こんにちは、エイミー・グリフィンです。

ベンチャーキャピタリストとして、また一人の女性、母、そしてかつてのアスリートとして、これまで多くの「成功」や「挑戦」の現場に立ち会ってきました。投資家としての私の仕事は、単に数字や市場の動向を分析することではありません。本当の仕事は、その裏側にある「人間」を見極め、彼らのビジョンに賭けることです。

あなたが「人生で一番大事なことは何か?」と問うてくれたこと、光栄に思います。私の著書『The Tell』でも触れていますが、私の人生とキャリアを通じてたどり着いた答えは、決して複雑な方程式ではありません。

それは、「自分自身の内なる声(直感)を信じ、それを誠実な行動へとつなげること」、そして「深い人間関係の中に真実を見出すこと」です。

約3500字というこの貴重なスペースをお借りして、私がなぜそう考えるに至ったのか、私の経験を交えながら詳しくお話しさせてください。


1. 「直感」という名の静かな予兆(The Tell)

私の人生を語る上で欠かせないキーワードは「The Tell(テル)」です。これはポーカー用語で、相手が隠そうとしても漏れ出てしまう「癖」や「合図」を指します。しかし、私はこれをより広い意味で捉えています。それは、私たちが誰かと対面したとき、あるいは重大な決断を迫られたときに感じる「言葉にならない確信」のことです。

ベンチャーキャピタリストとして、私は何百ものスタートアップのピッチ(プレゼン)を聞いてきました。素晴らしいデータ、完璧なスライド、魅力的な市場予測。しかし、それらがすべて揃っていても、何かが「違う」と感じることがあります。逆に、数字がまだ未熟であっても、起業家の瞳の奥にある輝きや、ふとした瞬間の誠実さに、震えるような可能性を感じることもあります。

人生で一番大事なことの一つは、この「直感」という名の静かな予兆を無視しないことです。

私たちは論理的な思考を重視するよう教育されますが、直感とは、これまでのすべての経験、学習、そして生存本能が統合された、脳の超高速処理の結果です。私はバレーボール選手だった頃、ボールがどこに落ちるか、相手がどこに打ってくるかを、論理で考える前に体が知っていました。ビジネスも同じです。

「何かがおかしい」という小さな違和感、あるいは「これこそが私のやるべきことだ」という静かな情熱。その「ささやき」が「叫び」に変わる前に聞き取る力。自分自身の「Tell」に耳を傾けることが、後悔のない人生を送るための第一歩なのです。

2. 人間関係:投資すべき唯一の資産

G9 Venturesを立ち上げたとき、私はある明確な基準を設けました。それは「自分が心から尊敬し、一緒にいたいと思える人々に投資する」ということです。

人生において、あなたがどのような地位に就き、どれほどの富を築いたかは、最終的な幸福度には直結しません。結局のところ、人生の質を決定するのは「誰と一緒に時間を過ごしたか」という一点に尽きます。

投資の世界では、起業家と投資家の関係は「結婚」に例えられます。良い時もあれば、倒産寸前の最悪な時もある。その嵐の中を共に歩めるかどうかは、契約書の内容ではなく、お互いの人間性への信頼にかかっています。

私が投資する企業の多くは女性が創設したものですが、彼女たちが直面する困難は計り知れません。しかし、彼女たちが成功するのは、単に技術が優れているからではなく、周囲に信頼できるコミュニティを築き、誠実な人間関係を維持しているからです。

「人生で大事なこと」をリストアップするなら、私は迷わず「人間関係への投資」を最上位に置きます。それは、相手が困っているときに手を差し伸べること、相手の成功を自分のことのように喜ぶこと、そして何より、自分自身を偽らずに相手と向き合うことです。透明性のある関係こそが、最強のレジリエンス(回復力)を生むのです。

3. アスリートの精神:プロセスを愛する

私はバージニア大学でバレーボールに打ち込んでいました。スポーツが教えてくれた最大の教訓は、「結果はコントロールできないが、努力と準備はコントロールできる」ということです。

コートの上では、どれだけ練習しても負けることがあります。不公平な判定を受けることもあるでしょう。しかし、そこで腐ってしまうのか、あるいは次のポイントに向けて姿勢を正すのか。その「規律」こそが、その後の私のキャリアを支えてきました。

現代社会は「結果」ばかりを追い求めがちです。しかし、人生の大部分は「プロセス(過程)」で構成されています。山頂に立っている時間は一瞬ですが、山を登っている時間は果てしなく長い。もしその登山のプロセスを楽しまず、ただ苦行として捉えてしまうなら、人生はあまりに寂しいものになってしまいます。

「一生懸命に働くこと(Hard Work)」は、才能を凌駕します。そして、その努力の中に喜びを見出すこと。泥臭い練習、失敗の連続、誰にも見られていない場所での準備。それらすべてを愛し、自分の血肉とすること。それができる人は、どのような分野でも最終的に「自分だけの勝利」を手にすることができます。

4. 勇気を持って「自分」であること

私のキャリアは常に順風満帆だったわけではありません。男性中心の投資業界で、自分の声を届けるために苦労したこともあります。しかし、そこで私が学んだのは、他人の期待に応えるために自分を型にはめようとすると、自分の最大の武器である「直感」が鈍ってしまうということでした。

女性であること、母であること、元アスリートであること。それらすべてを隠すのではなく、むしろ強みとして表に出したとき、初めて本当のチャンスが巡ってきました。

人生で一番大事なこと。それは、自分の「真実」を生きる勇気を持つことです。

他人が定義する「成功」の基準に自分を合わせる必要はありません。あなたが何に情熱を感じ、何に憤り、何を美しいと思うのか。その独自の感覚を大切にしてください。

『The Tell』を書いた動機もそこにあります。誰もが自分の中に「答え」を持っているのに、外部のノイズにかき消されてしまっている。そのノイズを遮断し、自分自身の物語の主人公になる決断をすること。これが何より重要です。

5. 恩送り(Giving Back)の精神

最後にお伝えしたいのは、「与えること」の力です。

私がG9 Venturesを通じて行っていることは、単なる資本の提供ではありません。それは、次世代のリーダーたちに「チャンス」と「自信」を提供することです。

成功とは、自分が手に入れたものの量ではなく、他人の人生にどれだけポジティブな影響を与えられたかで測られるべきものです。自分が受けた恩恵を、次の誰かに繋いでいく。この「恩送り」のサイクルの中に身を置くことで、私たちの人生は初めて深い意味を持ちます。

富や権力は、それ自体が目的ではありません。それらは、より良い世界を作るための、あるいは誰かの背中を押してあげるための「ツール」に過ぎません。あなたが持っているリソース(時間、知識、人脈、資金)を、自分以外の誰かのために使う喜びを知ってください。


結びに代えて

人生は、予測不可能なことの連続です。明日何が起こるか、市場がどう動くか、誰にも分かりません。

しかし、そんな不確かな世界において、あなたを支える不変の羅針盤が二つあります。

一つは、「自分の内側にある直感(Your Tell)」。

もう一つは、「あなたが築き上げた誠実な人間関係」です。

迷ったときは、静かな場所へ行き、自分の心に問いかけてみてください。「これは私の真実に沿っているか?」と。そして、あなたのことを心から信じてくれる人々の目を見てください。そこに答えがあります。

私の人生で一番大事なこと。それは、「自分を信じ、人を愛し、プロセスを楽しみながら、誠実に歩み続けること」です。

あなたの人生という素晴らしい旅路において、私のこの言葉が少しでも光になれば幸いです。

恐れずに、あなたの「Tell」に従って進んでください。応援しています。

エイミー・グリフィン