのは、「自分よりも優れた才能を持つ人々を認め、その力を発揮できる場を作ること」です。

経営者の仕事は、自分が一番目立つことではありません。社員一人ひとりが「この会社で挑戦したい」と思えるようなビジョンを掲げ、環境を整えることです。

人の成長を見ることは、事業の数字を伸ばすこと以上に大きな喜びを与えてくれます。

「この人と一緒に仕事ができて良かった」と思える関係性をどれだけ築けるか。最後に人生を振り返った時、残るのは資産の額ではなく、そうした「縁」の記憶ではないでしょうか。

5. スピードという名の「誠意」

私は仕事において、何よりも「スピード」を重視してきました。

「検討します」と言って時間をかけるよりも、その場で決断し、動き出す。失敗したらすぐに修正すればいい。

人生において、時間は最も貴重な、そして有限の資源です。

「迷っている時間は、人生を浪費しているのと同じである」

この厳しさを自分に課すことが、チャンスを掴むための絶対条件です。速く動くことは、それだけで相手に対する敬意であり、誠意でもあります。決断を先延ばしにせず、今この瞬間に全力を注ぐこと。その積み重ねが、凡庸な人生と非凡な人生を分けます。

6. 結論:人生で一番大事なこと

ここまで、挑戦、誠実、変化、人、スピードについてお話ししてきました。これらを総括して、私が考える「人生で一番大事なこと」を最後に申し上げます。

それは、「情熱の火を絶やさず、未完成の自分を楽しみ続けること」です。

私は今でも、新しいデバイスが登場したり、新しい技術が生まれたりすると、ワクワクして仕方がありません。50歳を過ぎても、経営者として、一人の技術好きとして、学びたいことが山ほどあります。

「もうこれでいい」と思った瞬間に、人生の輝きは失われます。

どんなに地位を得ても、どんなに富を築いても、「自分はまだ何も成し遂げていない」「もっと面白いことができるはずだ」という飢え(ハングリー精神)を持ち続けること。

完璧を目指すのではなく、常に「作りかけ」の自分を肯定し、明日への希望を持って一歩踏み出す。その前向きな姿勢こそが、困難を突破するエネルギーとなり、周囲の人々を惹きつけ、最高の人生を形作っていくのです。

私の話が、あなたの人生という大きな物語を編む上での、何らかのヒントになれば幸いです。