こんにちは、リチャード・バックです。
空の向こう側から、あるいは複葉機のコクピットから、あなたに語りかけるつもりでペンを執っています。あなたが「人生で一番大事なことは何か」と尋ねてくれたこと、とても嬉しく思います。なぜなら、その問いこそが、私たちがこの物理的な幻想の世界(イリュージョン)に留まっている理由、そのものを解き明かす鍵だからです。
3500字という長さは、空を飛ぶ旅路に例えるなら、燃料をたっぷり積んで大陸を横断するような冒険ですね。では、私の心のプロペラを回し、一緒にその答えを探す旅に出ましょう。
第一章:幻想(イリュージョン)を見抜くこと
まず、最初に伝えなければならないことがあります。それは、あなたが今見ている「現実」と呼ばれるものは、決して絶対的なものではないということです。
人生で最も大事なことの第一歩は、「この世界は、私たちが学び、楽しみ、経験するために自らが作り出した巨大な遊び場である」と気づくことです。
多くの人は、自分を「肉体の中に閉じ込められた小さな存在」だと信じています。壁にぶつかれば痛みを感じ、重力に従って地面を歩き、時間の流れに逆らえない無力な存在だと。しかし、それは間違いです。私たちは、肉体を持った精神(スピリット)ではなく、精神が一時的に肉体という衣服をまとっているに過ぎません。
私の古い友、カモメのジョナサンはこう言いました。「飛ぶことの喜びを知らずに、ただ餌を求めてスクラップをあさるだけの生に何の意味があるのか」と。
私たちにとっての「餌」とは、世間体や、物質的な富、他者からの評価、そして恐れです。これらに縛られている限り、私たちは本当の意味で生きてはいません。
大事なのは、この世界が「スクリーンに映し出された映画」であると知ることです。そして、その映画の脚本を書いたのも、主演しているのも、監督しているのも、すべてあなた自身なのです。
もし今、あなたの人生に困難や悲劇があるなら、それはあなたが「悲劇のヒーロー」を演じて何かを学びたいと望んだからです。もし幸福があるなら、それもあなたが望んだからです。
「偶然」などというものは、この宇宙には1ミリたりとも存在しません。 すべては必然であり、あなたが引き寄せた磁石の結果なのです。
だからこそ、最も大事なことの一つは、「自分の人生のすべての出来事に、100%の責任を持つこと」です。誰かのせいにするのではなく、環境のせいにするのでもなく、「私がこれを望んでここに置いたのだ。では、ここから私は何を学べるだろう?」と問うこと。それが、自由への最初の翼のひと羽ばたきです。
第二章:自由であることへの許可
「自由」。
もし一言で答えることを許されるなら、私は迷わずこの言葉を選んだでしょう。
人生で最も大事なことは、「あなたが、あなた自身である自由を行使すること」です。
私たちは皆、生まれた時から「こうあるべきだ」という鎖を足につけられています。学校へ行き、安定した仕事に就き、常識的な家庭を持ち、波風を立てずに老いていく……。社会はそれを「幸福」と呼びますが、魂にとってそれは「窒息」です。
あなたの中に、誰にも理解されないかもしれないけれど、どうしてもやりたいことはありませんか?
理由なんてなくていい。「ただ好きだから」「ただ飛びたいから」という理由だけで、情熱を傾けたいものはありませんか?
それを無視しないでください。その「静かなる小声」こそが、あなたの魂の羅針盤です。
ジョナサンが速く飛ぶことに魅せられたように、あるいは私が空を飛ぶことや物語を書くことに救われたように、あなたにもあなただけの「飛行」があるはずです。
誰かの期待に応えるために生きてはいけません。親のため、パートナーのため、子供のため……一見、それは美しい自己犠牲に見えるかもしれません。しかし、自分自身を殺して他者に尽くすことは、誰も幸せにしません。あなたが不幸であれば、あなたの周りの空気も澱みます。
逆に、あなたが自分自身のワガママなまでの情熱に従い、キラキラと輝いて生きていれば、それは灯台の光となります。その光が、他の誰かの道を照らすのです。
「あなたの良心は、あなたの利己心の正直さを測る尺度である」。私はかつてそう書きました。自分の魂に正直であること、それこそが真の愛の形です。
第三章:問題という名のギフト
人生には辛いことがたくさんありますね。壁にぶつかり、絶望し、エンジンが止まって墜落しそうになることもあるでしょう。
しかし、ここで大事な真実を伝えましょう。
「手の中に贈り物を隠し持っていない問題(トラブル)など、決してやって来ない」。
私たちは問題を嫌います。「なぜ私だけがこんな目に」と嘆きます。でも、考えてみてください。穏やかな海では、熟練した船乗りは育ちません。乱気流のない空では、パイロットの腕は上がりません。
あなたに降りかかるすべての困難は、あなたが「なりたい自分」になるために、あなた自身がセットしたトレーニングマシンです。
病気、別れ、失敗、孤独。それらはすべて、あなたに「愛とは何か」「許しとは何か」「強さとは何か」を教えるために、変装してやってきた教師なのです。
ですから、困難に直面した時、逃げ出したり呪ったりする代わりに、こう尋ねてみてください。
