皆さん、こんにちは。松田聖子です。

今日、こうして「人生で一番大事なことは何か」という、とても深くて素敵な問いかけをいただきましたこと、心から感謝いたします。

1980年にデビューしてから、本当に長い年月が経ちました。振り返れば、あどけない少女だった私が、歌という翼を授かって、ファンの皆さんと共に嵐の中も、そして眩い光の中も歩んできた、そんな気がいたします。

45年以上の月日を歌手として、そして一人の女性として歩んできた中で、私が見つけた「人生で一番大事なこと」。それは、たった一つの言葉で言い表すのはとても難しいのですが、あえて申し上げるなら、それは**「自分自身の心の声を信じ、愛し抜くこと」**ではないかと思っています。

これから、私がこれまでの歩みの中で感じてきたこと、大切にしてきた想いを、心を込めてお話しさせていただきますね。


1. 夢を信じ抜く力:心の「ときめき」を羅針盤に

私が福岡県久留米市から上京したとき、手元にあったのは「歌いたい」という、震えるような小さくて、でも消えることのない情熱だけでした。当時は、今の自分を想像することなんて到底できませんでした。ただ、目の前にある「夢」という輝きを追いかけるのに必死だったのです。

人生には、時として自分の進む道に迷ったり、周りの声に心が揺らいだりすることがありますよね。「本当にこれでいいの?」「私にできるのかしら?」……そんな不安が押し寄せる夜は、誰にでもあるものです。

でも、そんな時こそ、**自分の内側にある「ときめき」**に耳を澄ませてほしいのです。誰かが決めた正解ではなく、あなたの心が「あ、これが好き」「こうなりたい」と、小さく弾む瞬間。その「ときめき」こそが、あなたが人生という大海原を航海するための、最も正確な羅針盤になります。

私は、どんなに逆風が吹いても、自分の「歌いたい」という気持ち、そして「新しい自分に出会いたい」という好奇心を信じることをやめませんでした。自分を信じる力は、時に技術や才能よりも、私たちを遠い場所へ運んでくれるものだと確信しています。

2. 笑顔の魔法:自分を、そして世界を照らす光

私のトレードマークのように言っていただける「笑顔」ですが、これは決して、いつも楽しいことばかりだったからではありません。むしろ、辛い時、悲しい時、立ち止まってしまいそうな時こそ、私は意識して前を向こうとしてきました。

人生には、自分の力ではどうにもできない試練が訪れることがあります。心が折れそうになる瞬間もあります。そんな時、「それでも、口角を上げてみる」。これは、私にとっての「祈り」に似た儀式でもありました。

笑顔を作ると、不思議なことに、心の中にほんの少しだけ隙間が生まれます。その隙間に、新しい希望や、周りの人の優しさがスッと入ってくるのです。あなたが笑えば、世界が少しだけ明るく見えます。そして、あなたが明るく振る舞うことで、周りの誰かの心にも灯がともります。

「幸せだから笑うのではなく、笑うから幸せがやってくる」。この言葉を、私は人生のステージの上で、そして日常の暮らしの中で、何度も実感してきました。笑顔は、自分を守り、そして誰かを幸せにする、世界で一番優しくて強い魔法なのです。

3. 変化を恐れない勇気:永遠に「今の自分」を更新する

よく「永遠のアイドル」という、光栄すぎる言葉をいただくことがあります。でも、私自身は「変わらないこと」を目指してきたわけではありません。むしろ、**「変わり続けること」「挑戦し続けること」**を一番の楽しみに生きてきました。

80年代のアイドルとしての私、作詞・作曲を手掛けるようになった私、そしてジャズという新しい世界に飛び込んだ私。どの時代の私も、その時の精一杯の「私」でした。

人は、年齢を重ねることを怖がることがあります。でも、経験を積むということは、心の中にたくさんの「音色」が増えていくということ。若い頃には出せなかった深い響きを、今の自分なら奏でられる。そう思うと、未来がとても楽しみになりませんか?

「もう遅い」なんてことは、人生において一つもありません。昨日とは違う自分、今日よりも少しだけ成長した明日の自分に会いにいく。その**「自分を更新し続けていく勇気」**こそが、人生を鮮やかに彩ってくれるのだと思います。失敗を恐れずに、新しい靴を履いて一歩踏み出す。その足音が、あなたの人生という素晴らしい楽曲のリズムになっていくのです。

4. 感謝という名の土台:独りでは見られない景色

私が今日まで歌い続けてこられたのは、決して私一人の力ではありません。

支えてくれるスタッフ、共に切磋琢磨する仲間、そして何より、どんな時も温かい声援を送ってくださるファンの皆様。皆様の存在がなければ、今の松田聖子は存在しません。

人生で一番大事なことの一つは、**「感謝の心を持って生きること」**です。「ありがとう」という言葉は、言った人も、言われた人も、その瞬間から心が温かくなる魔法の言葉。

当たり前だと思っている日常、そばにいてくれる人、今日という日を迎えられたこと。そのすべてに感謝の気持ちを持つことで、世界はまったく違った表情を見せてくれます。感謝の土台がしっかりしていれば、どんな困難が訪れても、人はまた立ち上がることができます。

自分を愛することも大切ですが、同時に「生かされている」という謙虚な気持ちを忘れないこと。そのバランスが、心をしなやかに、そして豊かにしてくれるのだと感じています。

5. 愛すること、そして「今」を大切に生きること

最後に、最もお伝えしたいのは**「愛」**についてです。

家族への愛、友人への愛、仕事への愛。そして、自分自身の人生そのものへの愛。愛することなしに、本当の喜びを感じることはできません。

そしてその愛は、常に「今、この瞬間」の中にあります。過ぎ去った過去に後悔したり、まだ見ぬ未来を不安に思ったりすることに時間を使うのは、もったいないことです。

「今、この瞬間の煌めき」を大切にすること。

目の前にいる人の目を見て、微笑むこと。

流れてくる音楽に、心を震わせること。

美味しいお茶を一口飲んで、幸せを感じること。

そんな小さな「今」の積み重ねが、やがてあなたの「人生」という大きなドラマになります。人生で一番大事なこと。それは、「自分の人生を、自分の手で最高に愛おしい物語にしていくこと」


いかがでしたでしょうか。

私の言葉が、少しでもあなたの心に届き、明日を生きる力や、小さな勇気に変わったなら、これほど嬉しいことはありません。

あなたは、世界にたった一人しかいない、かけがえのない存在です。あなたの人生のステージで、あなたが主役として、一番美しい光を放ってくださいね。私はいつでも、歌を通して、そして心の中で、あなたを応援しています。

聖子より、愛を込めて。