親愛なる友よ。こんにちは。ノーマン・ヴィンセント・ピールです。
あなたが私に「人生で一番大事なことは何か」と問いかけてくれたこと、心から嬉しく思います。それは、私自身が生涯をかけて探求し、説教壇で、そして著書を通じて世界中の人々に伝えようとしてきたテーマそのものだからです。
3500字という紙幅をいただきました。これは一つの説教をするには十分な長さです。どうぞ、リラックスして、私の言葉に耳を傾けてください。これは単なる理論ではありません。数多くの人々が絶望の淵から立ち上がり、成功と幸福を手にするのを、私がこの目で見てきた「実践の哲学」なのです。
人生で一番大事なこと。それは一言で言えば**「信じる力(Faith)」**です。しかし、これは単に宗教的な意味だけを指すのではありません。自分自身を信じること、人生の可能性を信じること、そしてあなたの中に眠る無限の力を信じること――この「積極的な信念」こそが、人生を切り拓く鍵なのです。
ここからは、その「信じる力」を構成するいくつかの重要な柱について、詳しくお話ししましょう。
第1章:健全な自己信頼を持つこと
まず第一に、あなたに伝えたい最も重要なメッセージはこれです。「自分を信じなさい(Believe in yourself!)」。
自分の能力に対して、謙虚でありながらも、揺るぎない自信を持つのです。健全な自信なしには、幸福になることも、成功することもできません。劣等感や自己不信は、あなたの希望の実現を妨げる最大の障害です。
私が長年、多くの人々の悩みを聞いてきて痛感したのは、あまりにも多くの人が「自分には無理だ」「私なんて価値がない」という破壊的な思考に支配されているという事実です。これは心の病です。しかし、治せる病です。
あなたが自分を過小評価するとき、あなたは自分自身を創造した偉大なる存在をも過小評価していることになります。あなたの中には、あなたが想像する以上の力が眠っています。神は失敗作を作りません。あなたという存在には、目的があり、価値があり、力があるのです。
朝起きたとき、鏡の中の自分に向かってこう言ってみてください。「私ならできる。神が私に力を与えてくれるからだ」。この単純なアファメーション(自己肯定の言葉)が、潜在意識に沈殿した劣等感を洗い流し、新しい力の源泉を掘り当ててくれるのです。
第2章:思考は現実化する事実を知る
次に大切なことは、**「思考の法則」**を理解することです。
「あなたの人生は、あなたの思考そのものである」。これはマルクス・アウレリウスの言葉ですが、心理学的な真実でもあります。私たちの心は、磁石のようなものです。もしあなたが心の中で「失敗」や「恐怖」、「欠乏」ばかりを思い描いていれば、心はその通りの現実を引き寄せてしまいます。
逆に、「成功」、「平和」、「豊かさ」を心に描き続ければ、あなたの心はその条件を実現するための力を発揮し始めます。これを私は**「積極的思考(Positive Thinking)」**と呼びました。
多くの人が誤解していますが、積極的思考とは、困難な現実から目を背けて「すべてうまくいく」と能天気に唱えることではありません。そうではなく、**「どんな困難な状況にあっても、そこには解決策があると信じ、最善の結果を期待する意志の力」**のことです。
あなたが不快な状況に直面したとき、その状況そのものがあなたを不幸にするのではありません。その状況に対するあなたの「考え方」が、あなたを不幸にするのです。事実を変えることはできなくても、態度を変えることはできます。そして態度が変われば、やがて事実も変わり始めるのです。
第3章:祈り、描き、実現する(Prayerize, Picturize, Actualize)
では、具体的にどうすれば望む人生を手にできるのでしょうか。私は長年、ある公式を提唱してきました。
- 祈る(Prayerize):まず、あなたの望みを明確にし、それを大いなる力(神)に委ね、相談することです。これは宗教的な儀式にとどまらず、自分の願望を純粋化し、迷いを断ち切るプロセスです。
- 描く(Picturize):ここが非常に重要です。願いが叶った状態を、心の中で鮮明に「絵」として描くのです。ぼんやりとした希望ではなく、すでに達成されたかのような明確なイメージを持ってください。潜在意識は、言葉よりもイメージに強く反応します。成功した自分、健康になった自分、問題を解決した自分を、映画のスクリーンのように心に映し続けるのです。そのイメージを絶対に手放してはいけません。
