マーク・ザッカーバーグの生声 本人自らの発言だからこそ見える真実

質問者

ザッカーバーグさん、人生で一番大事なことは何ですか? 3500字程度でお願いします。

ハイ、マーク・ザッカーバーグです。

「人生で一番大事なことは何か?」という問いですね。

この質問をされたとき、若い頃の僕なら「コードを書くこと」や「素晴らしいプロダクトを作ること」、あるいは「世界をつなげること」と即答していたかもしれません。もちろん、それらは今でも僕にとって非常に重要です。しかし、Facebookを立ち上げ、Metaへと進化させ、そして何よりプリシラというパートナーと共に家族を持ち、父親になった今、その答えはより深く、より本質的なものへと変化してきました。

もし、今の僕が3500字を使って、人生で最も大切なことについて語るとすれば、それは単一の言葉ではなく、いくつかの重なり合う概念になります。それは「目的(Purpose)」「長期的視点(Long-term Conviction)」、そして「意味のある繋がり(Meaningful Connection)」です。

これらについて、僕の経験と考えを共有させてください。


1. 「目的」を見つけるのではなく、創り出すこと

ハーバードの卒業式でのスピーチでも話しましたが、多くの人は「自分の目的を見つけよう」と必死になります。しかし、人生で一番大事なのは、単に自分の目的を見つけることだけではありません。「誰もが目的を持てるような世界を創り出すこと」です。

「目的」とは、自分よりも大きな何かの一部であるという感覚です。自分が必要とされている、自分が取り組むべきより良い未来があるという感覚です。目的こそが、真の幸福の源です。

僕がFacebookを始めたとき、最初から「会社を作ろう」と思っていたわけではありませんでした。ただ、ハーバードの学生たちが互いにつながれるようなディレクトリがあれば便利だと思ったのです。誰かがそれを作るべきだと思い、それが僕だっただけです。しかし、時が経つにつれ、それが「世界中の人々をつなげる」という巨大なミッションに変わっていきました。

ただ、僕一人がそのミッションを持っていても意味がありません。Metaで働く何万人もの社員、そして私たちのプラットフォームを使ってコミュニティを作っている何十億もの人々が、それぞれの「目的」を持てるようにすること。それが、僕にとっての「仕事」の本質です。

人生において大事なのは、あなた自身が情熱を傾けられるプロジェクトを持つことだけではなく、あなたの周りの人々にも、情熱を傾ける余地を与えることです。素晴らしいコミュニティや組織は、参加する一人ひとりに役割と目的を与えます。あなたがリーダーであれ、親であれ、友人であれ、誰かの人生に「目的」という感覚をもたらす手助けをすること。これほど尊いことはありません。

2. 人間関係というインフラストラクチャー

エンジニアとしての僕は、常にシステムやインフラについて考えます。しかし、人生における最強のインフラは、サーバーでも光ファイバーでもありません。それは「人間関係」です。

多くの人は、成功とは個人の能力や努力の結果だと考えがちです。しかし、歴史上の偉大な成果を見てください。人類の進歩、社会運動、革新的なビジネス、それらはすべて「コミュニティ」から生まれています。一人で成し遂げられたものなど、ほとんどありません。

僕が人生で最も大切にしているのは、プリシラ(妻)との関係、そして子供たちとの時間です。毎晩、子供たちを寝かしつけるとき、ユダヤ教の祈りである「ミ・シェベラハ」を唱えます。そして、彼女たちの健康と、勇気ある人生を願います。この家族という最小単位のコミュニティが、僕のエネルギーの源泉です。

また、仕事においても同じです。Facebookの初期、Yahoo!から10億ドルでの買収提案を受けたとき、僕はそれを断りました。多くの人は僕が狂ったと思いましたが、当時の共同創業者であるダスティン・モスコヴィッツだけは理解してくれました。「僕らはまだ、やりたいことのほんの一部しか実現していない」と。彼のような、ビジョンを共有し、困難な時に支え合える仲間がいなければ、今のMetaは存在しません。

人生で一番大事なことは、「誰と一緒に旅をするか」です。あなたを信じ、あなたに挑戦させ、あなたがより良い人間になるのを助けてくれる人々。そんな人々に囲まれていること、そしてあなた自身が誰かにとっての「そんな人」になること。これこそが、人生の豊かさを決定づけます。

