ハロー、親愛なるあなたへ。
今、私はニューヨークの喧騒の中にいます。窓の外にはブロードウェイの灯りが見え、劇場から流れてくるエネルギーがここまで届きそうな、そんな夜です。
「人生で一番大事なことは何ですか?」
そう聞かれたとき、今の私なら迷わずにこう答えるでしょう。それは「自分自身の真実の声を聴き、不完全な自分を愛し抜くこと。そして、与えられた光(才能)を誰かのために使い切ること」です。
3,500字という長いお手紙のようになりますが、私が歩んできた光と影、ハワイの海からロンドンのウエストエンド、そしてブロードウェイの舞台へと至るまでの魂の旅路を通じて、私が学んだ「人生の真理」を分かち合いたいと思います。
1. 完璧という名の檻の中で
多くの人は、私のことを「プッシーキャット・ドールズのリードシンガー」として、あるいは「常に完璧なパフォーマンスを見せるアーティスト」として記憶しているかもしれません。確かに、あの頃の私は常に「完璧」であることを自分に強いていました。
ハワイで生まれ、ケンタッキーの厳格なカトリックの家庭で育った私は、幼い頃から「努力して一番にならなければ、居場所はない」とどこかで信じ込んでいました。グループのフロントに立ち、世界中のチャートを席巻していた時、外側から見れば私はすべてを手にしているように見えたはずです。
しかし、その実態はどうだったでしょうか。当時の私は、自分自身の体と心に激しい闘いを挑んでいました。摂食障害(過食症)という深い闇の中にいたのです。
ステージの上では輝かしいスポットライトを浴び、何万人のファンが私の名前を叫んでいる。でも、楽屋に戻れば、孤独と自己嫌悪に震えている。私は自分の声を失うのが怖くて、本当の自分を見せたら誰も愛してくれないのではないかと怯えていました。
この経験から私が学んだ最初の教訓は、「どれほど世界から称賛されても、自分自身と繋がっていなければ、それはただの空虚な響きに過ぎない」ということです。人生において最も大事なのは、地位や名声、あるいは他人の目から見た完璧さではありません。自分の内側にある脆さや傷を認め、それを「これが私なのだ」と抱きしめる勇気を持つことなのです。
2. 「マナ」と信仰の力
私が困難を乗り越えることができたのは、故郷ハワイに流れる精神、そして深い信仰心があったからです。
ハワイには「マナ(Mana)」という言葉があります。それは万物に宿る聖なるエネルギーのことです。私が歌うとき、踊るとき、それは単なる技術の披露ではありません。自分の中にあるマナを解き放ち、天(ディバイン)と繋がる儀式なのです。
人生で迷ったとき、私はいつも祈ります。私は「神が私をこの場所に置いたのには理由がある」と信じています。私が授かった歌声は、私を有名にするための道具ではなく、誰かの心を癒し、誰かに力を与えるための「器(ヴェッセル)」なのだと気づいたとき、私の人生は劇的に変わりました。
「自分の才能を、自分のエゴのためではなく、もっと大きな目的のために使うこと」。これが、人生を豊かにする二つ目の鍵です。私たちは皆、自分にしか果たせない役割を持ってこの世に生まれてきます。それを見つけるためには、静寂の中で自分の内側の神聖な声に耳を澄ませる必要があるのです。
3. 『サンセット大通り』と「今、この瞬間」の輝き
2024年から2025年にかけて、私はミュージカル『サンセット大通り』でノーマ・デズモンドという役を演じる機会に恵まれました。この役は私に、人生のもう一つの本質を教えてくれました。
ノーマは過去の栄光にすがり、失われた「かつての自分」を追い求める女性です。彼女を演じながら、私は強く感じました。人生において最も残酷なのは、過去の後悔や未来への不安に心を奪われ、「今、この瞬間」を生きることを忘れてしまうことだ、と。
2025年のトニー賞授賞式で名前を呼ばれたとき、私はこれまでにない震えを感じました。でもそれは、賞をもらったことに対する喜びだけではありません。その場所にたどり着くまでのすべての苦しみ、すべての拒絶、そして一歩一歩踏みしめてきたすべての瞬間が、パズルのピースのようにカチッとはまった感覚、つまり「存在の肯定」を感じたからです。
人生で一番大事なこと。それは「今、ここに100%の自分で存在すること」です。ステージでも人生でも、私たちが本当に持っているのは「今」という一瞬だけです。過去の自分を憐れむ必要も、未来の自分を心配する必要もありません。今のあなたが、最高のあなたなのです。
4. 規律(ディシプリン)は自由への翼
私はよく、自分自身のことを「戦士(ウォーリアー)」だと表現します。人生において、自分の夢を叶えるためには、並大抵ではない努力と規律が必要です。
多くの人が、自由とは「やりたいことをやりたい時にやること」だと思っているかもしれません。でも、私の経験では逆です。「真の自由は、厳しい規律の先にある」のです。
私は毎日、過酷なトレーニングを欠かしません。喉をケアし、体を鍛え、精神を整えます。なぜなら、その準備があるからこそ、いざステージに立ったときに、何も恐れずに自分を解放できるからです。準備を怠れば、不安という鎖に縛られることになります。
あなたが人生で何かを成し遂げたいなら、自分を律することを恐れないでください。それは自分を苦しめることではなく、自分をどこまでも高く飛ばすための羽を育てることなのです。
5. 愛こそがすべて、そして唯一の答え
最後にお伝えしたいのは、やはり「愛」についてです。
これまでのキャリアの中で、私は多くのトップスターや成功者に出会ってきました。しかし、どれほど富を築いても、どれほど才能に溢れていても、愛が欠けている人はどこか枯れているように見えました。
ここで言う愛とは、甘いロマンスだけではありません。自分を許す愛、他人の成功を喜ぶ愛、そして見返りを求めずに自分のエネルギーを差し出す愛のことです。
私は長い間、自分自身を愛することができませんでした。鏡の中の自分を否定し、もっと細くなければ、もっと歌が上手くなければ、もっと美しくなければ……と自分に条件付きの愛しか与えていなかったのです。
でも、ある時気づきました。神様は、私が「何者か」になったから愛してくれているのではない。私が「私」であるから愛してくれているのだと。
自分を愛せるようになると、他人のことも本当の意味で愛せるようになります。競争や嫉妬ではなく、共鳴と祝福の世界に生きることができるようになります。
結びに代えて
親愛なるあなた。
人生は、時に激しい嵐のようです。私も、自分の名前が消えかけたり、信じていた人に裏切られたり、深い絶望の淵に立たされたことが何度もあります。
しかし、そのたびに私は立ち上がってきました。
膝をつくたびに、地面の冷たさを知り、そこから再び立ち上がるための筋力を鍛えてきました。
もし、今のあなたが暗闇の中にいると感じているなら、これだけは覚えておいてください。あなたの魂の中には、決して消えることのない「光」が宿っています。その光は、あなたがどれほど自分を否定しても、世界があなたを無視しても、ずっとそこで燃え続けています。
人生で一番大事なこと。
それは、「自分の中に灯るその光を信じ抜き、最後まで自分の人生の主役として踊り続けること」です。
カーテンコールは、あなたが自分自身に「よくやった」と心から言えるその日まで、何度でも訪れます。だから、怖がらずに、あなたの歌を歌ってください。あなたのダンスを踊ってください。
あなたの人生という偉大なショーが、愛と真実に満ちたものになることを、ニューヨークの空の下から心から祈っています。
With all my love and Aloha,
ニコール・シャージンガー
このメッセージが、あなたの人生の何かのヒントになれば幸いです。