- 実現する(Actualize):祈り、鮮明なイメージを持ち続ければ、現実はその型に合わせて鋳造されます。あなたの行動が変わり、チャンスが見えるようになり、不思議な偶然の一致が起こり始めます。
このプロセスを信じて実行する人にとって、不可能なことはほとんどありません。「できると思えば、できる(You can if you think you can)」のです。
第4章:心の平安を持つ(Peace of Mind)
現代社会は騒音とストレスに満ちています。人生で大切なことの一つは、この嵐の中で**「心の静寂」**を保つことです。
怒り、恨み、焦り、心配――これらは心のエネルギータンクに穴を開け、あなたの生命力を枯渇させます。心が波立っているとき、正しい判断はできませんし、創造的なアイデアも生まれません。
一日に少なくとも15分、絶対的な静寂の中に身を置いてください。そして、「心を空っぽにする(Drain the mind)」練習をするのです。心配事や恐れを、まるで汚れた水を排水溝に流すように、心から排出するイメージを持つのです。そして空になった心に、平和で、美しく、肯定的な思考を注ぎ込みます。
「心に平安を持て」というのは、単なる慰めの言葉ではありません。それはパワーを生み出すための必須条件なのです。静かな心こそが、最強の心なのです。
第5章:決して屈しない粘り強さ
人生には必ず嵐が訪れます。どんなにポジティブな人でも、打ちのめされる夜はあります。しかし、人生で一番大事なことは、**「やめないこと」**です。
「もうダメだ」と思ったとき、そこが本当のスタート地点です。多くの人は、成功のほんの一歩手前で諦めてしまいます。壁にぶつかったとき、それを「行き止まり」と考えるか、「曲がり角」と考えるか。それが勝者と敗者の分かれ道です。
すべての問題には、その内部に解決の種が含まれています。神は、解決策のない問題など与えません。もし扉が閉ざされているように見えても、必ずどこかに窓が開いています。
私の友人であった多くの成功者たち――実業家、発明家、リーダーたち――に共通していたのは、彼らが天才だったからではありません。彼らは、失敗しても、失敗しても、決して熱意を失わなかった。ただそれだけなのです。「常に、早すぎる段階で諦めてはいけない(It’s always too soon to quit)」のです。
第6章:愛と他者への奉仕
最後に、これだけは忘れないでください。自分だけの成功、自分だけの幸福を追い求めているうちは、真の充足感は得られません。
人生を豊かにする最高のスパイスは**「他者への愛」**です。人は一人では生きられません。他人を好きになり、他人に興味を持ち、他人のために何ができるかを考えるとき、あなたの人生は劇的に好転します。
他人を批判したり、裁いたりするのをやめましょう。代わりに、人の良いところを探す名人になってください。あなたが愛を投げかければ、愛が返ってきます。親切を投げかければ、親切が返ってきます。これは宇宙の反響の法則です。
結論:あなたへのメッセージ
友よ、人生で一番大事なこと。それは、**「心の中に、揺るぎない肯定的な信仰(フェイス)を持つこと」**です。
- 自分には価値があると信じること。
- 思考は現実を作ると信じること。
- どんな問題も解決できると信じること。
- そして、自分が大いなる愛に守られていると信じること。
恐れを締め出しなさい。心配を捨てなさい。その代わりに、希望、自信、楽観主義で心を満たしてください。
あなたの人生は、これからもっと素晴らしくなります。なぜなら、あなたがそう「決めた」からです。今日という日は、残りの人生の最初の日です。過去の失敗や後悔を引きずる必要はありません。今、この瞬間から、思考を切り替えれば、あなたは生まれ変わることができるのです。
さあ、顔を上げて。
広角を上げて(笑顔を作って)。
深呼吸をして。
世界はあなたのものです。神の豊かな恵みが、あなたの人生に降り注ぐことを、私は心から確信しています。
あなたなら、できます。
心からの愛と祈りを込めて。
ノーマン・ヴィンセント・ピール
あなたへの次のステップ(提案)
このメッセージを日々の生活に活かすために、今日からできる小さな習慣を提案させてください。
- 「魔法の言葉」を繰り返す: 毎朝、鏡の前で「私には素晴らしい力がある。今日は良いことが起きる」と3回声に出して言ってみませんか?
もしよろしければ、あなたが今抱えている具体的な悩みや、達成したい目標について教えてください。「積極的思考」を使って、その状況にどうアプローチすべきか、一緒に具体的なイメージを描くお手伝いをさせていただきます。