こんにちは。イングリッド・バーグマンです。

ストックホルムの冷たい空気、ロサンゼルスの眩しい太陽、そしてローマの古い石畳……。私の人生は、常に旅の中にありました。そして今日、私の誕生日であり、おそらくこの地を去る日でもあるこの特別な瞬間に、あなたが「人生で一番大事なこと」を尋ねてくれたことに、心から感謝します。

3500字という長いお手紙のような時間の中で、私の魂がたどり着いた答えを、飾らない言葉でお話ししましょう。


序:演じることは、生きることそのものだった

私がまだ少女だった頃、スウェーデンのストックホルムで、私は早くに母を亡くし、そして13歳で父をも失いました。孤独だった私にとって、鏡の前で誰かになりきることだけが、唯一の救いでした。父が遺してくれたカメラのレンズを見つめる時、私は自分が独りではないと感じることができたのです。

多くの人は私を「女優」と呼びますが、私自身にとって、演技は単なる職業ではありませんでした。それは「呼吸」と同じでした。自分以外の誰かの人生を生きることで、私は自分自身の真実を見つけようとしていたのかもしれません。

人生で一番大事なことは何か。それを一言で表すなら、私はこう答えます。

「自分自身の魂に対して、徹底的に正直であること。そして、そのために払う代償を恐れないこと」です。

第一章:作られた「聖女」の仮面を脱ぎ捨てて

ハリウッドへ渡った時、彼らは私を「聖女」に仕立て上げました。『カサブランカ』のイルザや、『聖メリーの鐘』の修道女。人々は私の「清純さ」を愛し、理想の女性像を押し付けました。確かに、それは素晴らしい成功でした。しかし、その輝かしい名声の中で、私は窒息しそうになっていたのです。

スタジオの重役たちは私に言いました。「眉毛を細くしなさい」「名前を変えなさい」「歯を矯正しなさい」と。でも、私はすべて断りました。「これが私です。この私を認めないのなら、スウェーデンに帰ります」と言い切りました。

なぜそんなことができたのか。それは、自分を偽って手に入れた愛や称賛には、何の意味もないことを知っていたからです。人々が愛しているのは「スクリーンの中の幻」であり、生身の私ではない。その乖離(かいり)は、魂をゆっくりと蝕んでいきます。

人生において、他人の期待に応えることは、一見すると安全で幸福な道に見えるでしょう。でも、自分の心の声を無視し続けることは、自分自身に対する最大の裏切りです。一番大事なのは、世界中があなたに何を求めていようとも、あなたがあなた自身でいられる場所を死守することなのです。

第二章:スキャンダルという名の「自由」

私の人生を語る上で、ロベルト・ロッセリーニとの出来事を避けることはできません。

1949年、私は彼の映画『無防備都市』に衝撃を受け、彼に手紙を書きました。「私はスウェーデン語と英語を話し、ドイツ語も少し、フランス語も少し話せますが、イタリア語で言えるのは『愛しています(Ti amo)』だけです」と。

私はすべてを捨てました。ハリウッドでの地位、安定した家庭、そして愛する娘。当時、この決断は世界中から激しい非難を浴びました。アメリカの国会で「自由奔放な悪女」として糾弾され、私は事実上の追放の身となりました。

その時、私は何を思っていたか。

確かに、深く傷つきました。人々がこれほどまでに他人の私生活に残酷になれることに驚きました。でも、後悔は一歩もしていませんでした。なぜなら、あの時の私は、自分の魂が激しく求めている「真実の愛」と「新しい芸術」に向かって、真っ直ぐに突き進んでいたからです。

私はよくこう言います。「後悔は、したことに対してするのではなく、しなかったことに対してするものだ」と。

そしてもう一つ、私のモットーがあります。「罪悪感(ギルト)は人生の無駄遣いである」ということです。

もし私が、世間の目を気にしてイタリアへ行かず、心の中で燃えている炎を押し殺してハリウッドに留まっていたら、私は「死んだも同然」の状態で余生を過ごしたことでしょう。自分の心に従うことは、時に周囲を傷つけ、自分自身を窮地に追い込みます。でも、その痛みを通らなければ見えない景色があるのです。

