こんにちは。私はファトゥ・バルデです。
人生で一番大事なことは何か、というあなたの問いに対し、私は自分のこれまでの歩み、そして何千人、何万人という少女たちの未来を背負って、一つの確信を持って答えたいと思います。
私にとって、そしてあらゆる人間にとって人生で最も大事なこと。それは「自分の身体の主体性(ボディ・オートノミー)を取り戻し、自らの声を恐れずに上げること」です。
これは単なる権利の話ではありません。私たちが一人の人間として、尊厳を持ってこの地上を歩むための根源的な土台なのです。なぜ私がそう確信に至ったのか、私の経験を通じてお話しします。
1. 沈黙を破ることから始まる「再生」
私は西アフリカのガンビアで生まれました。多くの少女がそうであるように、私も7歳の時に「伝統」という名のもとに、女性性器切除(FGM)を経験しました。その瞬間に失ったのは、単なる身体の一部ではありません。自分という存在が自分のものであるという安心感、そして理不尽な痛みに対して「嫌だ」と言う権利そのものを奪われたのです。
長い間、私はその痛みを心の奥底に封じ込めてきました。コミュニティの中では、それは「通過儀礼」であり、誇るべきことだと教えられてきたからです。しかし、心と身体は嘘をつけません。
私がイギリスに渡り、心理学や保健学を学んだのは、自分の中にあった「言葉にならない痛み」の正体を知りたかったからです。そこでようやく、私は自分が受けたことが「暴力」であり、「人権侵害」であったという客観的な言葉を手に入れました。
人生で一番大事なことは、まず「自分の苦しみに名前をつけること」から始まります。社会や伝統が「これは正しいことだ」と言っても、あなたの心と身体が悲鳴を上げているなら、その悲鳴こそが真実なのです。その真実に目を向け、沈黙を破る勇気を持つこと。それが、奪われた自分を取り戻す第一歩になります。
2. 身体の主体性:自由の土台
私たちは、自分の身体が自分だけのものであるという確信なしに、本当の意味で自由になることはできません。
FGMは、女性の身体をコントロールし、その性的欲求や自己決定権を抑圧するための手段として機能してきました。しかし、身体は私たちの魂が宿る唯一の聖域(サンクチュアリ)です。この聖域が、他人の信念や時代遅れの慣習によって傷つけられることがあってはなりません。
私が「Women in Liberation and Leadership (WILL)」を設立した目的は、単に法律を変えることだけではありませんでした。少女たちが「私の身体は、私の許可なく誰にも触らせない、傷つけさせない」と胸を張って言える社会を作ることです。
教育を受けることも、キャリアを築くことも、誰かを愛することも、すべてはこの「身体の安全と自律」という土台の上に成り立っています。人生で何が大事かと問われれば、私は迷わず、この「自分という存在の不可侵性」を守り抜くことだと答えます。
3. 「声」が持つ、世界を変える力
私がガンビアに戻った時、多くの人が私に「過去のことは忘れて静かにしていなさい」と言いました。伝統に反対することは、家族やコミュニティ、そして時には国家を敵に回すことを意味したからです。
しかし、私が沈黙を守り続ければ、次の世代の7歳の少女も同じ刃の前に立たされることになります。その連鎖を断ち切れるのは、すでに傷を負い、それでも生き抜いたサバイバーの声だけなのです。
私が2024年に「国際勇気ある女性賞」をいただき、2025年に『TIME』誌の「世界で最も影響力のある100人」に選ばれたことは、私個人の栄誉ではありません。それは、「たった一人の声でも、正義を求めて叫び続ければ、世界を動かすことができる」という事実の証明です。
人生において、自分の声を押し殺して他人の人生を生きることは、最も悲しいことです。たとえ声が震えていても、たとえ周囲に反対する人がいても、自分の真実を語ること。その声は、あなたと同じように苦しんでいる誰かの「希望の光」になります。私たちは、互いの声を重ね合わせることでしか、強固な社会の壁を壊すことはできないのです。
4. 変化へのレジリエンス(しなやかな強さ)
活動を続けていると、必ず揺り戻し(バックラッシュ)が起きます。ガンビアでも、一度は禁止されたFGMを再び合法化しようとする動きがありました。正直に言えば、絶望しそうになる夜もあります。
しかし、人生で大事なのは「常に勝つこと」ではありません。「何度拒絶されても、あきらめずに立ち上がり続けるレジリエンス」です。
人権のための闘いは、短距離走ではなくマラソンです。一つの法律ができても、人々の意識が変わるまでには何世代もの時間がかかるかもしれません。それでも、私がWILLを通じて出会った少女たちが、「私は学校へ行きたい」「私は自分の身体を守りたい」と目を輝かせて語る姿を見るたびに、私は確信します。私たちの歩みは一歩ずつですが、確実に正しい方向へ向かっているのだと。
困難に直面した時、どうか思い出してください。あなたの中には、まだ見ぬ強さが眠っています。その強さを信じ、たとえ歩みが遅くても、理想を捨てないこと。それが人生を豊かにし、深い意味を与えてくれます。
5. 次世代への責任:愛と連帯
最後に、人生でとても大事なこととして「連帯」を挙げたいと思います。
私は一人で戦っているわけではありません。世界中にいる仲間、支援者、そして何よりも私を信じてくれる家族や友人の支えがあります。人間は、自分一人のために生きるよりも、「誰かの痛みを分かち合い、より良い未来を誰かのために残そうとする時」に、最大の力を発揮します。
私がMBE(大英帝国勲章)を受賞した際も、常に心にあったのはスコットランドで出会った移民の女性たちの顔でした。彼女たちの苦労を知り、支え合う中で、私は「連帯」が持つ真の強さを学びました。
私たちが今日流す汗や涙は、次の世代の少女たちが流すはずだった血を止めるためのものです。そう考えれば、どんな苦労も価値あるものに変わります。自分の幸福を追求するだけでなく、隣にいる人の手を握り、共に歩むこと。その愛と連帯こそが、人生の最後に残る一番大切な宝物です。
私からあなたへのメッセージ
人生で一番大事なこと。それは、あなたが「あなた自身の人生の主人公」であり続けることです。
誰かが決めた「女性らしさ」や「伝統」、あるいは「恐怖」によって、あなたの可能性を縛らせないでください。あなたの身体はあなたのものです。あなたの声には、世界を変える力があります。
もし今、あなたが暗闇の中にいると感じているなら、どうか知ってください。あなたは一人ではありません。私も、そして世界中の多くの仲間も、あなたと共にあります。
自分を愛し、自分の真実を語り、そして誰かのためにその手を使ってください。そうすれば、あなたの人生は、どんな賞賛よりも輝かしく、価値あるものになるでしょう。