こんにちは。ロバート・フルガムです。
こうしてあなたと向き合い、「人生で一番大事なことは何か」という、とてつもなく大きな問いについて語り合えることを嬉しく思います。私は哲学者というよりは、ただの観察者であり、物語の語り部であり、そして未だに人生という学校の生徒でもあります。
3500字程度、つまり少し長い散歩のような時間を使って、私がこれまでの人生で拾い集めてきた「答えのかけら」を、あなたと共有させてください。
砂場の知恵をもう一度
ご存じかもしれませんが、私はかつて「人生に必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んだ」と書きました。大学院の山のような講義ノートの中や、分厚い法律書の中ではなく、日曜学校の砂場にこそ真実があったと。
もし、人生で一番大事なことをたった一言で言えと迫られたら、私はやはりあの頃のリストに戻るでしょう。
「手をつないで、一緒にいること」
これに尽きるかもしれません。しかし、大人の世界は複雑に見えますから、少し噛み砕いてお話ししましょう。
私たちが生きるこの世界は、時として圧倒的です。ニュースを見れば悲劇があり、仕事に行けば競争があり、人間関係には摩擦があります。そんな中で、私たちはつい「何か特別な秘密の公式」を探そうとします。もっとお金があれば、もっと地位があれば、もっと賢ければ、人生の答えが見つかるのではないかと。
しかし、私が長く生きてきて確信しているのは、**「答えはすでに持っている」**ということです。私たちはただ、それを忘れているか、複雑にしすぎているだけなのです。
驚くという能力（センス・オブ・ワンダー）
人生で最も重要なことの一つは、「驚く心」を持ち続けることです。
幼稚園で豆を育てる実験をしたことを覚えていますか？ スチロフォームのカップに土を入れ、豆を植え、水をやる。そして光に当てる。数日後、魔法のように芽が出る。
先生は言いました。「根っこは下に伸びて、芽は上に伸びる。どうしてそうなるのか、本当のところは誰も知らないのよ。でも、私たちはみんなそうなの」
この感覚です。
私たちは大人になると、物事の「仕組み」を知った気になり、「名前」を覚えることで理解したつもりになります。「あれは光合成だ」「あれは重力だ」と。でも、なぜ生命が存在するのか、なぜ私たちが今ここにいて、息をしているのか、その根源的な不思議さ（ミステリー）を感じる心を失ってはいけません。
人生で大事なのは、目を見開いて**「よく見る（LOOK）」**ことです。
朝、窓から差し込む光、道端に咲く名もない雑草、隣人の笑顔、洗濯機の回る音。これら日常のありふれた風景の中にこそ、奇跡が隠されています。日常を「退屈な繰り返し」と見るか、「驚くべき物語の連続」と見るか。その視点の違いが、人生の質を決定的に変えます。
自分の物語を愛する
私はよく結婚式で牧師を務めますが、完璧な結婚式なんてものは存在しません。キャンドルが倒れたり、花嫁がドレスの裾を踏んだり、指輪が見つからなかったり。
でも、後になって振り返ったとき、人々が笑顔で語り合うのは、完璧だった瞬間ではなく、そのような「予期せぬハプニング」のことです。
人生も同じです。
私たちは「失敗のない、真っ直ぐで綺麗な道」を歩こうと必死になります。しかし、本当に大事なのは、転んだり、道に迷ったり、泥だらけになったりしたその瞬間に、**「これもまた、面白い物語の一部だ」**と笑える強さとユーモアを持つことです。
自分自身の人生という物語の、不完全さを愛してください。シミのついたエプロンも、計画通りにいかなかった旅行も、失恋の痛みさえも、すべてあなたというユニークな人間を形作るための、かけがえのない章なのです。
「おやつ」と「休息」の神聖さ
砂場の教えの中に、「毎日、少しだけ勉強し、少しだけ考え、少しだけ絵を描き、歌い、踊り、遊び、そして働く」というものがありました。
現代の大人は、このバランスを崩しています。働きすぎ、悩みすぎ、あるいはスマホを見すぎています。
人生で大事なこと。それは、「午後のお昼寝」と「温かいクッキーと冷たいミルク」の時間を持つことです。これは比喩ですが、要するに「自分を慰め、甘やかし、リセットする時間」を持つことです。
世界は回転を止めません。でも、あなたは止まっていい。
深呼吸をして、良い音楽を聴き、何もしない時間を持つ。自分の魂のメンテナンスをすること。これは贅沢ではなく、必需品です。自分自身に優しくできない人は、他人にも優しくできませんから。
手をつないで、一緒にいること
さて、核心に戻りましょう。
世界は時々、とても冷たく、暗く、怖い場所になります。交通量の多い道路を渡るときのように、危険がいっぱいです。そんな時、どうすればいいか。
「手をつないで、一緒にいること（Stick together）」
これが、人生で最も大事なことだと私は思います。
私たちは一人では生きられません。どれほどAIが発達し、テクノロジーが進化しても、人間の温もり、肌の触れ合い、「大丈夫だよ」という声かけに代わるものはありません。
あなたの隣にいる人、家族、友人、あるいはすれ違う他人。その人たちも、あなたと同じように、喜び、悲しみ、死への恐怖、愛への渇望を抱えています。
私たちはみんな、同じ「生と死」というスチロフォームのカップの中の豆のようなものです。誰も本当のことはわからないけれど、みんな一緒にここにいる。
だから、分け合うのです。
クッキーを分け合うように、喜びを分け合う。
悲しみを分け合う。
知識を分け合う。
「全部自分のものにしない」こと。
「人をぶたない」こと。
「あとかたづけをする」こと。
「ごめんなさい」と言うこと。
これらはすべて、他者と共生するための基本的な愛の作法です。
人生の終わりに、私たちが思い出すのは、銀行口座の残高でも、獲得したトロフィーの数でもありません。
思い出すのは、誰かと一緒に見た夕焼けの色や、辛い時に背中をさすってくれた手の温かさ、お腹が痛くなるほど笑い合った夜のことでしょう。
結論として
人生で一番大事なこと。
それは、壮大な偉業を成し遂げることではありません。
それは、**「今、ここにある日常を、愛と驚きを持って生きること」**です。
あなたの目の前にある世界を、もう一度、幼稚園児のような目で見つめ直してください。
世界は不思議に満ちています。
そして、隣にいる人の手を、恥ずかしがらずに握ってください。
結局のところ、私たちが知るべきことはすべて、もう知っているのです。
あとは、それを日々の暮らしの中で実践するだけ。
そう、交通量の多い道路を渡るときは、左右をよく見て、誰かと手をつないで、離れないようにすること。
それが、私の考える、人生で一番大事なことです。
あなたの旅が、驚きと、温かいクッキーと、素敵な仲間で満たされますように。
ロバート・フルガム
あなたへできること
この文章を読んで、さらに深く考えたいテーマや、具体的な悩みは浮かびましたか？
もしよろしければ、以下のようなお手伝いができます。
- 今のあなたの悩みに対する「フルガム的」な視点のアドバイス（具体的な状況を教えていただければ、エッセイ風にお答えします）
- 「砂場の教え」の全リストの解説と、現代生活への応用
- 心を軽くするための、小さな習慣（リチュアル）の提案
何か一つ、心に引っかかったことがあれば教えてください。一緒に考えましょう。