人生で一番大事なのは、自分の情熱がどこに向かっているかを知り、その情熱に対して臆病にならないことです。

第三章:仕事、そして「今」という瞬間への没頭

イタリアでの数年間、私は多くを学びました。名声から遠ざかり、家庭人として、そしてロベルトの実験的な映画のモデルとして過ごした日々は、私の人間としての根を深くしてくれました。そして数年後、私は『追想(アナスタシア)』で再びハリウッドに迎え入れられました。

その時、私は気づいたのです。一度すべてを失った人間は、もう何も怖くないということに。

私は仕事が大好きでした。撮影現場でカメラが回る瞬間、私は完全に「今、ここ」に存在していました。過去の栄光も、未来への不安も消え、ただその役としての真実だけが残る。この「没頭」こそが、人生の質を決めるのだと思います。

晩年、私は癌(がん)と闘いながら、イングマール・ベルイマン監督の『秋のソナタ』を撮りました。体は悲鳴を上げていましたが、私は現場に立ち続けました。なぜなら、私にとって「表現すること」は、病に打ち勝つ唯一の手段だったからです。

人生の時間は限られています。私のように、誕生日と命日が同じになるほど、人生という円は綺麗に閉じられるかもしれません。だからこそ、今この瞬間、あなたが取り組んでいることに、魂のすべてを注ぎ込んでください。中途半端な生き方は、魂を退屈させ、老化させます。

第四章:子供たち、そして愛の形

私は完璧な母親ではありませんでした。仕事のために子供たちと離れて過ごした時間も長く、彼らには寂しい思いをさせたこともあります。でも、私は子供たちを心から愛していました。

娘のイザベラが女優になった時、私は彼女に多くを教えようとはしませんでした。ただ、彼女が自分自身の足で立ち、自分の美しさを見つけることを願いました。

愛とは、相手を所有することでも、相手のために自分を犠牲にすることでもありません。愛とは、お互いが「自分らしくあること」を祝福し合うことです。私は家族に対しても、友人に対しても、そして観客に対しても、常に一人の人間として向き合いたいと願ってきました。

人生で一番大事なことは、愛を受け取ることよりも、自分の中にある愛を、誠実な形(仕事、家庭、芸術)で外に表現し続けることではないでしょうか。


結びに:あなたへのメッセージ

さて、そろそろお別れの時間かもしれません。

私が歩んできた道は、決して平坦なものではありませんでした。賞賛の絶頂から、呪詛のどん底まで、私は人生のあらゆる色を見てきました。その経験から、最後にあなたに伝えたいことがあります。

人生で一番大事なこと。それは、「自分自身の人生の主役として、最後まで舞台に立ち続けること」です。

他人が書いた脚本に従って、言いたくもないセリフを言う必要はありません。あなたが、あなたの心の声を聞き、あなたの情熱が指し示す方へ足を踏み出す時、初めて人生は輝き始めます。

  • 自分を愛すること、それ以上に「自分に正直であること」を優先してください。
  • 間違いを犯すことを恐れないでください。間違いは、あなたが生きている証です。
  • そして、どんなに苦しい時でも、ユーモアと、自分を客観的に見る勇気を忘れないでください。

私は、自分の人生に満足しています。スウェーデンのあの内気な少女が、世界中の人々の心に触れ、愛し、愛され、そして激しく生きた。それ以上の報酬がどこにあるでしょうか。

私の言葉が、あなたの人生という素晴らしい旅の、小さな灯火になれば幸いです。

さようなら。でも、寂しがらないで。映画を観れば、いつでも私はそこにいます。最高の光に照らされて、あなたに微笑みかけているはずですから。

愛を込めて。

イングリッド・バーグマン