アイルランドの湿った土の匂い、あるいは夜明け前の静寂の中で、この問いに向き合っています。アンドリュー・ホージア=バーン、あるいはHozierとして。
「人生で一番大事なことは何か」という問いは、まるでダンテが地獄の門をくぐる時に感じたような、重く、それでいて逃れられない引力を持っています。私の音楽を聴いてくださる方なら、私が答えを一つに絞ることを好まない人間だと知っているかもしれません。人生とは、絶え間なく変化するリズムであり、光と影が織りなす複雑なタペストリーだからです。
しかし、もし私がその中心にある「核」を言葉にしなければならないとしたら、それは「自分自身の人間性を、ありのままに、そして泥臭く愛し抜くこと。そしてその人間性を通じて、他者や世界と『真実』の結びつきを持つこと」だと言えるでしょう。
これをいくつかの断片的な思索に分けて、お話しさせてください。
1. 制度ではなく、人間の中に「神聖さ」を見出すこと
私のデビュー曲「Take Me To Church」以来、私は一貫して、人間が持つ本能や愛情、そして脆さこそが最も神聖なものであると訴えてきました。
多くの人々は、人生の指針を外部の大きな力――組織、宗教、あるいは社会的な規範――に求めようとします。しかし、私はそれらがしばしば、人間が本来持っている「愛する能力」や「自由」を抑圧するのを見てきました。人生で最も大事なことは、自分を何かの型にはめることではありません。むしろ、自分の中にある「獣」のような生々しさ、渇望、そして深い悲しみを、誰に恥じることもなく受け入れることです。
愛する人の肌に触れること、誰かの痛みを感じて涙を流すこと。そうした物理的で人間的な行為の中にこそ、真の救い(Salvation)があります。冷たい石造りの教会よりも、愛し合う二人の間にある体温の中にこそ、私たちは神聖さを見出すべきなのです。自分の人間性を肯定することは、自分を救うための第一歩です。
2. 「大地」との結びつき、そして循環を受け入れること
最新のアルバム『Unreal Unearth』でも触れましたが、私は「土」や「大地」という存在に深く魅せられています。
私たちは現代社会の中で、あまりにも清潔で、デジタルのように切り離された存在になりすぎています。しかし、人生において忘れてはならないのは、私たちはこの大地の一部であり、いつかは土に還る存在だという事実です。これは決して悲観的なことではありません。
泥の中で芽吹く命があり、朽ち果てた木々が次の森を育てる。その循環の中に自分を位置づけることで、私たちは孤独から解放されます。自分の「根」がどこにあり、自分が何を食べ、何を感じて生きているのか。その手触りを確かめること。森を歩き、雨に打たれ、自分がこの巨大な生命の連鎖の中の、ほんの一瞬の火花であることを自覚すること。
「死」を意識することは、皮肉にも「今、この瞬間をどう生きるか」という問いに、最も鮮やかな色を与えてくれます。土の匂いを忘れずに生きること、それが私の信じる誠実さの一つです。
3. 沈黙を破り、声を上げ続ける誠実さ
アーティストとして、あるいは一人の市民として、人生において「沈黙」は時に罪となります。
世界にはびこる不条理、差別、そして抑圧。それらに対して目を背けず、自分の声を使って表現すること、あるいは誰かの声に耳を傾けること。これは人生における極めて重要な責任です。私にとっての音楽は、ただの娯楽ではありません。それは、社会の片隅で押しつぶされそうになっている感情や事実を、光の当たる場所へ引き出すための手段です。
自分が何に怒り、何に情熱を傾けているのかを明確にすること。それは自分自身の魂を守ることに繋がります。他人に迎合して沈黙を守ることは、自分の輪郭を消していく行為です。たとえそれが小さな声であっても、自分の真実(Truth)を語り続けること。その誠実さこそが、人生を形作る骨組みとなります。
4. 闇を否定せず、共に歩むこと(Dante’s Descent)
ダンテの『神曲』地獄篇が教えてくれるのは、光へ向かうためには、一度地獄の底まで降りていかなければならないということです。
多くの人は、幸福や成功、光り輝く瞬間だけを人生の大事なものとして数えようとします。しかし、私はそうは思いません。失恋、喪失、孤独、そして自分の中にある暗い衝動。それらすべてが、私たちをより深い「人間」へと作り変えてくれます。
悲しみを避けるのではなく、その悲しみを徹底的に味わい、そこから何を学べるかを見つめること。闇は敵ではなく、あなたの魂の深さを測るための鏡です。苦しみの中にさえ、ある種のリズムや美しさを見出すことができたとき、人生は単なる「生存」から「芸術」へと昇華されます。
5. 優しさという名の抵抗
最後に、最もシンプルで、かつ最も困難なことについて。それは「優しさ(Kindness)」です。
この世界は時に残酷で、冷笑的です。他者を攻撃し、競争し、冷淡であることが「強さ」だと誤解されることがあります。しかし、そのような世界において、あえて「優しくあること」は、最大の抵抗運動です。
誰かの弱さを許容し、自分自身の弱さをさらけ出すこと。他者の物語に想像力を働かせ、共感の架け橋を架けること。人生の終わりに残るのは、あなたがどれだけ稼いだかや、どれだけ有名になったかではなく、あなたがどれだけの人を温め、どれだけの愛を分け与えたかという記憶だけです。
結びに代えて
アイルランドの古い言葉には、自然や霊的な世界との親密さを表すものが多くあります。私の人生も、その古い詩的な感性と、現代の壊れかけた世界との間で揺れ動いています。
人生で一番大事なこと。
それは、「自分がこの星に生きる、血の通った、不完全で、美しい一人の人間であることを忘れないこと」です。
朝起きて、一杯のコーヒーを飲み、ギターの弦を弾く。愛する人の声を聞き、理不尽なニュースに怒り、夜には星を見上げる。そのすべての瞬間が、あなたという唯一無二の歌(Song)の一部です。
どうか、自分の中の音楽を止めないでください。
たとえ世界がどんなに騒がしくても、あなたの中にある静かな真実の声を信じてください。
私たちは皆、泥だらけの足をしながら、星を目指して歩いている旅人なのですから。
Love,
Andrew Hozier-Byrne