こんにちは、ジュリー・バークハートです。

あなたが私に「人生で一番大事なことは何か」と尋ねてくださったこと、心から感謝します。この問いは、私が日々直面している闘いや、これまで歩んできた道のり、そして私が愛し、守ろうとしているすべての人々の人生を深く見つめ直す機会をくれました。

私のこれまでの歩みを知る人々は、私が中絶クリニックを運営し、法的な逆風の中で権利を叫ぶ「活動家」としての側面を強く意識されるかもしれません。しかし、私がその活動の根底に置いているもの、そして私の魂が叫んでいる「人生で最も大切なこと」は、もっとシンプルで、かつ根本的なものです。

それは、「自己決定権(Autonomy)という尊厳を守り抜くこと」、そして「他者のためにその門戸を開き続ける勇気を持つこと」です。

長くなりますが、なぜ私がこの結論に至ったのか、私の経験を通じてお話しさせてください。


1. 信頼から始まる物語:「Trust Women」の真意

私の活動の原点は、1991年にカンザス州ウィチタで起きた「サマー・オブ・マーシー」という大規模な反中絶デモを目の当たりにしたことにあります。当時、街は混乱に包まれ、女性たちが医療機関にアクセスすることを物理的に阻まれていました。その光景は、私に「誰が自分の人生を決めるのか」という強烈な問いを突きつけました。

その後、私はジョージ・ティラー医師という、私の人生において最も重要な師に出会いました。彼は常にこう言っていました。「女性を信じなさい(Trust Women)」と。

人生で一番大事なこと。それは、自分自身の人生の舵を自分自身で握ることです。どこに住み、誰を愛し、いつ家族を持つのか。あるいは持たないのか。これらの決断は、政治家や宗教家、あるいは見ず知らずの他人が下すべきものではありません。その人自身の心と、その人自身の状況に基づいて下されるべき、神聖な権利です。

しかし、この「自己決定」という権利は、放っておけばいとも簡単に奪われてしまいます。だからこそ、私は「Trust Women」という言葉を団体名に掲げました。それは単なるスローガンではなく、人間が人間として尊重されるための最低限の、そして最大の条件なのです。

2. 暗闇の中で灯し続ける火:レジリエンス(回復力)

2009年、ティラー医師が暗殺されたとき、私の世界は崩れ落ちるようでした。彼は礼拝中に背後から撃たれました。その悲劇は、私たちが信じ、行ってきたことが、どれほど激しい憎悪の対象になり得るかを残酷な形で示しました。

当時、ウィチタで唯一の中絶医療を提供していた彼のクリニックは閉鎖されました。多くの人々が「もう終わりだ」と言いました。しかし、私はそうは思えませんでした。もしここで私たちが諦めてしまったら、彼が守り抜こうとした「人々の尊厳」はどうなるのか。そして、助けを求めている女性たちはどこへ行けばいいのか。

人生において、困難や悲劇は避けられません。時には、暴力や憎しみによって、自分が築き上げてきたものが一瞬にして灰になることもあります。実際、私がワイオミング州キャスパーに設立したクリニック「Wellspring Health Access」も、開院直前に放火に遭い、黒焦げになりました。

しかし、そこで立ち止まらないこと。灰の中から再び立ち上がり、瓦礫を片付け、もう一度レンガを積み上げること。この「レジリエンス(回復力)」こそが、人生を豊かにし、意味を与えるものだと私は信じています。火を放たれても、私たちの意志まで燃やすことはできません。2023年にキャスパーのクリニックを再建し、ようやく最初の患者さんを迎え入れた時、私は確信しました。正義のための粘り強さこそが、世界を少しずつ変えていくのだと。

3. 「アクセス」という名の正義

多くの人が「権利」について語ります。しかし、権利というものは、それを行使できる「場所」がなければ、ただの空虚な言葉に過ぎません。

アメリカの多くの州で中絶が禁止、あるいは厳しく制限される中で、私はイリノイ州のクリニックなどを通じて、遠く離れた場所から何時間も車を走らせてやってくる患者さんたちを見てきました。彼女たちの瞳には、不安、疲労、そして「自分の人生を取り戻したい」という切実な願いが宿っています。

人生で大事なこと。それは、「孤立している誰かのために、具体的な助けの手を差し伸べること」です。

抽象的な議論も大切ですが、私は「今日、助けを必要としているその一人」に医療を届けることにこだわってきました。法律が変わり、クリニックの周りを反対派が取り囲んでいても、ドアを開け続け、安全な場所を提供すること。それが、私が選んだ「愛」の形です。

自分のためだけに生きる人生も否定はしません。しかし、自分の力が、他人の人生の「選択肢」を守るために使われるとき、人生は単なる生存を超えた、崇高な輝きを放ちます。私にとっての成功とは、TIME100に選ばれることではなく、一人の患者さんが「ここに来られてよかった。これで私の人生を続けられる」と言ってクリニックを後にする、その瞬間にあります。

4. 勇気は伝染する:次世代へのバトン

私はもう若くはありません。これまで何度も殺害予告を受け、防弾チョッキを着て生活していた時期もありました。なぜそこまでして続けるのかと聞かれることがあります。

その答えは、私の後に続く人々のためです。

私が恐怖に屈して黙ってしまえば、それは「暴力が勝つ」というメッセージを社会に送ることになります。逆に、私が声を上げ続け、闘い続ける姿を見せることで、「自分たちも声を上げていいんだ」と感じる若者が一人でも増えれば、私の人生には大きな意味があったと言えるでしょう。

人生で大事なこと。それは、「自分の信念に正直に生き、その勇気を誰かに手渡すこと」です。

私たちは一人で闘っているわけではありません。歴史を見れば、常に勇気ある先人たちが、今の私たちが享受している権利を勝ち取ってきました。私はそのバトンを受け取り、今はそれを次の世代へと繋ぐランナーの一人です。リプロダクティブ・ヘルス・ライツ(性と生殖に関する健康と権利)を巡る闘いは、今、非常に厳しい局面にあります。しかし、暗闇が深ければ深いほど、小さな光はより強く輝きます。

5. 最後に:あなたがあなたであるために

これを読んでいるあなたに伝えたいことがあります。あなたの人生において、最も大切なもの。それは、「あなた自身の身体と心に対する絶対的な主権」です。

社会は往々にして、あなたに「こうあるべきだ」という枠をはめようとします。特に女性や、社会的に弱い立場にある人々に対して、その傾向は顕著です。しかし、覚えておいてください。あなたの人生の物語を書くペンを持っているのは、他の誰でもない、あなた自身です。

そして、もしあなたが自分の人生を自由に選べる立場にあるのなら、その自由を、まだそれを持てない誰かのために少しだけ分けてあげてください。共感し、連帯し、声を上げること。

人生とは、単に過ぎ去る時間のことではありません。それは、私たちが下した決断の積み重ねであり、私たちが守り抜いた信念の記録です。

私はこれからも、どんなに困難な状況であっても、「女性を信じる」ことをやめません。クリニックのドアをノックする音が聞こえる限り、私はそこに居続けます。それが、私が見つけた「人生で一番大事なこと」の実践だからです。

闘いは続きますが、私は決して悲観していません。なぜなら、人間の「自由を求める意志」は、どんな法律や暴力をもってしても、決して根絶やしにすることはできないからです。

心からの愛と連帯を込めて。