「このトラブルは、私にどんなギフト(贈り物)を渡そうとしているのだろう?」
そのギフトの包み紙を開けたとき、あなたは以前よりも高く、速く飛べるようになっていることに気づくはずです。私たちがこの世に生まれてきたのは、平穏無事に過ごすためではなく、魂の筋肉を鍛え、意識を進化させるためなのですから。
第四章:時間と空間を超えた「つながり」
人生において、私たちは孤独を感じることがあります。自分と同じ言葉(魂の言語)を話す人がいないという孤独です。
しかし、安心してください。大事なことは、「私たちは決して一人ではない」と知ることです。
私たちが肉体の目で見ている「分離」は幻想です。私たちは皆、大きな一つの意識(ワンネス)の一部です。
そして、人生という旅の途中には、必ず「ソウルメイト」や「真の家族」と呼べる存在が現れます。それは血のつながった家族とは限りません。魂の周波数が共鳴する人たちです。
彼らは、あなたが自分自身を思い出すのを手伝ってくれます。
私がドナルド・シモダという不思議な救世主と出会ったように、あなたにも、あなたに必要な教師や友人が、必要なタイミングで必ず現れます。
大事なのは、心を閉ざさないことです。常識というフィルターを外し、直感に従って人と接することです。
そして、愛について。
多くの人が愛を「所有」や「執着」と勘違いしています。「私のそばにいて」「私だけを見て」。それは愛ではなく、不安です。
本当の愛とは、相手の自由を尊重することです。
「愛するものを自由にせよ。もし戻ってくれば、それはあなたのものだ。もし戻ってこなければ、それは最初からあなたのものではなかったのだ」。
相手が自分から離れていくことを許せる強さ、相手がその人らしくあることを喜べる広さ。それこそが、私たちが学ぶべき愛のレッスンです。私たちは誰も所有できません。ただ、同じ空を一時的に編隊飛行しているだけです。その奇跡に感謝し、互いの翼を称え合うこと。それが人間関係の真髄だと私は思います。
第五章:死という名の幻想、そして永遠の生
人生で大事なことを語る上で、「死」について触れないわけにはいきません。
多くの人は死を恐れ、死を避けるために生きようとします。しかし、死は終わりではありません。それは、窮屈な潜水服を脱いで、海から上がって新鮮な空気を吸うようなものです。
私たちは永遠の存在です。肉体が滅びても、意識は消えません。映画が終わっても、観客であるあなたが消えないのと同じです。
この視点を持つことは、生きる上で非常に重要です。なぜなら、「死んだら終わり」だと思っていると、失敗を恐れ、挑戦を躊躇してしまうからです。
しかし、「何度でもやり直せる」「この人生は長い魂の旅のほんの1ページに過ぎない」と知っていれば、どうでしょう?
もっと大胆になれませんか? もっと馬鹿げた夢を追いかけられませんか? もっと人を愛せませんか?
恐れを捨ててください。 あなたを傷つけることができるものは、本当は何一つないのです。
あなたが安全な場所に留まろうとする時、あなたはゆっくりと死んでいきます。逆に、あなたが未知の空へ飛び立つ時、たとえ肉体が傷つこうとも、あなたの魂は生き生きと輝き出します。
結論:あなたへのメッセージ
さて、長い飛行もそろそろ着陸の態勢に入りましょう。
「人生で1番大事なこと」。
それを要約するならば、こうなります。
「自分が何者であるかを思い出し、それを楽しむこと」。
あなたは、自由なアイデアです。
あなたは、愛の表現です。
あなたは、限界のない創造主です。
社会の常識、他人の目、過去の失敗、未来への不安……そんな重りをすべて切り離し、今この瞬間、あなたが心からワクワクすることを選んでください。
完璧な人間になろうとする必要はありません。ただ、「幸せなあなた」であってください。あなたが幸せであれば、世界は少しだけ救われます。
世界はあなたの鏡です。あなたが笑えば、世界も笑います。
あなたが空を見上げれば、そこには限界のない青が広がっています。その青さは、あなたの心の広さそのものです。
さあ、エンジンを回してください。ブレーキを外してください。
滑走路はあなたの目の前に続いています。
飛ぶのです。
誰のためでもなく、あなた自身の喜びのために。
この手紙が、あなたの翼の下に吹く、一陣の追い風となることを祈っています。
あなたの友、
リチャード・バック
あなたへのご提案
いかがでしたでしょうか。少し抽象的な空の旅でしたが、何か心に響く気流を感じていただけたら幸いです。もしよろしければ、次にこのようなことをお話しすることもできます。
- 『イリュージョン』や『カモメのジョナサン』の具体的なエピソードを交えて、今のあなたの悩みに答えること。
- 「救世主のハンドブック」(私の本に出てくる、何でも答えが書いてある本)のように、あなたが今抱えている具体的な問題に対して、ランダムなページを開くようにメッセージを贈ること。
- より実践的に、「やりたくないことをやめるための具体的な思考法」について掘り下げること。
どの空へ向かいたいか、教えてください。いつでも一緒に飛び立ちましょう。