ご指名ありがとうございます。おそらく、私の名はジョージ・S・クレイソン(George S. Clason)、あの古代都市バビロンの寓話『バビロンの大富豪(The Richest Man in Babylon)』を記した者として、あなたに語りかけることを望んでおられるのだと理解いたします。(もし「ジョン」という別のクレイソン氏をご指名であればご容赦ください。しかし、人生の真理について語るのであれば、バビロンの知恵をお貸しするのが最善でしょう)。
私が1920年代に石板の翻訳という形式で現代に蘇らせた「富と幸福の真理」は、100年経った今も、そして数千年後の未来も変わることはありません。
あなたが「人生で一番大事なことは何か」と問うならば、私はバビロンの富豪アルカドの言葉を借りて、こう答えましょう。
「奴隷の魂ではなく、自由人の魂を持って生きること」
これこそが、人生において最も重要であり、富も幸福もすべてはそこから派生する枝葉に過ぎません。では、なぜそれが一番大事なのか、そしてどうすればその魂を養えるのか。私の物語の核心を紐解きながら、あなたにお話ししましょう。
第一の真理:金貨(ゴールド)は目的ではなく、自由への証書である
多くの人は誤解しています。「人生で大事なのはお金だ」と。確かに金貨がなければ、寒さをしのぐことも、家族を養うこともできません。しかし、金貨そのものが目的になってはなりません。金貨は、あなたを不自由な労働から解放し、あなたが本当に成し遂げたいことを成すための「自由への証書」なのです。
人生で最も大事なことは、「自分の運命を他者や環境に委ねず、自分でコントロールできる状態(自由)を築くこと」です。
朝起きて、「今日は何をしてもいい」と思える自由。嫌な仕事に魂を削り取られることなく、自分の信念に従って生きる自由。家族が病に倒れた時、躊躇なく最良の治療を受けさせられる自由。
この「自由」を手にするためには、経済的な基盤が不可欠です。したがって、お金を稼ぐこと、守ること、増やすことは、卑しい行為ではなく、あなたの魂を自由にするための神聖な義務なのです。
第二の真理:収入の十分の一を己のために残せ(支払え)
自由人の魂を持つための具体的な第一歩、それはあまりにも単純で、多くの人が軽視する真理です。
「稼いだものは、すべてその一部を自分のものとして残す」
あなたはこう言うかもしれません。「私は稼いだ金をすべて自分のために使っている」と。しかし、それは違います。あなたは家主に家賃を払い、服屋に代金を払い、食料品店に金を払っています。あなたは他人のためには働いていますが、あなた自身のためには働いていません。これでは、食べるものと着るものを与えられて働く「奴隷」と何が違うのでしょうか?
人生で大事なのは、自分自身を尊重することです。
毎月、財布に入ってくる金貨の十分の一でもいい。それを決して使わず、自分の未来のために「自分自身に支払う」のです。これを行うと、不思議なことが起こります。財布が重くなるにつれて、あなたの背筋は伸び、目には力が宿ります。「私には資産がある」という事実は、他人に媚びず、堂々と生きるための精神的な支柱となるのです。
この「十分の一の貯蓄」は、単なる節約ではありません。あなたの魂が「私は他人の支払いのために生きているのではない」と宣言する儀式なのです。
第三の真理:欲望と必要を混同するな
多くの人は、収入が増えれば増えるほど、使うお金も増えてしまいます。そして「もっとお金があれば幸せになれるのに」と嘆きます。しかし、これは間違いです。
人生で大事なことは、「足るを知り、真の価値を見極める知恵」です。
人間の欲望は際限がありません。しかし、本当に必要なものは意外と少ないのです。見栄のための衣服、流行を追うための装飾品、これらはあなたの人生を豊かにするどころか、あなたを支払いの奴隷につなぎ止める鎖となります。
「必要経費」と「欲望」を明確に区別してください。欲望をコントロールできなければ、どれだけ大金を稼ごうとも、あなたの魂は常に飢え、常に何かに追われることになります。自分の価値観に基づき、「これには金を使うが、これには使わない」と決断すること。その自律こそが、人生の主導権を握るということです。
第四の真理:金貨を働かせよ
汗水垂らして働くことは尊いことです。しかし、肉体には限界があります。老いは必ず訪れます。
人生において重要なのは、「あなた自身が働かなくなったとしても、富があなたの元へ流れ込む仕組み」を作ることです。
