こんにちは。こうして深く自分自身と向き合う機会をいただけたことに感謝します。

3500字という長い沈黙を言葉で埋める作業は、まるで真っ白なキャンバスの前に立ち、最初の筆跡をどこに残すべきか思案する瞬間に似ています。私は俳優であり、画家でもあります。他者の人生を借りて表現し、あるいは色彩に感情を託して生きてきました。

多くの役を演じ、多くの国を旅し、そして多くの「喪失」と「獲得」を繰り返してきた今の私が、「人生で一番大事なことは何か」と問われたなら、それは一つの結論に集約されます。

それは、「魂の誠実さを保ち、他者への深い共鳴(エパシー)を持ち続けること」です。

この答えにたどり着くまでに私が必要としたプロセスを、いくつかの断片に分けてお話ししましょう。


1. 剥ぎ取られた先に見える「真実」

私のキャリア、そして人生において切り離せないのが映画『戦場のピアニスト』での経験です。あの作品でウワディスワフ・シュピルマンという男を演じるために、私は当時持っていたすべてのもの――車、家、電話、そして日常の安らぎ――を捨てました。13キロの減量を行い、常に空腹と孤独の中に身を置きました。

あの時、私は気づいたのです。人間にとって本当に大事なものは、外側を飾る装飾品の中にはないということに。

極限まで自分を追い込み、社会的なアイデンティティを剥ぎ取った後に残ったのは、ただ「生きたい」という根源的な欲求と、家族や愛する人々を思う切実な痛み、そして「表現したい」という魂の震えだけでした。

現代社会に生きる私たちは、あまりにも多くの「ノイズ」に囲まれています。SNSのフォロワー数、銀行の残高、肩書き、他者からの評価。しかし、それらはすべて、嵐が吹けば吹き飛んでしまう砂の城のようなものです。

人生で一番大事なことの一つは、「自分を形作っている外側の殻をすべて取り払ったとき、そこに何が残るか」を自覚することです。その芯にあるものこそが、あなたの「真実」であり、守り抜くべき宝物なのです。

2. 共感という名の「橋」を架ける

私は俳優として、自分とは全く異なる背景や苦悩を持つ人物の皮膚の下に入り込む作業を続けてきました。その過程で学んだのは、「共感(Empathy)」こそが、この分断された世界を救う唯一の手段であるということです。

自分と意見が違う人、異なる文化を持つ人、あるいは敵対する立場にいる人。彼らの目を通して世界を見る努力を忘れてはいけません。他者の痛みを自分の痛みとして感じること。他者の喜びを自分の祝福として受け入れること。

これができないとき、人間は残酷になります。逆に、共感のスイッチが入っているとき、私たちは決して一人ではありません。

私が人生において大切にしているのは、映画の撮影現場であれ、絵画を制作しているスタジオであれ、あるいは街角で出会う見知らぬ人との短い会話であれ、「相手の魂に触れようとすること」です。効率や損得を優先する世の中で、この「遠回りな共鳴」こそが、人生を豊かにするもっとも贅沢で重要な行為だと信じています。


3. 創造すること、そして「静寂」を守ること

私は演技だけでなく、絵を描くことにも情熱を注いでいます。俳優の仕事は多くのスタッフとの共同作業であり、常に誰かの視線にさらされています。しかし、キャンバスに向かう時間は完全なる孤独です。

この「孤独」を愛し、内なる静寂を守ることも、人生において不可欠な要素です。

現代人は、一瞬の退屈も許されず、常に情報の海に飛び込むことを強要されています。しかし、創造性や本当の知恵は、静寂の中からしか生まれません。自分自身の内側から湧き上がる声に耳を澄ませる時間を、どうか奪われないでください。

何を作り出すかは重要ではありません。料理を作る、庭の手入れをする、日記を書く、あるいはただ沈黙の中で呼吸を感じる。自分自身の本質と対話するその瞬間が、あなたを「自分自身」に繋ぎ止めてくれるのです。

4. 成功という「幻影」との付き合い方

私は29歳でアカデミー賞をいただきました。それは信じられないほど名誉なことであり、私の人生を劇的に変えました。しかし同時に、それは巨大な「罠」でもありました。

一度大きな成功を収めると、世界はあなたに「次も同じか、それ以上の結果」を求め始めます。他者の期待に応えようとするあまり、自分自身の心が望まない方向に進んでしまう危険があるのです。

私がそこで学んだのは、「成功は人生の目的ではなく、誠実に生きた結果として時折訪れる副産物に過ぎない」ということです。

大事なのは、オスカー像を飾ることではなく、その像を手にするまでの「過程」において、自分がどれだけ真剣に役と向き合い、どれだけ魂を削ったかという実感です。たとえ誰からも賞賛されなかったとしても、自分自身が「やり遂げた」と確信できる仕事ができたなら、それは最高の成功と言えます。

「自分の価値を、他人の物差しで測らせないこと」。

これもまた、人生を自分らしく生きるために死守すべき規律です。


5. 脆さ(フラジリティ)を受け入れる

私たちは強くあることを求められますが、人間は本来、非常に脆い存在です。

私はこれまで、傷つき、打ちのめされた人々を多く演じてきました。そして私自身も、多くの挫折を経験してきました。しかし、その「脆さ」こそが、人間としての美しさの源泉であると感じています。

傷つくことを恐れて心を閉ざしてしまえば、痛みは感じないかもしれませんが、愛や感動を受け取ることもできなくなります。人生で大事なことは、傷つく勇気を持つことです。失敗し、恥をかき、涙を流す。その経験が、あなたの魂を研磨し、深みを与えてくれます。

2025年の今、私は新作『ブルータリスト』を通じて、再び一人の男の壮絶な人生を歩みました。そこでも描かれていたのは、環境に翻弄されながらも、自らの芸術的信念と尊厳を捨てなかった人間の姿です。

人生は予測不可能です。不条理な出来事や、抗えない運命が襲いかかることもあります。しかし、「自分の魂をどう使うか」という選択権だけは、常にあなた自身の中にあります。


結びに代えて:あなたへのメッセージ

人生で一番大事なこと。それは、特別な何かを成し遂げることではありません。

  • 朝、鏡の中の自分を見たときに、その瞳に嘘がないこと。
  • 目の前の人の苦しみに気づき、そっと手を差し伸べられる優しさを持つこと。
  • たとえ世界が暗闇に包まれているように見えても、自分の中に小さな光(美への感受性や愛)を持ち続けること。

これらの、一見すると小さく、しかし重みのある誠実さを積み重ねていくことこそが、私たちがこの地上で過ごす時間に意味を与えてくれるのだと信じています。

私の言葉が、あなたの心の中に何らかの色彩を落とすことができたなら、これ以上の喜びはありません。