やあ。30ロックフェラー・プラザのスタジオ8Hへようこそ。

私はローン・マイケルズだ。今、私の目の前には、50年という歳月が積み上げてきた無数の記憶と、今週の土曜日の夜、11時30分にまた新しく刻まれるはずの「空白」がある。

君は「人生で一番大事なことは何か」と私に尋ねたね。3500字という時間は、一見すると長いように思えるかもしれないが、生放送のスケッチ・コメディ(コント)で言えば、およそ15本分、あるいはそれ以上のドラマが詰まった時間だ。我々が毎週土曜日に、世界中を笑わせ、時には困惑させ、そして歴史を作ってきたあの濃密な時間に比べれば、3500字で人生を語るのは、むしろ短すぎるとさえ言えるかもしれない。

私がこの場所で、半世紀近くにわたってコメディという「予測不能な怪物」と向き合い続けてきて学んだこと。それをあえて言葉にするなら、こうなるだろう。

「準備が整ったから始めるのではない。11時30分になったから始めるのだ」

これが、私の人生における唯一にして最大の真理だ。


第1章:完璧主義という名の「毒」を捨てること

多くの人々は、人生において「完璧なタイミング」を待ちすぎる傾向にある。十分な資金が貯まったら、完璧なスキルを身につけたら、あるいは、周囲の反対がなくなったら……。だが、残念ながらそんな日は永遠にやってこない。

『サタデー・ナイト・ライブ(SNL)』の制作現場を想像してみてほしい。月曜日にホストと会い、火曜日に徹夜で脚本を書き、水曜日に読み合わせをし、木曜日と金曜日にセットを作り、土曜日の夜にリハーサルを行う。そして11時30分、全米に生放送が流れる。

その瞬間、すべてのスケッチが完璧なわけではない。セリフを覚えていない役者もいれば、セットがまだ乾いていないこともある。脚本がひどすぎて、放送の5分前にボツにすることだってある。

それでも、番組は始まる。なぜか? それが「ライブ」だからだ。

人生もまた、編集のきかない「ライブ」だ。君がどれほど準備不足だと感じていても、どれほど自信がなくても、時計の針は止まらない。完璧を求めることは、時に「何もしないこと」の言い訳に使われる。一番大事なのは、不完全なまま、混乱の中に身を投じる勇気だ。

最高の笑いは、しばしば「不完全さ」や「想定外の事故」から生まれる。完璧に計算されたジョークよりも、生放送でカツラがズレた瞬間の爆笑の方が、人々の記憶には深く刻まれる。人生の豊かさも同じだ。計算通りに進まない瞬間にこそ、その人の本質が現れ、真の価値が生まれるんだ。

第2章:正しい「アンサンブル」の中に身を置くこと

私は長い間、「キングメーカー」などと呼ばれることがある。ビル・マーレイ、エディ・マーフィ、アダム・サンドラー……私が彼らを見出し、スターにしたと言われる。だが、それは少し正確ではない。

私がしてきたのは、才能を見つけることではなく、「化学反応を設計すること」だ。

人生において、誰と一緒に仕事をし、誰と一緒に時間を過ごすか。これは「何を成し遂げるか」よりもはるかに重要だ。一人の天才がいればいいわけではない。最高の脚本家、最高の役者、最高のミュージシャン、そして彼らを支える最高のスタッフ。それらが一つの「アンサンブル(座組)」として機能した時、初めて奇跡が起きる。

私がキャストを選ぶ時、重視するのは「面白さ」だけではない。「その人物が、他の誰かを輝かせることができるか」を見る。自己愛が強すぎて、自分一人でスポットライトを浴びようとする人間は、SNLの長い歴史の中では生き残れない。

君の人生という番組においても、キャスティングは慎重に行うべきだ。君を刺激し、君の欠点を補い、そして君が失敗した時に一緒に笑ってくれる仲間。そんな「アンサンブル」を作ることができれば、人生の難局のほとんどは乗り越えられる。自分ひとりで背負い込む必要はない。君はプロデューサーであり、キャストの一員でもあるのだから。

