こんにちは、テッド・サランドスです。
人生で一番大事なことは何か?という問いは、私が日々向き合っている「どの作品に数千万ドルの投資をすべきか」という決断よりも、はるかに深遠で、かつエキセンシャルな問いですね。
私はアリゾナ州の小さなビデオレンタルショップの店員からキャリアを始めました。今は世界中の人々にエンターテインメントを届けるNetflixというプラットフォームの舵取りをしていますが、私の根本にある哲学は、あの頃から大きく変わっていません。
3,500字という限られた枠組みの中で、私がこれまでの旅路で学び、確信した「人生で最も大切なこと」を、いくつかの断層に分けてお話ししましょう。
1. ストーリーテリング:共感という名の「架け橋」
私にとって、人生で最も重要なことの筆頭に挙げられるのは「ストーリー(物語)を通じて他者とつながること」です。
多くの人は、エンターテインメントを単なる「暇つぶし」や「娯楽」だと考えています。しかし、私はそうは思いません。ストーリーとは、人間が自分以外の誰かの人生を追体験し、共感の筋肉を鍛えるための唯一無二の手段なのです。
私がビデオショップで働いていた頃、棚にあるすべての映画を観ました。そこには、私が一生行くこともないであろう国の、会うこともないであろう人々の喜びや悲しみが詰まっていました。その経験が私に教えてくれたのは、「私たちは、自分が思っている以上に、お互いに似通っている」という真理です。
人生で大事なのは、自分の小さな殻に閉じこもるのではなく、物語を通じて世界を広げ、他者の痛みに寄り添う感性を持ち続けることです。Netflixで『イカゲーム』や『ROMA/ローマ』、『今際の国のアリス』を世界に届けたとき、私は確信しました。言語や文化が違っても、優れたストーリーは人間の普遍的な感情を揺さぶり、境界線を溶かしてしまう。この「つながり」こそが、私たちが生きる意味そのものなのです。
2. 「自由と責任」:リスクを取る勇気
次に大切なのは、「自らの意思でリスクを取り、その結果に対して全責任を持つ」という姿勢です。
Netflixの文化として知られる「Freedom and Responsibility(自由と責任)」は、単なるビジネスの行動指針ではありません。これは人生を豊かにするための最も強力なツールです。
多くの人は、失敗を恐れて「安全な選択」を繰り返します。しかし、安全な道ばかりを歩んでいては、魂を揺さぶるような革新も、自己の成長も得られません。私たちがDVDの郵送サービスからストリーミングへと大きく舵を切ったとき、あるいは巨額の資金を投じて自社制作(オリジナルコンテンツ)を始めたとき、周囲は「無謀だ」と言いました。
しかし、私は「現状維持こそが最大のリスクである」と信じていました。
人生において一番大事なのは、自分の直感と好奇心を信じ、未知の世界へ飛び込む勇気を持つことです。そして、その決断によって生じた結果が良くも悪くも、それを自分のものとして受け入れること。他人のせいにせず、自分の人生の主導権を握り続ける。この「自由」を手放さないことが、人間としての尊厳だと私は考えます。
3. クリエイティビティへの敬意:人を主役にする
テクノロジーがどれほど進化しても、アルゴリズムがどれほど精巧になっても、最後に魔法をかけるのは「人間」です。
私が経営において、そして人生において大切にしているのは、「才能ある人々を信頼し、彼らが最高のパフォーマンスを発揮できる環境を整えること」です。これを個人の人生に置き換えるなら、「周囲の人々の可能性を信じ、互いに高め合う関係を築くこと」と言えるでしょう。
Netflixが成功したのは、私がクリエイターに「どう作るべきか」を指示したからではありません。彼らに自由を与え、「あなたが語りたい物語を、最高の形で表現してほしい」と信頼を預けたからです。
人生を彩るのは、自分一人の成功ではありません。どれだけ多くの素晴らしい人々と出会い、彼らの情熱に火をつけ、共に何かを成し遂げたか。そのプロセスで得られる絆こそが、何物にも代えがたい財産になります。自分よりも優れた才能を持つ人を恐れず、むしろ彼らを輝かせることに喜びを見出す。この「謙虚なリーダーシップ」が、人生をより豊かなものにしてくれます。
4. 終わりなき好奇心:ビデオショップの店員であり続ける
私はCo-CEOという肩書きを持っていますが、心の中では今でも「世界で一番の映画ファン」でありたいと思っています。
人生で大事なことの4つ目は、「好奇心を絶やさないこと」です。
世界は常に変化しています。昨日までの正解が、今日には通用しなくなる。そんな時代において、自分をアップデートし続けられるのは、知識欲と好奇心がある人だけです。私は今でも、新しい作品を観るとき、新しい技術に触れるとき、少年のようなワクワク感を忘れないようにしています。
「自分はすべてを知っている」と思った瞬間に、成長は止まり、老いが始まります。知らないことを認め、新しい視点を受け入れ、異なる文化から学ぶ。この「学生のようなマインドセット」を持ち続けることが、変化の激しい世界で生き残るための、そして人生を楽しみ尽くすための秘訣です。
結論:あなたがあなたの人生の「監督」である
長々とお話ししてきましたが、結局のところ、人生で一番大事なことは「自分自身の物語を、情熱を持って書き上げること」に集約されます。
私たちは皆、自分の人生という映画の監督であり、プロデューサーであり、主役です。
- どんなテーマ(価値観)を大切にするのか?
- どんなキャスト(友人やパートナー)と共に歩むのか?
- 困難(プロットポイント)に直面したとき、どう立ち向かうのか?
それらすべてを決めるのは、あなた自身です。
私の人生を振り返れば、それは「映画が好きだ」という純粋な情熱に従い、直感を信じてリスクを取り続け、多くの素晴らしいクリエイターたちと出会ってきた旅でした。失敗も数え切れないほどありましたが、そのすべてが今の私を構成する大切なシーンになっています。
あなたの人生も、一つの壮大なストーリーです。どうか、誰かに書かれた脚本を演じるのではなく、あなた自身の言葉で、あなたにしか語れない物語を紡いでください。
最後に、私が最も好きな言葉の一つを贈ります。
「物語には、世界を変える力がある。しかし、その物語を始めるのは、いつだって一人の人間の勇気である」
あなたの人生という素晴らしい作品が、情熱と共感、そして自由にあふれたものになることを心から願っています。
いかがでしたでしょうか。この内容が、あなたの人生という物語に何らかのインスピレーションを与えることができれば幸いです。