3. 長期的な視点を持つ勇気

シリコンバレーには「Move fast and break things(素早く動き、破壊せよ)」という有名なマントラがありました(かつての僕たちのモットーでもあります)。しかし、人生における「大事なこと」を考えるとき、スピードと同じくらい、あるいはそれ以上に重要なのが「長期的視点(Long-term View)」です。

私たちは今、短期的な利益や評価、「いいね!」の数に囚われやすい世界に生きています。しかし、本当に価値のあるもの、世界を変えるようなインパクトのあるものは、一朝一夕には作れません。

僕たちが今、Metaverse(メタバース)に巨額の投資をしているのもそのためです。多くの批判があることは知っています。「なぜSNSの会社がVRやARに注力するのか?」と。しかし、僕が見ているのは来年の決算ではありません。10年後、20年後の未来です。

僕は、未来のテクノロジーは「私たちをより人間らしくするもの」であるべきだと信じています。今のスマートフォンは素晴らしいですが、会話中に画面を見つめることは、ある意味で「今、ここ」から私たちを引き離します。僕が描くメタバースの未来は、遠く離れた場所にいる大切な人と、まるで同じ部屋に座っているかのような「プレゼンス(実在感)」を感じられる世界です。テクノロジーが物理的な距離を消滅させ、純粋なコミュニケーションだけが残る世界。それを実現するには、長い時間と莫大なリソース、そして何より「信じ抜く力」が必要です。

人生において大事なのは、「誤解されることを恐れずに、長期的な信念を持ち続けること」です。あなたが何か新しいこと、重要なことをしようとすれば、必ず批判されます。現状維持を望む力は常に強力です。しかし、10年後に「あの時、諦めなくてよかった」と言えるような選択を、今日できるかどうか。それがあなたの人生の軌道を決めます。

4. 楽観主義とエンジニアリング・マインドセット

チャン・ザッカーバーグ・イニシアティブ(CZI)を通じて、僕とプリシラは「今世紀末までに、すべての病気を治療、予防、または管理できるようにする」という目標を掲げました。これもまた、正気の沙汰ではないと思われるかもしれません。

しかし、僕は根本的に「楽観主義者」です。そして、すべての問題は解決可能であるという「エンジニアリング・マインドセット」を持っています。

人生で大事なのは、「世界は変えられる」と信じることです。システムは固定されたものではありません。誰かが作ったものです。ならば、私たちがそれをより良く作り変えることができるはずです。

教育、医療、貧困、気候変動。これらの巨大な課題に対して、シニカルになるのは簡単です。「どうせ無理だ」と諦めるのは楽です。しかし、諦めた瞬間に進歩は止まります。

大事なのは、どんなに大きな問題も小さな要素に分解し、一つひとつ解決していく姿勢です。コードを書くように、仮説を立て、実行し、失敗し、学び、修正する。このサイクルを繰り返すことで、私たちは不可能なことを可能に変えていけるのです。

あなたの人生においても、困難に直面することがあるでしょう。その時、絶望するのではなく、「どうすればこのシステムをデバッグ(修正)できるか?」と考えてみてください。その楽観的な行動力こそが、未来を切り拓く鍵です。


結論として

人生で一番大事なこと。それは一言で言えば、「つながり(Connection)」です。

しかし、それは単にSNSで友達が多いということではありません。

  • 自分自身とのつながり(自分の好奇心や情熱に正直であること)。
  • 愛する人とのつながり(家族や友人を大切にし、時間を共有すること)。
  • 社会とのつながり(自分の仕事や活動を通じて、誰かの役に立ち、目的を与えること)。
  • 未来とのつながり(長期的な視点を持ち、次世代のために今日行動すること)。

僕はテクノロジーを通じて、この「つながり」を最大化しようとしています。しかし、テクノロジーはあくまでツールです。主役はあなた自身です。

あなたが今日、誰に愛を伝えるか。
あなたが今日、どんなコミュニティを作るか。
あなたが今日、どんな未来を信じて行動するか。

結局のところ、人生の価値は、私たちがどれだけ多くの富を得たかではなく、どれだけ多くの人々の人生にポジティブな影響を与え、どれだけ深くつながることができたかで測られるのだと思います。

未来を恐れず、共に築いていきましょう。
Build meaningful connections.

マーク・ザッカーバーグ

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