第3章:月曜日の朝に「戻ってくる」強さ

SNLには、50年の歴史の中で「ひどいシーズン」と言われた時期が何度かある。視聴率が落ち込み、批評家に叩かれ、ネットワークの幹部から「もう終わりだ」と宣告されたことも一度や二度ではない。

だが、私はここにいる。

成功とは、一度も転ばないことではない。土曜日の夜にどれほどひどい失敗をしても、日曜日に泥のように眠り、そして月曜日の朝に、また次の土曜日のためにオフィスに戻ってくることだ。

私は、失敗した人間を責めない。私が唯一許せないのは、失敗を恐れてリスクを取らなくなった人間だ。守りに入った瞬間に、コメディは死ぬ。そして、人生もまた、輝きを失う。

批評家たちは、常に「昔のほうが面白かった」と言う。それは1970年代から今日まで、一度も変わらない決まり文句だ。もし私が他人の評価を自分の価値基準にしていたら、私はとっくにこの仕事を辞めて、カナダの田舎で隠居していただろう。

大事なのは、自分の「内なる声(インスティンクト)」を信じることだ。自分が面白いと信じるもの、自分が正しいと信じる道を突き進む。たとえ世界中がそれを否定しても、自分が信じているなら、それはまだ「放送を続ける価値」があるということだ。

第4章:「変化」を恐れず、「伝統」を疑うこと

50年も同じ番組を続けていると、周囲はそれを「伝統」と呼び始める。だが、私にとって『SNL』は、毎週新しく生まれ変わる「実験場」でなければならない。

同じ手法を繰り返せば、安定は手に入るかもしれない。だが、安定は退屈の別名だ。私は常に、新しい才能を探し、新しい笑いの形を模索してきた。時代が変われば、笑いのタブーも、リズムも、人々の関心も変わる。

人生において一番大事なことの一つは、常に「自分をアップデートし続けること」だ。自分の成功体験に固執してはいけない。昨日の大爆笑が、今日の冷笑に変わるのがこの世界だ。

私は常に、自分よりも若く、自分には理解できないようなセンスを持った若者たちをそばに置くようにしている。彼らの言葉を理解しようとし、彼らの視点を取り入れる。自分の価値観を押し付けるのではなく、彼らの才能が花開くための「土壌」であり続けること。それが、私がこの年齢になっても現役でいられる理由だ。

君も、自分の考えを固定してはいけない。常に「なぜ?」と問いかけ、新しいものに好奇心を持ち続けること。変化することこそが、生きている証なのだから。

第5章:センスを磨き、それを守り抜くこと

最後に伝えたいのは、「センス(審美眼)」についてだ。

私はしばしば、冷酷で感情がないように見えるかもしれない。だが、私が守っているのは「クオリティ」という名の聖域だ。妥協を許せば、それはすぐにあらゆる場所に伝染する。「これくらいでいいだろう」という甘えが、番組全体の質を下げ、信頼を損なう。

人生において、自分の譲れない一線を引くこと。何が美しく、何が醜いのか。何が誠実で、何が不誠実なのか。自分だけの基準を持ち、それを守り抜くことだ。それは時に孤独な戦いになるかもしれない。周囲から「頑固だ」「扱いづらい」と言われることもあるだろう。

だが、その「こだわり」こそが君という人間を形作り、他者には代えがたい価値を生む。私は、自分のセンスを信じて突き進んだ結果、今の地位を築いた。誰かの真似をする必要はない。君の人生のプロデューサーは、君自身なのだ。


結びに代えて

時計を見てごらん。もうすぐ11時30分だ。

私の話が3500字に達したかどうかはわからない。だが、文字数に意味はない。大事なのは、このメッセージが君の心の中で、生放送のような緊張感を持って響いているかどうかだ。

人生は、リハーサルなしの本番だ。

台本通りにはいかない。

ゲストは遅刻し、照明は落ち、観客は期待したところで笑わない。

それでも、君はステージに立たなければならない。

そして、カメラが回った瞬間に、最高の笑顔でこう叫ぶんだ。

「ニューヨークから生放送、サタデー・ナイトだ!(Live from New York, it’s Saturday Night!)」

それが、私が人生から学んだすべてだ。

さあ、幕を上げよう。君のショーは、今始まったばかりなのだから。