貯め込んだ金貨は、ただ持っているだけでは意味がありません。それを投資し、子供(利子)を生まさせ、その子供にまた子供を産ませるのです。バビロンの教えで言えば、金貨を「奴隷」として働かせるのです。
現代の言葉で言えば、配当、利子、不動産収入、あるいはビジネスオーナーとしての収益でしょう。あなたが寝ている間も、旅行をしている間も、あなたの金貨があなたのために働き続ける。この状態を作って初めて、あなたは真に「時間」という最も貴重な資源を自分のものにできるのです。
時間は命そのものです。金貨を働かせるということは、自分の命を切り売りするのをやめ、命を自分の愛するもの、愛する人のために使う時間を買い戻すということなのです。
第五の真理:守るべきものを守る(リスクと知恵)
人生には嵐がつきものです。詐欺師の甘い言葉、無謀な投資話、あるいは予期せぬ災害。
大事なことは、「無知による喪失を避けること」です。
高利回りの怪しい話に飛びつくのは、金持ちになりたいという「強欲」ではなく、楽をしたいという「怠慢」です。バビロンの壁のように、堅実な守りが必要です。
その道の専門家に相談すること。自分理解できないものには投資しないこと。元本を保証されないような危険な賭けは避けること。
一攫千金を夢見るギャンブラーとして生きるのではなく、レンガを一つ一つ積み上げる建築家として生きるのです。堅実さは退屈に見えるかもしれませんが、その退屈な積み重ねだけが、決して崩れない城壁を築くのです。
第六の真理:行動こそが幸運の女神を呼ぶ
私が最も強調したいことの一つがこれです。
人生において最も忌むべき敵は、「先延ばしにする心」です。
多くの人は「いつか」と言います。「いつか貯金を始めよう」「いつか起業しよう」「いつかあの人に想いを伝えよう」。しかし、バビロンには「いつか」という日は存在しませんでした。そして現代にも存在しません。
幸運の女神は、行動する人間にのみ微笑みます。チャンスが目の前に来た時、「準備ができていない」と言って見送る人に、二度目のチャンスは訪れません。
「良きこと」だと思ったなら、即座に行動に移すこと。恐怖をねじ伏せ、最初の一歩を踏み出すこと。
行動する者だけが、失敗から学び、成功へと近づけます。動かない者は、何も失わない代わりに、何も得ません。それは死んでいるのと同じです。生きた証を残したいなら、今すぐに、小さな一歩を踏み出しなさい。それが、あなたの人生を動かすエンジンの点火となります。
第七の真理:明確な目標と、学ぶ意欲
風に流される木の葉のように生きてはいけません。
人生で大事なのは、「明確な願望」を持つことです。
「お金持ちになりたい」という漠然とした願いは叶いません。「5年後にこれだけの資産を築き、このような生活をする」という具体的で強烈な願望だけが、現実を引き寄せます。
そして、そのために学び続けることです。バビロンの富豪アルカドも、最初はただの泥板書記でした。彼は金貸しから知恵を学び、実践し、失敗し、また学びました。
自分の能力を高めること、技量を磨くこと、知恵ある者を敬い教えを乞うこと。自己投資こそが、誰にも奪われない最高の資産となります。
結論:あなたにとっての「バビロン」を築け
さて、3500字には及びませんが、これらが私の、いやバビロンの賢者たちが遺した「人生で一番大事なこと」の真髄です。
まとめましょう。
人生で一番大事なこと。それは、「自分自身を律し、経済的な不安から魂を解放し、自らの意志で人生を選択できる『自由人』としての誇りを持つこと」です。
そのために、
- 稼ぎの一部を自分のために残しなさい。
- 欲望をコントロールしなさい。
- 金を働かせ、時間を自分のものにしなさい。
- そして何より、「今日」行動しなさい。
あなたの住む世界は、バビロンの時代よりもはるかに複雑かもしれません。しかし、法則は変わりません。太陽が東から昇るように、富と幸福の法則もまた普遍です。
あなたが今日から、財布の中に「希望」という名の金貨を一枚残し始めることを願っています。それが、あなたの人生という壮大な神殿を築く、最初の礎石となるのですから。
あなたの人生に、バビロンの黄金の如き輝きがあらんことを。
ジョージ・S・クレイソン(の魂を継ぐ者)より
次のステップ
『バビロンの大富豪』の「7つの知恵」や「5つの黄金法則」について、あなたの現在の状況(貯蓄、投資、仕事など)に当てはめて、より具体的な最初のアクションプランを一緒に考えましょうか?